【DDON】レオ闇落ちの妄想を書き綴る。そのに

 

もうだいぶ前のこととなりますが、レオ闇落ちについてのアリス独自の解釈の小説を書きました

 

これは3.4実装前の、ティザームービーを見て思いつくままに書いたお話でした

メインストーリーもプレイし終えた今、「あのままではイカンな…」と思ったので、続きを書いて美しく〆ようと思います!
以下、

『レオその他、登場人物がイメージと違っても大丈夫な方』

『解釈その他が違っても大丈夫な方』

『海よりも深い心で許せる方』

に読んでいただけたらと思います…!

ご了承いただけたら以下、妄想へどうぞ!

 


あなたの未来に祝福

 

『お前に似合いの場所を用意してやった』

 黒い鎧に包まれた騎士…黒騎士、と呼ばれている相手は、言うが早いか、俺をその黒い霧で包み込んだ。
 未だ腹の探り合い中だと言える相手の、暴挙と言えば暴挙に、剣の柄を握ることもしない。何せ、今の俺は黒竜の配下の人間であるからだ。どこへ連れて行かれるのかは不明だが、ざらつく黒い霧に身を任せるしかない。
 冷たい砂のようにざらついたモノが全身を撫でる感覚に、固く目を閉じて堪えていると……ザラザラとした音が聞こえ始めた。聞き覚えのある音だ。だが、なんの音だったか…ついこの間まで永遠とも思える闇の中に沈んでいた意識では、すぐに思い当たるものが浮かばない。
 バシャ、とブーツが水を踏みつける音に瞼を押し上げる。
 目の前には、黒い、海がある。泥のように重く、鈍い動きの波が、寄せては引いてブーツを叩いている。

(ああ。波の音だったか)

 見渡す限りの灰色の空に、黒い海。朽ちた桟橋にお粗末な船。かつての文明の名残りか、崩れてはいるが石造りの建物もある。

「ここは…?」

 見憶えのない場所に眉根を寄せる俺に一瞥もくれず、黒い騎士は滑るように歩き出している。…ついてこいということらしい。
 一つ吐息し、どこか錆びたようなにおいのする空気の中を進み、黒い鎧についていく。
 たどり着いたのは、最初に見たのとは別の朽ちた石造りの建物。その内部へと続く入り口が深淵を覗かせこちらを見ていた。…見通せない暗闇からは魔物の息遣いがする。
 その闇を顎でしゃくり『最奥へ行け』と黒い鎧の騎士は言う。

「……腕試し、か?」
『嫌がらせであることに変わりはないな』
「そう言われて、素直に従うと思うか?」

 顔を顰める俺に、黒い騎士はクツクツと笑う。『女が待っているぞ』と、どこか愉快そうに声音を歪ませて。
 女。
 そう言われて思い浮かぶ姿は一人だけだ。
 ぐっと拳を握って、解く。「誰のことだ」『さてな』黒騎士は鎧を鳴らし、俺の横をすり抜けた。「おい、」追いかけて振り返れば、もう奴はいなかった。…俺に選択の余地はないというわけだ。
 気まぐれな黒騎士が再び現れるまで、この何もない島で暇を潰すか、誘いに乗るのは癪だが先へ進んでみるか…。どちらが早くこの場所から脱せるかは、考えるまでもない。
 諦めて腹をくくり、建物の戸口の向こうの深淵へと、一歩を踏み出す。

 

 暗闇へと入り、目を凝らしながら歩みを進めると、先ほどまでの朽ちた建物とは違う、しっかりとした造りの建造物の中に出た。
 触れる空気も明らかに違う。陰気臭い潮の香りはせず、石と、どこか水のかおりがする。どういうカラクリかは知らないが、ここは先ほどまでいた寂れた島ではなさそうだ。
 どこか、ポーン郷の地下を彷彿とさせるような石造りの回廊。そこに骨や骸が転がっている。
 今更どうということもない敵を剣の一振りで薙ぎ払い、一本道をさらに奥へと進む。
 最奥を目指せ、と奴は言った。そこがゴールだ。目指して進むしかない。
 通路にはびこる骸をなぎ倒し、奥で待ち受けていた甲冑と鎧の霊を二体一の状態でどうにか斬り伏せた。
 カタカタと骨を鳴らして空中で援護魔法を撃ち邪魔だった骨には剣をぶん投げて黙らせる。

