元中国在住サラリーマンの徒然なる日々

かつて中国に数年間住んでいた日本人サラリーマンが綴る雑食系中国ブログ。ご連絡はTwitter(https://twitter.com/superflyer2015)経由でお願いします。

(全外国人の入国停止)中国が一時的に鎖国することになりました

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中国政府が全外国人の入国を暫定的に停止する旨発表しました。

 

概要


昨日(2020年3月26日)の中国外交部(日本で言うところの外務省)及び国家移民管理局の発表によると、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策として、中国政府は3月28日0時より暫定的に全外国人の中国への入国を停止するそうです。


これはビザなしでの入国(これは既に停止中)に限らず、有効なビザや居留許可を持っている者にも適用されます。外交ビザ等の特別なビザを持っている者に関しては引き続き入国可能ですが、その他大多数の一般人に関しては当分の間中国には入国できなくなります。


わかりやすく言えば、「一時的に鎖国する」ということです。


既に同様の措置を実行している国はそれなりにありますから驚くような話ではないのですが、中国は日本とも非常に密接な関係を持つ大国ですから、かなりインパクトのあるニュースだと思います。


なお、私のように既に入国済みの外国人が追い出されるわけではないので、個人的には特に影響はありません。

 

中国における課題


今回の対策に関して知れば、多くの人はきっと「状況が悪化したから」だと思うのではないでしょうか。


実はそういうわけではないのです。現在、中国国内の状況は非常に落ち着いています。市中感染は全く問題になっていません。しかしながら、外国から入国する人たちが次々に国内にコロナを持ち込むため、なかなか完全な終息を迎えることができないままでいます。そしてこれに対し、中国国内の中国人たちがかなりイライラしているのです。


中国国内には14億人くらいの人民がいるわけですが、武漢が閉鎖されて以降、つまりこの2か月くらいの間ず〜っと皆いわゆる「不要不急の外出」を自粛しています。日本では自粛要請を無視して外出する人たちも多いようですが、中国ではこれはかなり厳格に守られています。


ただ、最近では皆かなりストレスが溜まってきていて、その怒りの矛先は外国から中国国内にコロナを持ち込む連中に現在向けられているわけです。その「連中」の多くは欧米諸国で留学中の中国人であり、中国人が中国人に対して怒っているというのが実際の構図です。


ですから、外国籍の者を云々というよりは、単に「まだやっていないことの中でできることを実行しているだけ」なのかなというのが私の理解です。


現在中国政府が少しでも早く実現したいと考えているのは「休校の解除」です。中国では6~7月が卒業シーズンであり、入試や各種試験がこれから控えているため、できれば4月中、どんなに遅くとも5月中には全ての「学校」を平常モードに戻す必要があるのです。日本でも政府が2月になかなか動きが取れなかったのは大学入試があったからに他なりません。子供の進路に関わるイベントというのは本当に極めて重要なのです。


中国政府の計画としては、まずは近日中に小中高に関して休校を解除し、しばらく様子を見た上で問題がなさそうなら大学の休校を解除、という流れになっているようです。兎にも角にも厄介なのは大学生及び大学院生です。中国ではほとんどの大学生及び大学院生が通常時は実家を離れて大学のキャンパス内にある寮で生活しており、皆現在は実家にいます(大学は基本的に閉鎖中)から、休校を解除した瞬間に1,000万人単位の大移動が発生します。コロナの強い感染力を考えれば、この大移動にはかなりのリスクが付き纏うことになるわけです。


そんなわけで、中国政府は全国民に対してこれまで徹底した外出の自粛を要請してきたのですが、休校を解除せざるを得ない時期が近付いてきたわけです。ですから、鎖国でも何でもできることは全部やった上で、万全の体制で学生たちの大移動に備えようとしているのです。なお、この大移動さえ終えれば、6月頃からは中国社会は平常モードに戻るかと思います。


まずは小中高なわけですが、小中高生たちはもちろん基本的に自宅通学ですから大して問題にはなりません。ただ、コロナに関しては潜伏期間が長いため、休校解除後にしばらく様子を見る必要があります。なので肝となる大学生及び大学院生の大移動は早くても4月下旬、主には5月になるだろうと言われています。

 

残る問題


中国国内は非常に落ち着いているので、個人的にはまあ何とか学生たちの大移動は遣り過ごせるのではないかと思っています。中国政府のことですから、地域ごとに時期をズラしたりして上手いことやるのでしょうし。


個人的に心配しているのは、入国制限(入国停止措置及び14日間の強制隔離)解除の時期に関してです。私のような者にとってはこれが解除されない限りは一時帰国ができないので、人によってはこれは結構大きな問題なのです。入国制限を解除すればまたコロナの「輸入」が再開するのは明らかですから、どこで妥協するのかというのは中国政府的にも非常に悩ましい問題なのではないでしょうか。


考えれば考えるほど、本当に今回のコロナウイルスは悪い意味で絶妙な特徴を持っているなと思います。私も中国に戻って来て以降、近所のスーパーでの最低限の買い物以外は外出を自粛しているため、さすがにストレスが溜まってきました。動かないので体重も明らかに増えました。元の生活に戻るまでにはまだしばらく時間がかかりそうですが、これから何が起こるのか予想が非常に難しい状況なので、再度感染者が急増するような事態にならないことをただただ祈るばかりです。