かあさんが特別養護老人ホームにいる幸運。

2019.10.06

しばらく咲いてなかったハイビスカスがまたつぼみをたくさんつけて、一度に4つ、花を咲かせた。

夏のような暑さが続いてるせいかな？

かあさんと別居できて、今はほんとに平和な日々が続いている。

喧嘩したり怒鳴り合ったり、毎日かあさんの甲高い声と闘ってた日々が嘘みたいに。

ほんとにラッキーだったなぁ
と夫が言った。

かあさんが今の特養に入れたこと。

かあさんを精神科の病院に連れて行ってからうまく事が流れて、病院を退院する日に今の特養のスタッフがかあさんを病院まで迎えに来てくれたこと。

まるで奇跡のように思えるのだ。

だって、老人ホームに入ったら絶対イジメられると思ってたかあさん。
絶対にそんな所へは行かないと言ってた。

ずっとかあさんと同居なんて考えられない。
だけど、かあさんに家を出て施設に入ってとか言ったら、どんなに怒るか。
考えただけで恐ろしかった。

それが…
かあさんを精神科に連れて行ったら、その日に入院することになり、入院中に要介護1から要介護4に変更してもらえて、ソーシャルワーカーさんに世話になり今の特養に入れることになった。

なんてうまく行ったんだろう。
ほんと奇跡だよ。

かあさんは精神科を退院して、特養に連れて行かれたけど、そこが老人ホームだと知ったら絶対怒って騒ぐと思ったから、当初はそれを知られたくなかった。

かあさんが初めて特養に行った日、夫と私も別のクルマで向かった。
先に特養のクルマで到着したかあさんは、スタッフの詰所に座っていて、すぐに看護師さんが血圧を測ってくれた。

よしよし。ここは病院。そう思ってよ。
と、祈るような気持ちだった。

それから1年以上経った。

かあさんは、今どこにいると思ってるんだろう。

帰るとは言わず、また来てや。と言うから、ここに住んでる自覚があるのかな。

よく、朝から何も食べてない、ここでご飯なんか食べたことがない。
とか言うけど。

どんな所に住んでるつもり？

病院かな？
ご飯も食べさせてくれない病院？

かあさんに面会に来て、かあさんを連れて2階に降りる時、エレベーターの中に、面会に来た家族への連絡事項が貼り出してある。
そこに、この特養の名前が書いてある。

○○○特別養護老人ホーム
って。

老人ホームだよ！
ヤバくない？

かあさんは今も漢字をよく覚えていて、すぐ文字を読もうとするから、夫も私も気になってしまい、エレベーターに乗る時はその文字を背中で隠すようにして立っている。

だけど、そうするまでもなく、かあさんは何度もその文字を見てる。
お風呂の時、エレベーターに乗るんだから。

病院に連れて行ってもらう時だって、○○○特別養護老人ホームって大きく書かれたクルマに乗るんだし。

かあさんは、いったい、どう思ってるんかな？

その○○○特別養護老人ホームに住んでるって、わかってるかな？

かあさんの頭の中、どうなってるのか、
かあさんはどんなふうに思ってるのか、まるでわからない。

知りたいけど、怖くて何も聞かずにいる。