「常陸の国風土記 -ある島での少年と少女のやりとり-」


本義だけが意味を成し、本義のみがクローズアップされますように


記事転載:In Deep 「「私たち人類はコンピュータ・シミュレーションの中に創られた宇宙に住んでいる?」という仮説理論を検証する実験が開始される」

 


In Deep のトップページは http://indeep.jp に移転しました。よろしくお願いいたします。


 



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▲ 19世紀の科学者コレシャン・ユニティが提唱した「地球の実相」の地球儀。「大地が中心から外側にある」という宇宙論を1899年に提唱しました。もちろん今ではこの地球儀は使われていません。






 


我々が現実だと思っている現実は「本当にリアルなのか」が様々に研究されている


今朝、面白いニュースを見かけたので、ご紹介します。それは、「私たち人類はコンピュータ・シミュレーションの中に生きているかもしれない」という仮説で、なんともバカバカしい話と思われるかもしれないですが、どうもそうでもないようなのです。

「コンピュータ」という言葉を別にすれば、これは紀元前の哲学者プラトンから続くひとつの「概念的な仮説」なのだそう。


たとえば「宇宙は投影されているホログラフに過ぎない」という学説は決して変なレベルではなく、現在、研究が続けられています。

下の記事は、2010年11月の WIRED からの抜粋です。


「宇宙ホログラム説」、超高精度の時計で検証へ
WIRED NEWS 2010.11.04

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われわれの体験する3次元宇宙は、2次元における情報をホログラムのように投影したものかもしれない――「宇宙のホログラフィック原理」を検証する実験が、フェルミ研究所で行なわれようとしている。

この仮説「宇宙のホログラフィック原理」を検証するべく、100万ドル(8000万円)を投じた実験が行なわれようとしている。米国イリノイ州にある米フェルミ国立加速器研究所で実験設備が建設中であり、来年中に、世界最高精度の「時計」を2台用いた実験が行なわれる予定だ。


というようなことになっていて、「この世は、本当にリアルなのか?」ということは、かなり大きな科学レベルでの研究課題ともなっています。


まあ、そういう前例もあるので、今回のような、「この世はコンピュータ・シミュレーションで、私たちはその中に生きているのではないか」というようなことが、大学での国際研究チームによっての調査が開始されてもそれほど驚かないのですが、ただ、こういう話が肥大していくと、

じゃあ、そういう宇宙の中に生きている私たちって何?

という自分たちの存在のとらえ方さえ考えざるを得なくなる部分はあるかもしれないです。


ところで、この記事を読んで、ふと以前知った「地球のもうひとつの説」ということを思い出しました。いわゆる「地球空洞説」というものは、多くの方がご存じかと思いますが、19世紀のおわりに「 Cellular Cosmology 」という地球論があったのです。



19世紀にあった、地球の周りが「皮のような大地」で包まれている「細胞宇宙生成論」


この「 Cellular Cosmology 」という英語に関しては、いくら探しても日本語訳がないですので、便宜上、「細胞型宇宙生成論」ということにしておきたいと思います。

コレシャン・ユニティ( Koreshan Unity )という19世紀の米国の科学者が唱えたものです。


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▲ コレシャン・ユニティ。



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▲ コレシャン・ユニティが描いた地球の内部の図。


彼の唱えた地球の様相は・・・実は私にはその意味がなんだかよくわからないのですが、地球空洞説のように「地球の中心には太陽があり、その周囲を「大地の皮革が回っている」というようなことなのでしょうか。


でも、これは「地球空洞説」と「ホログラフ宇宙論」を合わせたもののような感じとも言えそうな気がします


これは今でもわかりやすい模型を作っている信奉者(?)の人がいて、下の模型などがそうです。

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これをふたつ合わせると、「球」になるわけですが、その中心に太陽がある」というようなことになるらしいです。


通常の地球空洞説についての過去記事は、

米国海軍少将バード提督のすばらしき北極旅行日誌
 2012年06月02日



▲ 1947年に「北極の地下の文明」と接触した記録を残したアメリカ合衆国の海軍少将リチャード・バード提督。



17世紀の科学書「地下世界」に描かれる地球の内部
 2011年09月28日



▲ 17世紀の科学者、アタナシウス・キルヒャー が描いた『地下世界』。


などがあります。

というわけで、ここまでは前振りでしたが、ここから本記事です。なお、本記事の中に「ポストヒューマン」という単語が何度か出てきますので、その説明を Wikipedia から抜粋しておきます。


