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 …5都道府県の緊急事態宣言も、ようやく明日5月25日に解除される見込みと相成った。

 長かった?長かったであろう。そして犠牲も多かったであろう。

 

 現在『エール』で小山田耕三を演じている志村けんなどは、もうこの世にいないのだ。敢えてわかり切ったことを言う様であるが。

 



 そして『エール』もこの『麒麟がくる』も、
間もなく放送中断期間に突入する。

 一応これも書いておきたいが、6月を待たずしての緊急事態宣言解除は、決して早い決断という訳ではない。段階的解除という方針が打ち出されている通り、経過観察の意味合いの方が多分に強く、当面の間、第2波の可能性を常に念頭に置いての日常生活となる訳で(「新しい生活様式」なるキーワードを知らぬ者は、恐らくおるまい)…何が言いたいかおわかりであろうか?例えこの2作品および他民放のドラマが撮影再開したとしても、最悪の場合、即また中断となる。

 『麒麟がくる』が再び撮影中止に追い込まれた場合…本当に残念ではあるが、今度こそ2020年中は制作断念に追い込まれる公算が高いであろう。

 大河ドラマ史上初の「放送中止」…この不名誉な記録だけは、関係者一同免れたいであろう。

 ただしこればかりは、現実に何が起こるかに拠っては、例えNHKと言えどもどうにもなるまい。

 最早成り行きを、天に任せるしかないというのが、正直なところではないか。


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 前回私は第18話「越前へ」が、特に脚本の岩本麻耶であることに触れずあたかも池端俊策のペンになる様な言い回しをしてしまったのかも知れない。なのでより正確に言い直すと「池端俊策の総合プロデュースに拠る岩本麻耶の脚本」、ということになるのだが、いずれにしても池端俊策が明確かつ考えられたコンセプトで統合感を維持しているのは間違いないところなので、あながち誤っているとは思わない。

 何故こんなことをわざわざ言うのか?今回のペンは前川洋一が握っているからなのだが、その統一感も出来も、全く損なわれていない。却って円熟期への突入を感じさせる今回の第19話「信長を暗殺せよ」は、これまでにも増して密度が濃い。


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 信勝(木村了)が殺されたことを知った土田御前(檀れい)は、その悲しみに打ちひしがれ、悲嘆の矛先を信長(染谷将太)に向ける。幼き頃から母上より遠ざけられたと絞り出す様に訴える信長に、これまでいつも私の大事なモノを信長は壊してきたと嘆く土田御前。しかしながら、信秀も信勝も亡き今、土田御前にとって信長は唯一の拠り所…御前の信長への愛憎は、ここに極まっていった…。

 


 
 越前。十兵衛光秀(長谷川博己)ら明智家は、結局朝倉義景(ユースケ・サンタマリア)に仕えず、あくまで浪人としてこの土地で生活していた。

 義景から呼び出しを受ける光秀。義景はあたかも土岐頼芸(尾美としのり)を彷彿とさせる様な、立派に育て上げられた鷹を披露する。恐らくは頼芸が脳裏をよぎったであろう光秀…この鷹を手土産に、義景は光秀に京に赴いて欲しいのだという。目的は公方・足利義輝(向井理)への謁見である。義輝は約5年に渡り争っていた三好長慶(山岸和弘)と和解し、落ち延び先の近江から京に戻って来るのだ。義輝は将軍の権威を回復させんと、諸大名に上洛を求めたのである。

  上洛した光秀は、三淵藤英(谷原章介)・細川藤孝(眞島秀和)の兄弟に迎えられる。ふたりの計らいで義輝が観る能の場に光秀も参加することになったが、その場にはいまや袂を分かった斎藤高政改め義龍(伊藤英明)もいた。また、信長も義輝に呼応しこれより上洛して来ることも、光秀は知る。

 義龍は京にて、かねてより企んでいた信長暗殺を決行する…これを伝え聞いた光秀は、義龍を阻止せんと、かねてより因縁のあった松永久秀(吉田鋼太郎)に協力を持ち掛ける。

 



 久秀は巧みに義龍の計画を誘導し、義龍は信長暗殺を諦め去るを得なくなる。だが義龍は、久秀を通じ光秀に会わせろという。

 義龍は光秀の懸念に反し、ゆっくりと心情を光秀に吐露する…兄弟を手に掛けたこと、父・道三(本木雅弘)を殺めたこと…そして美濃守護代となったいまも、服従する家臣の腹の内がわからないという心の内を素直に漏らし、ふたたび光秀に臣下にならないかと持ち掛ける。しかしながら光秀は、道三の語っていた「大きな国」の話を思い出し語るとともに、義龍の申し出を頑なに拒否する。完全に義龍と決裂した光秀…。

 



 松永光秀は義輝謁見後の信長と会見したことを、光秀は知る。既に信長は、弱体化した将軍家を見限ったこと、尾張侵攻を進める今川義元(片岡愛之助)を警戒し国替えまで申し出たこと…これらを光秀に、松永は語り聞かせたのであった。

 



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 どのシーンも印象深い。が、過去記事にも書いたが、義輝が光秀や義龍らを迎えて能鑑賞に興じる場面の場面は大河ドラマの伝統であり、時代を超えて数多の過去作品との繋がりを見出すことが出来る、特に感慨深いシーンである。

 古くは
『樅ノ木は残った』『独眼竜政宗』等、重要な場面で映像として現れた能に、思わず魅入る大河マニアは多いのではないであろうか。

 皮肉な話だが、『麒麟がくる』を通じ脳裏に蘇った過去作品と『麒麟がくる』が、史上初めて2か月前後の放送中断という記憶に置き換わりそうだなんて…せめて、完全なる作品の頓挫だけは…どうか避けられることをいまは祈るのみである。


 放送一時中断まで、あと残り2回。