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文芸思潮現代詩賞2次選考通過作品の詩です。

 

 

「デートに向かう姉さん」

 

ちょうど夕空のオレンジ色がコバルトブルーに塗り替えられていく頃

デートに向かう姉さんは忙しなくめかしこんでいる

シャワーを浴びた湯気立つ体にはローションをたっぷりと浸み込ませ

ぬかりなくコロンを耳裏と谷間にしのばせる

巻き毛にした髪にはローズの香のオイルを

丁寧な歯の手入れも忘れない

黒のレースのドレスを纏うと次はお化粧だ

おしろいをはたいた肌は生花の花びらのようで

男の指を誘っている

唇は淡いコーラルピンク

まことにきれいな姉さんだ

仕上げに真珠で首元を飾ると

ショールを肩にかけ ヒールを鳴らして出て行った

僕は当ててやる

ドレスの下にはあの大事な赤の下着をつけて行ったに違いない

そうさ、姉さん 恋は楽しまないと

お楽しみは多いだろう

おいしいフレンチ

その後はカフェか、バーか、それとも楽園か

今夜はまことにきれいな姉さん

行ってらっしゃいよ

今宵は甘い夢を 存分に

 

 


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