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新人看護師として就職した病院を3ヵ月で辞めた時のことを話そうと思う

普段ツイッターで偉そうなことを言っている僕ですが、実は看護師免許を取得し、最初に就職した病院を3か月で辞めています。もう10年以上前の話だし、あまり思い出したくもないことなので記憶に蓋をしてきたのですが、今日はこの黒歴史に向かい合ってみたいと思います。

読んでくれた方からお涙頂戴したいわけではなく、なんていうか“1つの例”として見ていただければと思います。今現在、当時の僕と同じように悩んでいる方がいるなら、自分の経験が少しでも誰かの道しるべになれば幸いです。

僕が「看護師を辞めたい」と思うのは必然だった

僕が「看護師を辞めたい」と思うは必然だったの画像

僕が「看護師を辞めたい」と思うのはおそらく必然でした。理由を説明するために看護学生の頃の話を少しします。

皆さん学生の時はきつい看護実習を乗り越えて看護師になったと思うのですが、もちろん僕も同じ道を通りました。僕にとっては看護学実習がとても辛かったんですよね。あまりにきつかったので実習が終わった時は「嬉しい!」というより、就職への危機感でいっぱいだったんですよ。

実習のような日々がエンドレスで続く毎日に耐えられるだろうか…

そんなことを毎日考えていました。

みんなが国試に向けて必死に勉強している時、僕はギリギリまで勉強しませんでした。もちろん余裕があるからではなく、1度国試に落ちて1年間ゆっくりしたいと本気で考えていたからです。

びび

毎日パチンコに行き現実逃避してました…

そんな中、あれは12月くらいだったでしょうか。自分と同じく現実逃避していた仲間が国試の勉強を始めたんです。

びび

え、お前勉強やっちゃうの?
さすがに周りみてたらやばい気がしてきたから

友達

と。

これってマラソン大会でよくある「“ゆっくり走って一緒にゴールしようぜ”って言っときながら最後に裏切られるパターンでない?」と心の中で叫びながら、(別に一緒に走ろうって約束してたわけでもないしな)と、どうでもいいことを考えながら、結局そんなことがあったから自分も焦りはじめ勉強をすることにしたんです。

結果的に看護師になる事が出来たわけですが、こんな気持ちで就職したのでもう辞めることは目に見えていたのかもしれません。「看護師を辞めたい…」と思うのは必然だったということです。看護師として云々の前に、社会人としての心構えができていなかったんですよね。

そんな中、流れに任せて就職することになりました。

「看護師を辞めたい」と思った瞬間

僕が「看護師を辞めたい」と思った瞬間の画像

僕が就職した病院は大学病院でした。

特に何科に行きたいとか希望もなく、「とりあえず一般病棟ならどこでもいっかー」くらいの気持ちで外科に配属になりました。まぁ希望したところでそれが通るような時代でもなかったですし…

配属になった外科病棟は師長・主任以外はすべて20代のスタッフで非常に年齢層の若く血の気の多い病棟でした。絵に描いたような女性社会。病棟に出勤するようになってまず最初に覚えたのはオペ出しでもライン取りでもなく、病棟内の派閥とその勢力図でした。

学生の頃から女性社会だったのである程度免疫はあるつもりでしたが、こんな昼ドラのようなドロドロした女性社会は初めてでした。まぁ僕は男ってこともあってか、あまりそのドロドロに巻き込まれることはなかったのですが同期の女の子たちは大変そうでしたね…

 

指導方法も軍隊のようでした。

今は看護師の離職を防止するために指導も優しくしているというのを友人から聞くのですが、僕が新人の頃は結構厳しかったです。記録を書き始めた頃は先輩にみてもらってOKが出ないと帰れなかったので、やばい先輩につかまるととんでもなく残らされることもありました。

僕の病棟は3交代だったのですが記録がなかなか見てもらえず、見てもらってもOKが出ず、日勤が終わらないためそのまま深夜入りさせられた子もいました。そんな中、毎日「辞めたい」と思いながら仕事に行ってたのを覚えています。

 

僕は当時わりと痩せていました(今は肥えてますw)が、最初の1か月でさらに5㎏痩せました。普通にご飯も食べれていたと思うんですけど体重計に乗ってそれを見たときはびっくりしましたね。

