離婚うつから回復カウンセラーの原 つよしです。
前回の記事「あいまいな喪失」の続きで、今日は「離婚」と「あいまいな喪失」の関係についてです。
まず、前回の記事を要約します。
「喪失体験」の中には「あいまいな喪失」という捉え方があり、2つのタイプがあります。
ひとつは「身体的には不在であるが、心理的には存在している」
もうひとつは「身体的に存在しているが、心理的には不在である」
わかりやすく言えば、前者は「現実には、その人自身はいないが、心の中にはいる」
例えば、大切な人が、災害や事故などで、生死が確認されていない場合や行方不明の場合だが、心の中で思っている状態です。
北朝鮮の拉致事件のご家族は、まさにこの「あいまいな喪失」だと思います。
後者は「身体的に存在しているが、心理的には不在である」
例えば、大切な人が認知症や依存症やうつ病で、その人の存在はあるけど、意識喪失のため人格や性格が変わってしまい、あなたの知っているその人ではなくなっているため、心の中には、知っている人(以前のパートナー)はいない状態です。
で、「離婚」は前者のタイプに学術的には分類されていますが、「離婚」は生死とか意識喪失とは異なった複雑な喪失のプロセスがあるので、両方のタイプを行ったり来たりしているとも言えます。
夫婦問題を抱えている離婚前や調停中の時期は、パートナーは目の前に存在しているけど、心の中はもう結婚当初のパートナーではなくなっている状態ですから、後者のタイプですね。
私のカウンセリングの経験上でいえば、離婚後で立ち直れないでいる人は、前者のタイプだと思います。
元パートナーは、離婚しているので、当然目の前にはもういませんが、心理的にはいつも考えている状態です。忘れようとしても、忘れられない、思い出したくないのに、思い出してしまうなど。
心理的に何を考えているかは、人によって違います。
未練や復縁を考えている人もいれば、憎しみや恨みの感情が心に残っている人もいます。
いい思い出でも、嫌な思い出でも、心の中に残っています。
この「心の中に存在しているもの」が立ち直りを邪魔しているわけです。
カウンセリングでは、心の中に渦巻いている立ち直りの邪魔をしている「あいまい」な感情のひとつひとつと向き合って、心の葛藤、迷いを整理していきます。
「あいまいな喪失」の理論を唱えたBossは、このように言っています。
「結婚に幻滅し、離婚を決意し、離婚の手続きを終え、新たな生活が始まるプロセスに一貫して必要なことは、『あいまいな状態に明快さをもたらすための言語化、葛藤の分かち合い』であった」
この「心の中のあいまいな感情」は言語化できるものもあれば、モヤモヤしているものや誰にも言えないこと、隠しておきたいことなど人それぞれ様々です。
まずはこの「心に残っているもの」と向き合って、明快な状態にしませんか?