こちらの記事を読んで思ったことです。
最近、ハラスメントの数が増えてきているように思います。
なんにでもハラスメントと呼称し、弾劾する風潮があるなと感じます。
記事内で出ていたフキハラはさすがに聞いたことはなかったですけれども。
フキゲンであるということが、他者に対して嫌な思いを抱かせる。フキゲンな人を見続けなければならない「わたし」に対してのハラスメントである……というのがフキハラだそうです。
ハラスメントというのはセクハラなどもそうですが、ある一定の限度を超えると法的な処罰対象になりますが、その前段階としては、倫理的道徳的な違反といえるでしょう。
そうすると、ハラスメントに値するというのは人間としての「正常な」あるべき姿の精神からははずれているということを意味します。
つまり、フキゲンな人間は人間としてできていないのです。
まあ、確かに常にフキゲンな人間と相対するのは、ストレスになります。あるいは暴力行為を振るわれるかもしれないという、ある種の威嚇行為のように感じるかもしれない。こういった他人に与えるマイナスの効果を考えると、フキゲンであることはハラスメントに値するともいえるかもしれない。
ただ、それはべつにフキゲンだけに限らないかもしれません。
例えば、怒りや憎しみや、あるいは、他者を承認しないような精神的なありようは、すべて正常なこころではないと判断されうることになります。
しかし、人間は聖人ではない人のほうが多いのですから、怒りをいかだず常に穏やかで、だれにたいしても博愛精神に満ち溢れてるという人は稀でしょう。
そうすると、大多数の人間は精神疾患を抱えているということになるわけです。
ADHDやアスペルガーなど、症例に名づけを行うというのは、本人にとっては救いになる面もあります。例えば、どうしても集中しづらかったことがあるときとか、人の話をじっと聞くことができないとかの症状があったとき、社会生活を送るうえで、それらの行為はマイナスの評価をされます。本人も自分がどうしてできないのか、自己評価を低く見積もらざるをえない。ADHDであるという名づけがおこなわれれば、それが原因であるというのがわかるわけで、ある種の安心感を得られる場合もあるそうです。
認知症についてはどうでしょうか。
認知症は認知機能が衰えることを指しますが、前頭葉の機能が衰えると、例えば怒りっぽくなりますし、すぐに不機嫌になったりもします。このあたりは今ではデータベース化されて、いくつもの症例の積み重ねがされていたりします。認知症ねっとなんかが有名ですかね。
認知症も客観的に現れる態度から見れば、フキゲンである症例と一致します。なので、認知症患者もフキハラであり、要するに要治療状態なのでしょう。
フキゲンという症例を精神疾患だと捉えるとき、それを治療できる薬ができたとしたら治すべきなのでしょうか。
他者のこころはすでに社会にとって治すべき対象であるという傾向にあり、未来においてはさらにそうなるだろうと記事内で予測されています。
筆者さんがそういった状況を不安に思っていること、そしてその不安すら薬物によって除去できるだろうという予測は、まさにディストピア的です。SF作家グレッグイーガンの「行動原理」という作品がそういった感じの世界観を書いてましたね。
「わたし」の後悔でさえも「そんなものはすぐに消え去る」というような言葉で締めくくられていましたが。
このような社会を不安に思うのは、自我を改造し変質させることに対してでしょう。社会の圧力によって、フキゲンであることを許されなくなる。要するに薬物を投与されてゴキゲンな状態を常に保つようになるわけです。それは洗脳のようなものだから、不安を覚えるわけです。
では、フキゲンと同一線上にある認知症はどうなのでしょうか。
認知症の特効薬は現在のところできてませんが、いずれは可能になるかもしれません。
認知症であることも、患者の個性だというような言葉もあります。
しかし、認知症は、認知症になる前の自分こそが真の自分であり認知症はやっぱりその素の自分を変質させる病気のような気がします。
だから、それは治療すべき病なのかなと思うのです。
ある種の変質であり改造なのかもしれませんけれども。
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