#281 饅頭屋は加藤清正の仇 ~「清正公酒屋」~ | 鑑賞歴50年オトコの「落語のすゝめ」

鑑賞歴50年オトコの「落語のすゝめ」

1956年に落語に出逢い、鑑賞歴50余年。聴けばきくほど奥深く、雑学豊かに、ネタ広がる。落語とともに歩んだ人生を振り返ると共に、子や孫達、若い世代、そして落語初心者と仰る方々に是非とも落語の魅力を伝えたいと願っている。

酒屋と饅頭屋が向かい合って商売をしている。酒屋の息子・新吉と饅頭屋の娘・お仲は恋仲である。ところが、酒屋と饅頭屋の主人同士は犬猿の仲にある。その理由は、新吉が3歳の時に饅頭屋が掲げている虎の絵の看板を見て泣き止まず、饅頭屋にちょっとの間、看板を下ろしてくれと頼んだが断られ、両家は喧嘩状態となったからである。酒屋は清正公(せいしょうこう 加藤清正)さまに祈願して泣き止ましたという経緯があり、以来、酒屋は清正公さまを信仰している。

 そんなわけで、若い二人の仲が認められるはずはなく、心中しようと高輪の海に飛び込んだ。そこへ清正公さまが現れて新吉を助ける。新吉が「お仲さんも助けて上げて下さい」と頼むと「それはできぬ」と清正公は言う。「不義ゆえですか?」「いや、俺の仇の饅頭屋の娘だからだ」。

「清正公酒屋(せいしょうこうざかや)」という滑稽噺である。秀吉の家来で後に家康に仕え、虎退治で有名な加藤清正は人気者で、熊本を中心に“清正公さま”として神さまに祭り上げられている。彼は毒饅頭を食べて死んだという言い伝えがあり、この噺はそれに題材を採ったものである。

 マイナーな噺で、四代目柳家つばめが得意にしたようである。

 

(#273将棋パズルの解答例)

 

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