生まれてこの方、「緊急事態宣言」なる物々しい御触れをリアルタイムで経験するような事はなかった。

それだけに今般の新型コロナウイルス感染拡大に伴う、緊急事態宣言がいかに重大で後戻りできない逼迫した状況を反映したものであるかを自覚しなければならない。

対象地域は、感染が拡大している東京、埼玉、千葉、神奈川、大阪、兵庫、福岡の7都府県であるが、これは決して対岸の火事ではない。

隣県の埼玉はもとより、南関東を中心とする大都市圏で更に感染が拡大して破局的な壊滅状況が生じれば、群馬などはひとたまりもなく感染の業火に包まれる事だろう。

はじめ私は今回の緊急事態宣言について、現下で発令するのは時期尚早であると考えていた。

この宣言によって我が国が非常事態にある事を内外に明示すれば、株価の暴落や各種経済指数の悪化は避けられない状況となり、リーマンショック以来の経済危機に瀕する事態になるというのが一つ目の理由。

もう一つは、国と都道府県が連携して、ウイルス拡散を封じ込めるための盤石な体制を築いた上で発令しなければ結果的に感染を封じ込められず、中途半端な結果に至ってしまうのではないという考えである。

こうした不安は今もってあるけれど、昨今の東京における感染者数の急増は異常であり、迅速に緊急事態宣言を出して早期に封じ込めを行わなければ、一週間後の数値が如何に絶望的なものになる事は目に見えている。

もはやどんなに恐ろしい状況が今後生じてもおかしくない状況だと言えよう。

そして最前線で懸命に戦っている医療従事者を助けるためにも、この難局を国民が一致協力して耐え忍び、感染対策を講じて乗り越える以外に道はない。

政府は新たに108兆円規模というこれまでにない緊急経済対策を実施することも決まった。
言うなればら国民全員が耐え忍ぶための必要経費としての財政政策である。

メインは納税や社会保険料の支払猶予のための財源であるが、中小企業や低所得者向けの給付金支給などの予算も含まれている。

これだけの対策を講じてもなお吉と出るか凶と出るかは全く読めない状況であるが、規範意識の高い日本国民ならば、必ずやこの未曾有の難局を乗り越えらることを願い、みずからも実践していくものである。