安心して買い物を 飯能市社協が移動販売実証実験を実施

山間部や人口過疎地域などにおいて、近くに商業施設がなく日常の買い物に不便を感じている買い物難民が社会問題になっている。特に新型コロナウイルスの流行に伴う外出自粛により、ますます問題は深刻になっている。

そんな中で、飯能市社会福祉協議会がセブンイレブン日高下川崎店(日高市大字馬引沢)と共同で移動販売の実証実験を実施する。

実施に至った経緯

高齢者や障害のある者など、福祉サービスを必要とする人々を取り巻く環境は大きく変化している。
これまでの制度に基づいた福祉サービス提供だけではなく、地域の様々な社会資源を活用し住み慣れたところで暮らし続けられる地域づくり(地域共生社会/地域包括ケアシステム)が求められている。

一方で、飯能市は山間地域や農村地域などが多くの面積を占めており、一人暮らしの高齢者などをはじめとして、日常の買い物に困難さを感じる声が増えている。その支援について模索する中、同店から移動販売を地域に展開したいと同社協に申し出があった。

そんな中で緊急事態宣言が発令されて外出自粛を要請されたことで、一度はペンディングの状態となっていた。

社会福祉協議会の日常的な仕事は、人と人との(精神的な)距離を近づける仕掛けをすることで、支え合いができる地域づくりを行うことだ。しかし、このコロナ禍ではその取組を進めていくことが難しくなり、どうすればよいかを模索していたという。

外出自粛の状況下でも込み合って入るスーパーを避けたいという声や地域のボランティア活動やコミュニティサービス(※)などの実施も自粛している状況をみて、一度停止していた移動販売の話を何とかできないかと同店に協力を要請したところ、「できることをできる範囲でやろう」ということで、今回の募集に至った。

コミュニティサービス
地域住民を中心に行われる取組で、有償で買い物代行や掃除などの生活支援を行う活動。
活動の意義としてはボランティア活動と同義だが、有償で行うことからこの表現を用いている。

地域住民からの声

実施ニーズについて具体的な人数等は定かではないが、以前より「自分の目で自分の欲しいものの買い物をしたい」という声はよく聞かれているという。特に同市の高齢者は、家族が買い物をしてきてくれたり生協などを活用して生活物資の購入したりするなどされている者も多いようだ。

また、特に山間地域では個人商店を経営している者自身が高齢化しており、閉店する店舗も増えている。

そして、同市は自動車がないと生活しづらいほど市域が広い。今の生活はなんとかなるが、免許を返納するなど自動車に乗れなくなった後の生活を不安視する声はたくさん上がっていると同市社協。

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移動販売の実証実験について

今月から来月末にかけて行われる同実験。

同市全域のうち、主に商店の空白地域を中心に15〜20分ほどで移動販売を行う。主に同店の生鮮食品などを販売する。

実施にあたって、同社協では移動販売車の立ち寄り先を随時募集している。同市内で軽自動車2台程度のスペースを提供でき近隣住民の出入りについて了解できるなど条件を満たすものが対象だ。

詳しい問い合わせは、同市社協地域福祉推進係(070-7792-2450 / tiikifukushi@hannoshakyo.or.jp)まで。

募集にあたっての反応

立ち寄り先の募集は先月中旬より始まったが、同市社協のLINEに情報を掲載したところ5分で申し出があったという。「福祉サービスなども利用になっている方なのですが、できることで地域に貢献したいというお気持ちの表れなのではないかと思い、大変ありがたく感じています。」と同市社協。

その他に直接声かけをした人々も快く引き受けてくれたということで、先の見えない状況の中でも自分にできることで地域を明るく元気にしていきたいという気持ちがひしひしと伝わってきていると同市社協も手応えを感じている。

実施に懸ける意気込み

緊急事態宣言は解除されたが、まだ大型店などの人が多い場所に出かけるのは不安に感じる者も多いことだろう。そのような人々が安心して買い物をしてくれるとうれしいと同市社協は思いをかける。

今回は実証実験としてできる範囲での実施だが、今回の取組をもとに少しずつできる範囲を広げていき、同市住民が住み慣れたところで暮らし続けるための一助になれればとしている。

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