びび

最強のダイエット法やん…

そんなことを考えながら、あっという間に1か月は過ぎていったような気がします。

冒頭で「昔のことだからあまり覚えていない」と書きましたが、昔のことだからというより、当時はちょっと病んでてはっきり覚えていないという方が正解かもしれません。2か月目以降のことあんまり覚えてないんですよね。

ですが今でもめちゃくちゃ鮮明に覚えていることが1つあります。とてつもなく嫌だったこと…。それは

昼食時、休憩に入るメンバーと一緒に食堂にいって、そのメンバーと昼食を食べなきゃいけなかったこと

です。

「え、そんなこと?」

と思われるかもしれませんが、これが僕にとってはほんとに嫌でした。これが「辞めたい」と思った最大の理由といっても過言じゃないくらいのエピソードです。

この風習が病棟独自のものなのか、新人がスタッフに慣れられるようにみんなでご飯を食べようと一時的に取り組んだことなのかはわかりません、3か月で辞めてしまったので。ただとにかくこれが苦痛で苦痛でしかたなかった。朝から緊張の糸が張りっぱなしでようやく迎えたお昼のひと時に、顔も見たくない病棟のスタッフとご飯を食べて、心の休憩がまったくとれずに昼休憩が終わるってことが当時の僕には耐えられませんでした。

師長や主任のクソつまらない話に愛想笑いしながら過ごす数十分。休憩どころかさらに疲労とストレスが溜まる時間。

今はタバコを止めましたが当時は吸っていて、院内に喫煙所もあったんですよね。そこで一人になる時間が唯一の息抜きでした。昼休憩の時も、とにかく一人になる時間が欲しかったし、タバコを1本でいいから吸いに行きたかった。

僕はどちらかというと社会不適合者なのだと思います。普通の人ならそういう状況も我慢しながら乗り越えるのでしょう。でも自分はダメでした。張り詰めた緊張の糸は緩めることができず3か月目に切れました。

もうその頃のことはほとんど覚えていませんが、とりあえず最初は休みをいただいたと思います。“とりあえず”いただいた休みですが、自分の中では「もう戻れないだろうな」と思っていました。だけど「辞めさせてください」という勇気もなく数日間休んだような気がします。

休んでいる期間も生きている心地がしなかったですね…休む日が1日1日と増えるにつれて生き地獄加減もさらに増していきました。

仕事を続けられなかった自分、「明日から出勤します」と言えずだらだら休んでいる自分を毎日責めていました。一番辛かったのは自分より落ち込んだ親の顔を見た時です。「俺は何やってんだ…」とほんとに情けなかった。毎日そんなことを考えていたので心が休まるということはなかったです。

 

ある時、師長もしびれを切らしたのか連絡をしてきました。僕はそこで「辞めさせてください」といった気がします。もちろん「はい、わかりました」とはいかないので、数日後師長と面接しました。部長とも面接したのかなぁ。その辺はよく覚えていませんが思いを伝え、逃げるように退職したことは確かです。

プリセプターさんにはお世話になったにも関わらず、挨拶もせず辞めてしまいました。今でも後悔しています。でも当時は挨拶をする余裕は持てませんでした。ほんとに精神がいっぱいいっぱいだった。後で聞いた話ですが僕のプリセプターさんはその年で病院を辞め田舎に帰ってしまったそうです。おそらく僕が原因だと思います。本当に申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。

ただ退職した当時はそんなことになるとは考えもせず、「とにかく辞めることができた。これで気持ちが楽になる…」と胸を撫で下ろしていたと思います。

ですが楽にはなりませんでした…。

確かに緊張の糸は緩めることができましたが、「何で俺は頑張れなかったのだろう」という自己嫌悪の日々は続きました。

「もう少しやれたんじゃないか」
「きちんと筋を通して辞めるべきだったんじゃないか」

こんなことを毎日考えながら自分を責め続けました。しばらく引きこもっていましたね…

友人が心配して連絡をくれた時も素直に「ありがとう」という気持ちを持てなかった。たった3か月で辞めた自分が情けなくて、恥ずかしくて返事も出来なかったと思います。とにかくほっといてほしかった。数か月はそんな状態でした。 

本当に心の底から気持ちが休まったのはそれからだいぶあとのことです。自分が自信を持って働けるようになった時でした。長かったですね。心にかかったモヤモヤはなかなか払拭することができませんでした。自分はほんとに弱い人間だなぁと今でもそんなことを考えたりします。

