今日、衆参両院で首班指名選挙が行われ、第99代内閣総理大臣に菅義偉氏が選出された。

7年8ヶ月に及ぶ安倍政権に終止符が打たれ、久しぶりに新しい政権が誕生した訳であるが、コロナ禍や景気の悪化、五輪の開催、大規模な自然災害など、大きな歴史の節目にあって、菅新首相がどれだけリーダーシップを取れるのか期待したいところだ。

思い返せば、昨年の5月。
令和に改元されてから間もなくのタイミングで、菅官房長官は突如訪米している。

内閣官房及び内政面の調整役である官房長官による訪米というのは異例の事であり、米国側は菅氏を安倍政権の実質ナンバー2と位置づけ、ペンス副大統領やポンペオ国務長官と会談する機会を設けた訳である。

この令和早々の訪米を菅氏に託したのは当時の安倍総理であった。
私はこれが、安倍総理による菅氏への政権禅譲のための符牒だったように感じている。

菅内閣の陣容を見ても、安倍政権の継承を象徴する布陣となっており、多くの閣僚が菅総理とかつて閣内で仕事をしてきた人で占められている。

「国民のために働く内閣」と位置づけただけあって、菅総理から見て仕事が出来る人物を積極的に起用した感じがする。

変わりばえはしないけれど、重厚な布陣と言って良いのかもしれない。

菅氏にとって政治の恩師に当たる梶山静六氏の息子である梶山弘志氏を経産相に再任させたり、安倍前総理の実弟である岸信夫氏を防衛相にする辺りは菅総理の義理堅さが窺える。

その一方で、菅総理を担ぎ出した主要派閥に対する論功行賞的人事であると見る向きもある。

とくに、菅氏の支持をめぐって、二階幹事長と麻生副総理が激しく火花を散らしており、今後自民党は二階氏と麻生氏という二人の実力者を軸に動いて行く気がしてならない。

とくに、二階氏は一度自民党を出た人間であり、そんな彼が今や党内に隠然たる影響力を持っているというのはそれだけ知謀に長け、誰にも抑えられないような、れっきとした実力があるという事である。

麻生氏も結果的に細田派や竹下派といった競合する派閥のチカラを敢えて借りる必要があったわけで、それくらい二階氏に強い危機感を抱いている訳である。

ともにアラ8(80歳前後の年齢)の二人であるが、キングメーカーとして激しく競い合いながら、影響力を誇示していくに違いない。


二人に祭り上げられて総理になった菅氏。
総理総裁という立場で、どれだけ存在感を示してつつリーダーシップを発揮することが出来るのか、その辺にも注目していきたい。