前回記事ではフェントンハウス・ガーデンのエントランスエリアを見ていきました。今回は生垣ゲートの内側のボーダーガーデンを見ていきたいと思います。レンガ壁の手前に約1.5mほどの幅の花壇があり、手前を45cmほどに綺麗に刈りそろえた西洋ツゲ、ボクサス・ミクロフィア (Buxus microphylla) の生垣が囲みその奥にバラや多年草、球根が植えられています。レンガ壁にはツルバラやその他ツル性植物をはわせてあります。
壁面を覆っているのはロサ・クライミング・エトワール・デ・ホランド (Rosa 'Climbing Etoile de Hollande') で鮮やかな赤い花を一面に咲かせています。その手前には「ヤギのヒゲ」の異名でお馴染みのアルンクス・ディオイカス (Aruncus dioicus) とスカビオサのような大きな花を咲かせるセファラリア・ギガンテア (Cephalaria gigantea) が置かれています。どちらも白色からややクリーム色がかった薄めの色合いで、鮮やかなバラの印象を緩和して落ち着いた仕上がりにしています。
このボーダーガーデンでは垂直に花穂を伸ばす植物が多用されています。似た形態のものを選択して組み合わせると植栽に統一性が生まれます。ここではディジタリス・パーピュレア (Digitalis purpurea) に白色のバーバスカム・フォエニセウム・フラッシュオブホワイト (Verbascum phoeniceum 'Flush of White') と黄色のバーバスカム・チャイキシアイ・ゲインズバラ (Verbascum chaixii 'Gainsborough') が組み合わせられています。
ディジタリスのベル状の花に合わせてユッカ・グロリオサ (Yucca gloriosa) が用いられています。とげとげしい常緑の葉のイメージとは掛け離れた形態の花を咲かせています。
エキウム・カンディカンス (Echium cancans) の大きな花穂は花をつけつつあります。青色の細かい点のように見えている開きかけの蕾はやがて花穂全体を青く染めます。常緑で2mほどの大きさに成長します。
コティナス・コーギグリア・ヤングレディー (Cotinus coggygria 'Young Lady') はスモークブッシュとも呼ばれピンク色の細かな花を咲かせその様子がまるで煙のように見える小型の樹木です。
その手前にはグローブアーティチョークとしてお馴染みのキナラ・カドンキュラス (Cynara cardunculus) の銀色がかった枝葉が覗いています。ボーダーガーデンにはお馴染みの品種で背丈は2mほどに達するためスペシメンとして数本配置するという用法が一般的です。草原的な風景から形式的な庭園まで幅広く使用されます。
今回の植物
アルンクス ディオイクス
セファラリア ギガンティア
EXPERIMENTAL GARDEN