「…一体、何がしたい」

 どうせどこかでこっちを見ているんだろう黒騎士に向けてぼやくが、当然、答えはない。
 落ちた剣を拾い上げ、階段を上がると、また深淵を従える戸口があった。…ここに入れということらしい。
 諦めて闇の中に入ると……これまでとはまた雰囲気の違う場所に出た。同じくどこかの建物の中だが、地面には血のようなものがぶちまけられ、ミイラの姿がある。それに、手首にはめる枷、鉄の足枷に鎖…。まるで、拷問する牢のような小部屋だ。
 剣を握ったまま、気を抜かず、人骨を避けて階段を下りていく。

(なんなんだ、ここは)

 狭い通路を抜けた先にいたのは霊のように揺らめく魔物。そして、天井からぶら下がる、息絶えた屍たち…。
 狭い螺旋階段を慎重に下り、廃墟の中を歩く人骨を斬り払い、牛の頭飾りをつけた人間か、あるいはそういった人型の魔物か…判別がつきにくいが、とにかく、こちらに向けて無骨なハンマーを構えるモノの首を刎ね飛ばす。
 魔女のような霊を斬り、人骨が散らばる狭い通路をさらに下へ、下へ。
 この場所に散らばる人骨と、壁や床に水たまりのように染みた錆びついた血の臭いが全身に覆いかぶさってくるようで、どことなく、足取りが重くなる。
 遅い歩みで階段を下りきり…広い場所に出たと思えば、そこにいたのは見覚えのあるカタチだった。
 そう、確か、あれは…ズールだ。黒騎士の配下。こんなところで何をしている?
 もともと会話など通じた憶えはないが、相手はこちらを見ると同時に襲いかかってきた。やむを得ず応戦し、苦戦はしたが、斬り伏せることができた。
 ズールが塞いでいた先にはまた例の深淵の戸口がある。
 戸口をくぐり、次に目にしたのはまるでディナンにあるような緑に覆われた建物群。
 その次に見たのは、闇と血だけがある冥界の底のような場所。そこで巨大な目に触手を生やしたようなおぞましい魔物と全力で闘い、石になりかけた左腕を犠牲に、右腕のみで巨大な目玉を叩き斬った。

 奥へ、奥へ。
 黒騎士に言われるまま、傷の増えていく体で、ただ奥へと突き進む。

 そうして最後にたどり着いたのは、霊と骸と骨しかいない死者の都。
 現れた骨の騎士を斬り伏せ、錆びついた兜を蹴飛ばし進む。
 建物の間に渡されたロープに洗濯物のように引っかかっているボロ布。
 腐ったかぼちゃ、腐ったりんご、枯れた花の並べられた、売り手も買い手もいない店。
 まるで本当に、ここで死者が生活しているとでも言いたいかのような、日常生活を思わせるピースがそこかしこに転がっている。
 霊と骸が蔓延る町を抜けると……最後にふさわしい、重厚な扉が見えた。そこには黒騎士がいる。俺の視線を受けて奴はクツクツと喉の奥で笑う。

『随分と無様ではないか。白竜一の覚者が』
「それはもう俺のことじゃない。……それよりここは、記憶の再現か? 見覚えのある場所が多い」
『さてな。すべて、女に訊くがいい』

 黒騎士の言葉とともに、重い音を立てて扉がひとりでに開いていく…。

 

 


 

 

