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こちらの記事です。

私の中では、斉藤環先生といえば、精神分析医としての側面が強いです。
現代の承認欲求とか、サブカルチャーみたいなのもとりあえず解剖してみようという感じの方。

精神分析は、精神を切り分け、解剖することによって、とりあえずのところの寛解というのを目指す感じの学問です。

およそ人間の7割から8割の人は標準と呼ばれる型に当てはまるので、その型に当てはまるように治療しようとする学問というか、そんな感じ。

なので、この記事における「中高年ひきこもり」はきっとある種の病理として捉えられているのかなと思います。

認知症とかも同じく精神の病理と捉えることができるわけですが、「病気」であるならば、それは本人の意思ではどうしようもないところもあるわけで、つまり自己責任ではないという結論に至ります。

このあたり、難しいところなんですけどね。

現実的な問題としては、様々な福祉制度の崩壊です。

特に記事では、年金制度について指摘してました。

斎藤氏は、現在50歳代半ばのひきこもりが一斉に年金受給開始年齢に達する「2030年問題」を指摘する。
「わが子の将来を案じる親は、自分が死ぬまで、子の年金保険料を払い続けているはずです。その子たちが年金を受給し始めたとき、年金制度は支払いに耐えられるでしょうか。

また、生活保護のバッシングのように、引きこもりバッシングが起こることも危惧されております。

実際にこのあたりはどうなるのかは予想がつきません。けれど、SNSの発達は、容易に他人と自分の立ち位置を比べることができる時代になってしまって、生活保護という弱い立場を正義という仮面で覆って叩けてしまう。

生活保護の人に面と向かってお前は働いてないんだからというのは難しくても、SNSを用いて、そういう空気を醸成するというのは現代社会ではありうるという話です。

であれば、斉藤環先生がご指摘されるとおり、引きこもりバッシングというのも十分起こり得るのだろうなと思います。経済が冷え込んでいけば、おのずとそういう流れになりがちだと思われます。

生活保護受給の申請やそういった様々な社会上の制度にアクセスできないのではないか、その結果、大量孤独死の時代を迎えるのではないかという点については、ありうる話です。生活保護とかそういう手続きをするレベルまで生活水準が落ちているということは、様々な要因があるところではありますが、金銭管理能力が落ち込んでいるのは間違いありません。

つまり、何をどうやれば、自分が生きていけるかという能力も落ち込んでいるからこそ、生活保護を受給しなければならないレベルまで生活水準が落ち込んでしまう。

怪我とか、そういう一時的な理由というのもあるのですが、そうではない場合・・・、つまり、高齢化による場合は、特にその傾向があるように思います。

実際に、高齢の生活保護の方は、ほぼ引きこもりパターンが多く、ギリギリのところでケースワーカが間をとりもって、なんとか施設への道筋をつけるという状況です。

それ以外の方、ケースワーカーに相談ができないパターンは孤独死しかない。

それか、大家さんががんばるかですが……昔ながらのアパートならわかりませんが、マンション的なところに大量につめこまれている状況だと、いちいちひとりひとりの生活水準に頓着しないでしょう。口座引き落としになっていて、年金で賄えるという状況になればなおさらそうなります。

大量孤独死時代はそこまできているように思います。