2月14日はバレンタインデー。

 

恋人たちが想い想いの一日を送るバレンタインデーを飾るソングといえば、今も昔も国生さゆりの「バレンタイン・キッス」が真っ先に思い浮かぶ。

 

もう、34年も前にリリースされた曲なのに、いまだに存在感を発揮しているのは素晴らしい事だと思っている。今日も朝ラジオをかけていたら、この曲が流れてきた。



 

ただ、わたし個人として好きなのは、My Funny Valentineである。

 

もともと、この曲は、1937年にリチャード・ロジャースとロレンツ・ハートにより作詞・作曲され、ミュージカル『ベイブス・イン・アームス』で発表されたショー・チューンで、その後色んなアーティストによってアレンジされた。

 

インストゥルメンタルでもよく演奏されており、代表的なジャズ・スタンダードの楽曲でもある。

 

ジャズピアノでいえば、ビル・エヴァンスのピアノとジム・ホールのエレキギターのデュオで演奏された作品がとても有名である。

 

この曲が収録されている「undercurrent(暗流)」というアルバムのジャケ写はとても印象的で、静謐かつ寂寥感漂うビル・エヴァンス的My Funny Valentineを彷彿させるようなイメージを与えてくれる。

 

 

 

 

かたや、ジャズボーカルで挙げるとすれば、チェット・ベイカーのMy Funny Valentineだろう。

 

 

 

 

 

チェット・ベイカーはもともとトランペッターだったが、その中性的で哀愁を帯びた歌声がとても魅力的で、1950年代のウエストコースト・ジャズを代表するジャズジャイアントとなった。


ビル・エヴァンスと言い、チェット・ベイカーと言い、優れたアーティストとして一時代を築いたにもかかわらず、彼らの曲を聴くたびに感じるのは、一抹の寂寥感が後を引くように残るところである。


まるで彼らの波乱万丈の人生、心の奥底に沈み込んだまま浮かび上がることもない懊悩の叫びが、曲の中に染み出しているように思える。


凍てつくような冷気と夜のしじま。


2月の夜更け、静かな部屋の中でウイスキーグラスを傾けながら、今日おすすめした2曲を是非聴いていただきたい。