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履歴書に高卒と書き面接に向かった母ですが、
面接試験は直ぐに合格したのですが、
筆記試験までに研修ががありましたが
僕とは違い頭の良い母です。
筆記試験も面接同様になんなく合格したのです。
働き始めると履歴書に嘘を書いた
後ろめたい気持ちも薄れて行き仕事に集中したのです。
今までは営業なんて仕事をした事がありません。
どうすれば保険契約をしていただけるのかと
毎日 考える日々が続いたのです。
母が保険会社で働き始めるとと
父の仕事もすこしづつ元のようになったのです。
家族は路頭に迷わずに済んだのですが、
母は車どころか原付の免許も持っていませんでした。
営業は電車とバスで頑張っていたのです。
母を採用していただいた保険会社は奈良県です。
保険会社では大手ではなく
中堅クラスの会社でした。
電車とバスで営業を頑張る母ですが
母が頑張ると帰りが遅くなります。
そうすると妹達は母の帰りはまだー!と僕に言うの
ですが、
僕に母の帰りが解るわけがないのです。
あれには本当に参りました。
大きな道には近づかないように毎日、
言われてましたから
駅の近くまで妹達を連れて母の帰りを数回見に行った事を
覚えています。
寒い冬だったから、風邪をひいてはいけないと思い
もう家に帰ろうと言っても妹達は母が帰るまでここで待つと
言うのを散々なだめ家に連れて帰ったのです。
母が自転車に乗り帰って来る
方向をジーと見ている妹達は
本当に寂しそうで かわいそうでした。
僕も妹達を見て母が帰って来ることを祈るように
思いますが、
母の帰る姿は見れませんでした。
妹達は家に帰っても僕とは口も聴かず
カラに閉じこもり母の帰りを待つのです。
あの頃の妹達は寂しそうで本当に可哀そうでした。
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