ポストヒューマン

ポストヒューマンは、仮説上の未来の種であり、「その基本能力は現在の人類に比べて非常に優れていて、現代の感覚ではもはや人間とは呼べない」ものとされる。

ポストヒューマンの形態として、人間と人工知能の共生、意識のアップロード、サイボーグなども考えられる。例えば、分子ナノテクノロジーによって人間の器官を再設計したり、遺伝子工学精神薬理学、延命技術、ブレイン・マシン・インターフェース、向知性薬などの技術を適用することも考えられる。


とのこと。
では、ここからです。





"We May be Living in a Massive Computer-Generated Universe" --Physicists Say Its Reality Can Now Be Tested
Daily Galaxy 2012.12.11


「我々は巨大なコンピュータが創り出した宇宙の中に住んでいるのかもしれない」: 物理学者たちがその現実性をテスト中


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かつて、プラトンからデカルトまで、偉大な哲学者たちは、「この世に見えている光景は邪悪な悪魔が作りだしたものだ」と推測していた歴史がある。

そして今、最新の科学の世界でも、物理学者たちは「この世界がコンピュータが創り出している世界で、我々はその世界に住んでいるのかもしれない」という考えを思い浮かべることがある。

プラトンは、「現実というのは洞穴の中の影以上のものではないかもしれない」とし、そして、人類はそれが影だと気づくことなく、洞穴を出発せずにいると言った。

さらに最近では、英国のオックスフォード大学の哲学教授、ニック・ボストロム( Nick Bostrom )氏は、2003年に発表した論文の中で、「現在の人類が、コンピュータ・シミュレーションの中において生きている可能性」についての概念を発表している。

その論文で、ニック博士は、下の3つの可能性の中の少なくとも「ひとつ」は真実であるだろうと述べた。

1. 人類種は、未来の人類(ポストヒューマン)」のステージに達する前に絶滅しそうなこと


2. そして、どんなポストヒューマンの文明でも、非常に進化した文明のシミュレーションを数多く作り出せることはないように思える。私たちは、ほぼ間違いなくコンピュータシミュレーションの中に生きている。


3. 私たちが、現在シミュレーションの中で生きている場合に限り、ある日、「祖先の文明は間違っていた」と思えるポストヒューマンになる可能性がある。


下の図の赤い円錐の表面は、特殊相対性理論でのエネルギーと運動量の関係を示している。これはアルバート・アインシュタインによる空間と時間に関しての基本的な理論だ。

そして、この結果は「私たちの世界がシミュレーションでないならば」期待できる結果だ。


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そして、上の図で青のフラットな表面は、エネルギーと運動量の関係で、こちらのほうのシミュレーションは「宇宙が、根底にある立法格子である」場合のものだ。

現在の科学での、コンピューターにおける限界と傾向として、研究者たちが最初にシミュレーションをおこなうことができる期間は数十年程度だということがある。

しかし現在、ワシントン大学の物理学者たちのチームは、これらの思想に整合性があるかどうかを見ることができる可能性のあるテストを提出した。

科学者たちは最もパワフルなスーパーコンピュータを使って、その世界の手がかりを得ようとしている。

現在では、100兆分の 1メートルのスケールで、格子の量子クロモ力学と呼ばれている技術を使用して、宇宙を支配する基本的な「大きな」物理法則から、原子核より少し多い程度の非常に「小さな」法則までをもシミュレーションすることができる。

最終的には、より強力なシミュレーションにより、細胞の人間分子のスケールでさえモデル化することができるようになる。

しかし、私たち人類がコンピュータシミュレーションで生きていることを示すことになる物理過程に対する制約というものを理解するには、「宇宙の大きさをシミュレートすることができるような」コンピューティングパワーが必要で、その成長のために何世代もかかると思われる。

この秋、ドイツのボン大学の論物理学者シラス・ベアネ( Silas Beane )博士の研究チームは、このシミュレーション仮説をテストする方法を開発したと述べた。

プラトンが、私たちの感覚は客観的な現実の唯一の弱い反映を提供している、ということを示唆してから 2000年間経つ。今、科学者たちは、格子ゲージ理論的なレベルで、プラトン以来の仮説を再現する試みを行う。

科学者の中には、「そこにはたとえば、アインシュタイン特殊相対性理論の法則に違反するいくつかの法則レベルもあります」と言う。

かつて、カール・セーガンは、

「それまでにない驚くべき主張に対しては、やはりそれまでにない驚くべき証拠が必要なのだ」

と述べている。