前の記事 » 
次の記事 » 

心理学の統計解析における「自由度」とは何か?

  公開日:2018/09/26
最終更新日:2020/05/08

※この記事は約3分で読めます。

こんにちは、四谷学院です。
心理学の用語の中には、私たちが、普段の生活の中で使う意味と異なった意味で使う言葉もあります。

この記事では心理学の「統計解析」でよく使われる用語の中に「自由度(degrees of freedom: df)」について、解説していきます。

「自由度」の定義

自由度とは、「自由に変動できる測定値の個数」という意味です。

変数のうち独立に選べるものの数、すなわち、全変数の数から、それら相互間に成り立つ関係式の数を引いたものとなります。
「相互間に成り立つ関係式」のことは、「パラメータ」と呼びます。
つまり「1つのパラメータを推定するたびに1つの自由度を失う」ため、標本数をn、パラメータの数をpとすると、自由度はn-pとして表されます。

パラメータとは?

パラメーターとは、母集団の特徴を表すもの、ととらえます。
具体的には、平均値や中央値、最大値や相関係数、合計値などを推定していくことを指します。

たとえば「a,b,c,d,e」という変数があるとします。
互いに何の関係も自由に値が変動するとき、「自由度は5」となります。
もし、ここに「a+b+c+d+e=20」というパラメータを1つ追加した場合、「a=20-(b+c+d+e)」のように、1つの値が他の4つの値によって決定されます。
もうすこし、詳しく説明すると、5つの変数があり、「合計値が20」と規定された(パラメーター)時点で、4つまでは自由です。しかし、4つが決まった時点で残りの一つは決定します。
自由に変動できる測定値の個数は4つとなります。ですから自由度は4(つまり5-1)ということになります。

自由度とは、標本数から、パラメータの数を引いた数となっています。
つまり、
「自由度=標本数n-パラメータの数p」という関係が成り立ちます。

パラメータの具体的事例

より具体例を考えてみましょう。

ある学校には、「赤組」「青組」「白組」という3つのクラスがあります。合わせて100人の生徒がいたとします。
赤組と青組の2つは自由に人数は設定できます。たとえば、20人ずつでもよいですし、赤は30人で青は31人でも構いません。
しかし、赤組と青組の人数が決まった時点で、白組の生徒数は決定されてしまいます。

このように、自由に値を変えうるものはいくつあるか、というのが「自由度」です。
今回の例で言えば、「3クラスの合計値が100人」というのが決定打になるので、合計値が「パラメータ」ということになります。

もう1つ例を挙げましょう。
10,2,3,8,7,3,3,9,11,5という10個のデータ値がありました。
パラメーターとして平均値を求めるとします。
10個の数を足して割ると6.1となります。
この場合、もとは10個の数字で自由度は10だったのが、平均値が決定されたことで、9つまでは色々な点数がありえますが、9つがわかった時点で残りの一つの点数は決定されてしまいます。
ですから自由度は10-1で9になります。

まとめ:心理学の統計における自由度とは

心理学の統計において、自由度は分散の計算の際の分母として主に用いられます。
この分散を求めるためには、平均値を推定しなければなりません。平均値は前述の「パラメータ」に該当しますので、平均値を推定した時点で1つの自由度を失い、分散の公式に置ける分母としての自由度はn-1となります。

四谷学院では、初めて心理学を学ぶ人のために「心理学入門講座」も開講しています。
本格的に心理職を目指す方は「臨床心理士指定大学院対策講座」がお勧めです。

受講前のご相談も受け付けておりますので、お気軽にホームページやお電話でお問い合わせください。


>心理学入門講座
 


>臨床心理士指定大学院対策講座(通信)

 

前の記事 » 
次の記事 » 

 

  心理学を学ぶとは  

 

感想をお寄せください

個別のお返事はいたしかねますが、いただいたコメントは全て拝見しております。いただいた内容はメルマガやブログでご紹介させていただくことがございます。掲載不可の場合はその旨をご記入ください。
お問い合わせはお電話(0120-428022)、またはホームページから承っております。

このページの先頭へ