地域戦略ラボ

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改めて、いま必要なのはテクノロジーイノベーションである。

日本ではイノベーションは技術革新を訳されてきて、それがイノベーションに対する誤解を生んだと言われています。確かに、イノベーションは技術革新だけを指すものではありません。技術に由来しないビジネスモデルや制度や社会的なイノベーションもあります。

 

しかし、いまイノベーションとして一番求められているのは技術革新つまりテクノロジーイノベーションです。それは、現在が第4次産業革命という時代の変革の真っ最中であるからです。IT技術による第3次産業革命が20年くらいに前に指摘されていてそれから間もないのに第4次産業革命という呼称が適切かどうかは議論の余地がありますが、AI、ブロックチェーン、5G、IoTなどとデジタル技術により経済・社会で大きな変化が訪れていることは間違いないです。

 

今後、日本が経済的に比較的豊かな国であるためにはこの第4次産業革命に適応することが必要となります。しかし、日本においてはコンピュータ科学の人材や企業が少ないという問題を抱えています。Windows95が発売されていたころから指摘されていたことですが、日本の総合国立大学にはほとんど農学部系(最近では生命科学部などの名称を変えているところも多いですが)がありますが、コンピュータ科学部はほとんどありません(工学部の一部の情報工学科という形であることが多いです)。日本は25年にわたって、GDPの1.2%しか占めない農林水産業向け人材育成は比較的手厚く行ってきましたが、これからの産業の核であるコンピュータ科学(デジタル技術)関連の人材育成をほとんど重視してこなかったと言えます。

 

2010年ころまでは日本には技術はあると言われてきましたが、それは従来のものづくり加工技術に関して蓄積がありましたが、デジタル技術に関して特に強みはなかったと言えます。19世紀の終わりのイギリスでも綿織物織機の技術や蒸気機関の技術は優れていましたが、化学繊維の技術やディーゼル機関の技術に優れていたわけではありませんでした。なので、19世紀末のイギリスも技術力はあったと言えます。しかし、その技術は従来型産業分野の技術であり、新しいトレンドにおける技術ではなかったと言えます。日本も技術力があるというのも同じ状況を指していると言えます。

 

米国のGAFAや中国のBATHなどの企業の台頭に日本は全く太刀打ちができないというのが現状です。つまり、コンピュータ科学・デジタル技術力では大きく後れを取っているのが現状です。しかし、デジタルトランスフォーメーションにおいて社会変革を起こしていくためにはコンピュータ科学・デジタル技術力がとても重要となります。つまり、コンピュータ科学・デジタル技術力をベースにしたテクノロジーイノベーションの成否が日本を左右すると言えます。

 

日本は技術立国だとか、先進国だとかいうレッテルは過去の実績に基づくもので、現在の我々への称号ではないです。意味のない過去の栄光にしがみつくのではなく、日本にアドバンテージがあると思うのではなく、諸外国から無心に謙虚に貪欲に学んでいくことが必要だと思います。