face to face(フェイス・トゥ・フェイス)
『Live In A Dive(ライヴ・イン・ア・ドライヴ)』

95年の『Combat Zone(コンバッド・ゾーン)』、96年の『Econo Live(エコノ・ライヴ)』、98年の『Live(ライヴ)』に続き、4枚目となるライヴ盤。ファット・レック・コーズに所属するアーティストが、ライヴ盤を発表するお馴染みの企画だが、今回はface to face(フェイス・トゥ・フェイス)が担当。

 

いままで発表した3枚ライヴ盤は、20代のころの作品だった。とくに98年の『Live』は、当時のベストな曲だけを集めた集大成的な内容だった。ライヴ自体もフレッシュな若さと勢いと衝動に任せたライヴを展開していた。若さゆえにいまの自分の心境を伝えたいという気持ちが強く、いい意味でも悪い意味でも若さゆえの実直な真面目さがあった。

 

40代後半になり、21年ぶりに発表した『Live In A Dive(ライヴ・イン・ア・ドライヴ)』では、円熟味を増したライヴを展開している。まさにメロコアど真ん中のといえるライヴ。若いころの彼らは泣きコアと言われたほど、ペシミスティックな要素があった。円熟味を増した現在では、メロディーのエッジは立っているし、エネルギッシュで、切ない部分や、緩んだところは一切ない。ファンと一体となってシンガロングし盛り上がる“Bent but Not Broken(ベント・バット・ノット・ブロークン)”“Bill of Goods(ビル・オブ・グッズ)”から、明るく楽しいメロディックな“Double Crossed(ダブル・クロスド)”、“What’s in a Name(ワッツ・イン・ア・ネイム)”、スピーディーでフェイス・トゥ・ファイス節の効いた“No Authority(ノーオーソリティー)”など、ファンと一緒になった楽しめるエンターテイナーに徹したライヴなのだ。

 

けっして過去の名曲をやるのではなく、中期、後期からの選曲が非常に多い。そこには開き直ったようなスカっとした爽やかさを感じる。若いころに心の余裕のなさから、苦い思いを経験し、挫折を味わってきた。苦労を乗り越え、他者の気持ちが分かるようになったからこそ、現在の充実感につながっているのだろう。

 

彼らのサウンドはけっして古びていなければ、ノスタルジーにもなっていない。40代の心境を赤裸々に綴ったリアルなパンクが鳴らされているのだ。