E嬢とディスコで稽古(2) -私のセルフイメージは間違っている!

 自分自身を知るというのはよく言われる言葉ですが、コンプレックスのある部分を直視するというのは何歳になってもこわいものです。

 でも、いまの自分の状態は何かおかしいです。どのくらい練習したらどれくらい上手になって評価される、という予想というか期待があるわけですが、周りの反応が異常で理解できないのです。自己評価では、自分のレベルはディスコ「New SAZAE」の常連の女装のおっちゃんよりは若干マシだけど欠点多数で結構見苦しいことになっている、と思っていたのですが。

 そんなわけで、ある夜、部屋を広げてデジカメの動画で自分の踊り方を撮ってみることにしました。

 そして再生してみて唖然。

…エロすぎだわ。

 どのようにエロいかというと、説明が難しいのですが、たとえば腕を上げたり伸ばしたりするとき、何も考えなければラジオ体操になりますが、ややもったいぶった動き方の癖があって、それがフェミニンな雰囲気が出るどころではなく、エロティックと言って差し支えないものになっていたのです。どうしてこうなったのか、自分でもわけがわかりません。

 数年経った今から考えると、わたしが踊るときって周囲に水中のような抵抗がある感じをイメージしていて、床を踏めばその力が波のように上半身に伝わる、体軸を動かせば腕から指先に波が伝わり、末端が少し遅れて動き出すような、そんなちょっとした癖が妙にエロく見えるのですね。

 そんなわけで、目をつぶって走っていたわたしは気がついたら目標をはるかにオーバーランしていたのでした。周りのオーバーリアクションの正体がだいたい理解できました。

 清楚にいくはずだったのに。目立たないように、さりげなくって思っていたのに。

 気がついたときは踊りが超エロくて挑発的な女装子って評価がすっかり定着していたのです。いつも男女問わずお尻や胸を狙われるのはこれが原因だったのか!E嬢やお友達がもっと攻めた服でいけと推すのももっともなことです。清楚な服は全然合っていません。

 もともと、前の職場にいた仲良しで良家の令嬢っぽかったK嬢のファッションをコピーしてレディスファッションをスタートしてみたのですが、結局わたしは違う人間でした。

 自分の体に気になるところはいっぱいあります。そもそも女の体じゃありません。隠すように、ばれないように、と服を選んできましたが、踊る姿に合わせるならば、もっと体にフィットして、上半身のボリュームを少なく見せる、引き締まったイメージの服が必要です。

 それで今の服の好みが大体固まったのでした。

 それからというもの、これはという服を見つけて、E嬢が「いいね!」と言ってくれるのが何より嬉しいことになりました。それはほぼ10年たった今でも続いています。

トランスジェンダーで会社員でアラフォーで身分上は男子です。 好きなことは踊ることとお絵かきと読書。 いまは嫁と娘が居ます。 2012年の東京レインボープライドを主催していました。

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