これが僕が「看護師を辞めたい」と思った瞬間から辞めるまでのエピソードです。

今でも看護師を辞めずにいられる理由

今でも看護師を辞めずにいられる理由の画像

ようやく気持ちも少し落ち着き、お金もなかったのでバイトをすることにしました。看護師の仕事は懲り懲りだったのですが、やはり看護師は時給がいいのでそれにつられたんですよね。訪問入浴のバイトを始めました。

やったことのある人ならわかると思いますがなかなか業務はハードです。ですが病棟のような忙しさはなく、同僚にも恵まれたのですごく楽しかったことを覚えています。この時の経験が今在宅看護に携わる礎になっていると思います。

 

入浴楽しかったんですけどねぇ。

やはり結局は名前だけの看護師。知識もスキルもないことに怖さを感じるようになります。「やっぱりこのままじゃだめだなぁ」と思い、看護師としての基礎を見つけるべく再度病院に就職することにしました。

のんびり屋の自分には病院での業務はきつかったけどなんとか辞めずに踏ん張りました。どこかで新人という殻を抜け出さないことにはいつまでたってもそのレッテルは貼られたままです。とにかく基本的なことを身につけるまでは頑張ろうと言い聞かせ、毎日仕事に行っていましたね。

働き出して一年くらい経った頃でしょうか、日勤で出勤したら見たことある人が点滴台を転がしながら病棟内を歩いていました。「え?」と思いながら申し送りを聞くと、聞き覚えのある名前。それは最初に就職した病院の外科病棟のチームリーダーでした。

「マジかよ」

と心の中で叫びながら、なんとかその人に会わないように避けて過ごす日々。

ですがそんな日も長くは続きません。夜勤が来てしまいました。その方は点滴があるためどうしても僕が行わなければなりません。更新だけならパッと交換して退室することもできたかもしれませんが、この時は抗生物質のみの抜き刺しだったんですよね。ある程度の滞在時間を要します。「もう逃げてはいられない」と思い、勤務に入ったあとすぐ挨拶にいきました。めちゃくちゃ怖い先輩だったのですごく緊張したのを覚えてます。

「やっぱりそうだったんだ」と先輩も気づいていた様子でした。お世話になったのに挨拶もせず退職してしまったことをその時に謝りました。

その時

「看護師続けててくれてよかったよ」

と言われました。

まさかあのめちゃくちゃ怖い先輩からそんなことを言われるとは思わなかったので、ほんと涙が出そうになりましたね、あの時は。

最初の病院を退職してからずーーっと心のどこかでもやもやした気持ちがありました。仕事辞めても、新しい仕事を始めてもそのもやもやは消えることはなかった。でもこの時、先輩と話をしたことでそのもやもやが消えたんですよね。なんでかはわかりません。でも結果的にあそこで会えてほんとによかったと思っています。その後も僕はその病院で数年働き、基礎は学べたかなぁというタイミングで退職。

そして今は在宅看護の世界で看護師をしています。

終わりに

この記事はただの僕の黒歴史ですが、一応伝えたいメッセージがあります。それは

「無理はするな」

です。

「辛ければ辞めちゃえばいいんだよ」とは思っていません。仕事を変えることは体力を使いますし、文中でも書いていますが新人看護師さんの場合、どこかで踏ん張って看護師の資格を“使える資格”にしておくことが大事だと思っています。

だけど無理はよくないっす。

体さえ健康でいればチャンスはいくらでも巡ってきます。ですが健康を損ねてしまったら、なかなか看護師を続けようという気持ちにはなれないと思うんです。

 

文中に「落ち込んだ親の顔を見た時が一番つらかった」と書きました、これは僕の正直な気持ちです。「せっかく取った看護師の資格だから続けて一人前になってほしい」これが親の正直な気持ちだと思います。ですが今思うと、あそこで続けて僕が潰れてしまったとしたら、おそらく退職より悲しんだのではないでしょうか。親が一番願っていることは「子供が健康で働き続けられること」だと思うんです。

結果論ですけど、僕はあのタイミングで辞めてよかったと思っています。おそらく辞めていなかったら今は看護師をしていないでしょう。

この記事を読んでくれた皆さんはどんな人なのかな。僕と同じように悩んでいる人もいると思います。「新卒3ヵ月で辞めたとしても、看護師として働き続けることができるよー」ってことがわかってもらえればいいなぁと思います。

びび

読んでいただいてありがとうございました!

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