 深淵。
 奈落。
 青い空、夕焼け、星空。そういった空があるべき場所に宇宙を宿した空を見上げていると、ゴン、と重い音を立てて扉が動く音が響いて聞こえた。開いたのだ。わたしがいくら押しても引いてもビクともしなかったあの扉が。
 ここは、他に何もない、だだっ広い、朽ちた教会のような場所。
 ここで目覚めたわたしは、なんとかここから出られないかと最初はアレコレ頑張って、そして諦めた。ここがわたしが辿り着くべき地獄なのだと受け入れた。他に何者もなく、ただ己の自己とだけ向き合う永遠の静寂がわたしへの罰なのだと、そう思った。
 わたしは仲間を裏切った。わたしがミシアルを追い詰めた。わたしは覚者失格だ。わたしは。わたしは……。
 ここがわたしの地獄。
 ここがわたしの深淵。
 ここがわたしの、堕ちた底。

「…レオ?」

 それなのに、扉の向こうから、レオがやってくる。歩いてくる。左腕を石化させて、右足を引きずりながら、歩いてくる。
 もしかしたら、夢かもしれない。わたしの都合のいい夢かも。そう思って手を伸ばして、レオをすり抜けるかな、と思った手は、あろうことか、レオの手にしっかりと握られてしまった。「イリス」と、名前まで呼ばれてしまった。
 強い力で引き寄せられて、抗えずに、広い胸に額をぶつける。…盗み見た彼は、痛み以外の何かを堪えている顔だった。「ボロボロ、だね」「ああ。そうだな」…久しぶりの会話にも、相変わらずの素っ気なさ。変わらないなぁ。

(その男を堕とせ)

 わたしの中で、わたしじゃない声が言う。一瞬体が強張って…でも、すぐに力を抜く。
 ……それ、覚えがある。アークの中でも同じようなことをされたっけ。
 馬鹿ね。女が何度も同じ手に引っかかると思うの?
 あなたが誰かは知らないけど、わたしはわたし。あなたがわたしをここに生み落としたんだとしても、わたしはもうわたしなの。イリスなの。
 これが夢でも、わたしの断片でも、都合のいい幻でも、なんでもいい。こうしてもう一度レオに会えたことは、本当に、嬉しいから。

(お前を見捨てた男だ。憎いだろう。許せないだろう)

 ……そうね。あんな最期になってしまったことに心残りがあったことは確か。
 でも、それを利用されてしまったんだとしたら、わたしは覚者としても人としても未熟すぎたね。
 ねぇ、誰か知らない、あなたに教えてあげる。
 確かにレオはわたしを見捨てたかもしれない。最期に手を取ることもしてくれなかったかもしれない。
 でも、そういうものでしょ。何かを追いかける男、って生き物は。
 それがわたしだったなら、そりゃあ嬉しかったけどさ。そうじゃなくても…彼の追いかけるものが、わたしとは別のモノでも。わたしを見てほしいって思っても。それでも最後には、応援してあげちゃうのが、惚れた弱みってヤツだと思うんだよね。
 だから、レオからの抱擁、なんて夢みたいな時間は、もう終わり。
 腕を突っぱねて彼を突き放しながら、珍しく無防備な彼の剣の柄に手をかけて引き抜いた。その切っ先を迷わず自分の喉元に突きつける。
 同じ手は、二度は食わない。
 そう何度もわたしを誰かに引き渡したりはしない。もう、利用されたりは、しない。

「イリスっ」

 どこか必死な顔をしたレオに、最後にどんな顔をするべきか。考えるまでもなく、わたしは笑顔を浮かべていた。

「レオは、レオのしたいことをして。進みたい道に行って」

 それが、わたしが好きになったあなただから。
 それでときどき、わたしのことを思い出してくれれば、わたしはそれで充分だから。
 一度は死者に仲間入りした身のわたしだ。もう一度、今度はあなたのために、あなたを想って逝くのなら、もう怖くはない。
 今度こそ、さようなら。わたしの愛しいひと。

 

 


 

 

どうしても黒呪の島の最後にイリスがいることが気になって、ちょっと結びつけてみました

ええ、こうだったらいいなという妄想です!\( ゚д゚ )/
黒呪の島はレオを闇落ちさせるために黒騎士とかが用意したもので、だからイリスもあそこにいて、でも結局イリスが良い娘だったのでレオは闇落ちしないで自分のすべきことをする道に戻ったのだ…という妄想です!!
こうだったらいいなぁ(´・ω・`)

 

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