久しぶりに近所のパブ『フィーバーマギーズ』にやって来た。
だいぶ古い店で、30年くらいやっている老舗のパブだ。
この店は回転が良いせいもあって、ドラフトはいつも新鮮で美味い。
ところが食べのもは酷い。
ことの他酷い。
まあもっとも、アイリッシュパブとはそもそもそういう所であって、美味しいドラフトさえあれば良い。
そんな所へ来て、食い物が旨くないだの何だのと文句を言うなど野暮と言うもの。
から酒と言うのも味気ないし、翌日の酒の残り方にも関わってくるので、何かしら注文する訳だが、どれをとっても見事に美味くない。
例えばこちら
茶色いにも程がある。
しかしこんな物でもないよりはマシ。
とにかくドラフトは安定の美味しさなので、食べ物についてはこれで良しとする。
さて、ドラフトについてなのだが、ドバイでは、高級ホテルなどでドラフトを頼むと大体美味しくない。
これには明確な理由がある。
単純に樽が古いのだ。
高級であるが故に回転が悪く、開けてから4ー5日くらい平気で使う。
場合によっては発酵し過ぎていてぬか漬けの味になっていたりする。
なので、他所でドラフトを頼むときには必ずバーテンの所まで行って味見をしてから注文するのだが、ここフィーバーマギーズにおいてその手間は必要ない。
必ずその日に開けたばかりのドラフトが頂けるのだ。
フレッシュなドラフトがついつい進み、これ程文句を言う茶色一色の揚げ物も平げ、旨くねえと文句を言いつつ追加注文をする。
そして運ばれて来たこれ。
グレービーソースが掛かっているのはステーキなのだが、これがまた酷い。
加熱凝固によってタンパク質の塊となり果てた筋肉繊維が、まるで解けた麻縄の様になって、最近加齢によって歯茎の下がった僕の歯間を瞬く間に埋め尽くす。
歯に挟まるのは何もこの店の責任でもなんでもないわけだが、何となくこの肉の硬さを恨む。
とは言え、この店はオーセンティックなアイリッシュパブで、雰囲気も良い。
若干汚らしい上に、換気が悪くて臭いのが玉に瑕ではあるが、その分価格は良心的。
そして何より、この店で飲むドラフトは美味い。
近所ということもあるが、間違いなくドバイで1番来た回数の多い店だと思う。
したがって、なんだかんだ言いつつも、また来るのである。