看護師のキャリア形成に活かせる「計画的偶発性理論」について解説

計画的偶発性理論から学ぶ看護師のキャリア形成

こんにちは。ArchNurseのけんいちです。私がキャリアコンサルタントの資格を取得するための勉強でとても腹落ちした理論がありました。それが「計画的偶発性理論」という理論です。「計画的偶発性理論」とは、心理学者のクランボルツ教授が1999年に提案したキャリア理論で、比較的最近になって注目を浴びていて、実際に私の周りでも聞く機会が増えていると感じます。そこでこの記事ではこの理論について看護職のキャリアと照らし合わせながら説明をしていきます。

目次

計画的偶発性理論とは

この理論を端的に説明すると「キャリアの80%は偶発的な要素によって決まる」という理論です。私のなかでは、10年後や20年後といった遠い将来には何が起きているのか予測することが難しい時代になり「今を夢中に生きる」ことが良い偶然を引き寄せ、自分らしいキャリア形成に繋がっていくというように捉えています。(だいぶ独特な解釈なので、詳しく知りたい方はwikipediaもご覧ください「計画的偶発性理論」wikipediaより)

年功序列や終身雇用が当たり前だった、これまでは10年後のありたい姿から逆算してキャリアを築いていくという考え方が一般的でしたが、これだけ時代の変化が早いと、10年後を予測するというのはほぼ不可能に近いと思います。

看護師とキャリア面談をする中で以前はよく「5年後、10年後にどうなりたいですか?」という質問をしていたこともありましたが、ほとんどの看護師からは明確な回答が返ってくることはありませんでした。看護師は女性が多いので結婚や出産といったライフスタイルの変化もあるため、10年後を予測することの難易度はさらに高いということもあるのではないかと感じています。

だからこそ、専門職である看護師さんには「計画的偶発性理論」は知っておいて欲しい考え方だと思っています。

偶発を生み出す5つの行動指針

この理論を実践していくためには、5つの行動指針が必要だとされています。

  1. 好奇心:たえず新しい学習の機会を模索し続けること
  2. 持続性:失敗に屈せず、努力し続けること
  3. 楽観性:新しい機会は必ず実現する、可能になるとポジティブに考えること
  4. 柔軟性:こだわりを捨て、信念、概念、態度、行動を変えること
  5. 冒険心:結果が不確実でも、リスクを取って行動を起こすこと
クランボルツ教授に学ぶ計画的偶発性理論とは? 」All About

看護師のキャリア形成に大切な「柔軟性」と「冒険心」

この中でも私が、看護師のキャリア形成において重要だと思っているのが「柔軟性」と「冒険心」です。
看護師は、専門学校や大学で勉強をして、実習を経て国試に合格をして国家資格を取得されていますので「好奇心」「持続性」というのは既に持ち合わせている方が多い印象です。好奇心という面では、常に新しいことを学ぶ意欲のある方が多く、医療は日々進化していくのでそういった素質は必須なのかもしれないです。
持続性という意味では国家資格取得までの道のりがまさにここにあたると思っています。3年、4年をかけて学び資格を取得できているという点ですでに持ち合わせている要素だと思っています。
「楽観性」については職業というよりは個々の資質に依るところが多いと思っているので一旦ここでは外して考えます。

では「柔軟性」と「冒険心」がなぜ看護師のキャリア形成に重要なのでしょうか。

「柔軟性」

看護師という資格は病院や施設といった医療介護の現場でしか活かせないと思っている方が多かったり、医療介護業界の人間関係で完結してそういった働き方、考えた自分のなかの常識になってしまう方が多いと感じています。
「看護師」は今後どれだけテクノロジーが進歩しても欠かすことのできない”職業”であり”資格”だと思っていて、寧ろその重要性は増す一方だとも思っています。
それが「資格」を活かすのではなく「資格」に縛られてしまっている方も少なくないというのが私の印象です。ですので、少しだけ目線を上げ「資格」を活かす!だったり、資格を無視してみる!!という発想で行動をしてみるとキャリアの選択肢がパッと広がることもあると思います。

「冒険心」

「柔軟性」とも通ずるところがあるのですが看護師という職業柄なのか不確実でも行動ができるという方が少ないと感じています。例えば転職でも「訪問看護には興味があるけど病院での経験しかないので無理です」と、そこでキャリアの選択肢を狭めてしまうという方は一定数いると感じていました。命を預かる仕事でプロフェッショナルとしての自覚と責任が強いからこそだと思いますので、これは一概に悪いとは言えないです。ただ、自身のキャリアとして考えたときには自分の見たことのない広い世界を少し冒険してみることも大切だと感じています。

まとめ

クランボルツの「計画的偶発性理論」から看護師のキャリアについて考えてみました。看護師が100人いれば100通りのキャリアがあることが当たり前です。そこに絶対解はありません。ゼネラリストかスペシャリストか?医療か介護か?もしくはヘルスケアなのか?全く関係ない分野なのか?本当になんでも良いと思います。
大切なのは自分の道は自分で決めること。「計画的偶発性理論」が面白いなと思った方がいれば、これからのキャリアを考えるときの参考にしてもらえたら嬉しいです。

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この記事を書いた人

けんいちのアバター けんいち キャリアコンサルタント

看護師の転職支援に約10年携わり、キャリアコンサルタントを取得。
2020年に看護師キャリアコミュニティ「ArchNurse」を立ち上げ、キャリア支援のプロジェクトを複数展開しながら、産業保健、健康経営関連サービスの企画職として従事。

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