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 人は誰しもが潜在的に、「死」の描かれ方に関心を持っている。理由は様々だろうが、最大の理由は、自分自身の「死」を見届けることが何人たりとも不可能なこと…これではないかと思う。
 
 
 無論、死に臨んで胸の内に去来するモノは何か…走馬灯に何が駆け巡るか、とか何々のためにもっと生きたかったとか…死後も意識は保たれるのかとか…それぞれの個人的な思いを知りたいという欲求はあるだろう。
 
 だが…「この世に何を残せたか」、「その人が生きた証とは何か」を知る瞬間であること…これこそが結局は個人的な思いに勝るのだろう。そう信じたいし、どれだけそれまで享楽的・刹那的に生きようとも、最後の最後に積み重ねられた「生」そのものの最終的な意味について、人は考えずにはいられない…人間とそれ以外の動物を分かつモノがある限り、ここからは決して逃れられないハズだ。
 
 昨日完結した『100日後に死ぬワニ』がヒト以外の生き物でそれを表現していたのは、何とも逆説的であり、皮肉にも思う。
 
 
 そこで『スカーレット』だが…3月21日未明現在、川原武志(伊藤健太郎)の死まであと7話…最終回までの日数に換算すると、きょうを含めて8日間、である。
 
 今は証拠や根拠など言いたくないが、実はこの白血病と闘う武志が、NHKドラマの伝統芸である「ナレ死」によって生涯を閉じる可能性が浮上してきている。
 
 
 ここまで『スカーレット』を追い続けてきたアナタは、これについてどの様な思いを抱かれますか?
 
 裏切られたと思う、朝ドラだから致し方ない、武志が苦しむ姿を観ずに済む、喜美子(戸田恵梨香)が武志を看取る姿を描かないなんて…それぞれの思いはあるだろう。
 
 しかし何といっても、この意見が大多数を占めるのは想像に難くない。
 
 「やはり、(武志の最期を描くには)尺が足りなかったんだな」、と。
 
 そうなると、これまでのストーリーの意義について、厳しく問い質(ただ)す意見が、少なからず噴出するであろうことはほぼ間違いあるまい。特に来週、どの様な描写に時間を割くか次第では、最悪炎上したっておかしくはないとすら私は思っている。 
 

 「"スペシャル・サニーデイ"って必要だったの?」とか、「スッポンなんか食べている場合だったのか!」とか。  

 

 

 いずれ必ず明らかになるこの成り行き、そして結末とその反響については追々(おいおい)綴っていくとして。今日はNHKにおける「ナレ死」の歴史を、ごくごく簡単に振り返ってみよう。

 
  「ナレ死」を一躍有名にしたのは、言わずもがなの2016年大河ドラマ『真田丸』な訳だが、それまでも朝ドラ・大河ドラマにおいて、時間軸を飛ばす為に用いられてきた手法である。もちろん、「ナレ死」というキーワードを定着させたのは、他ならぬ『真田丸』な訳だが。
 
  『真田丸』において三谷幸喜は、「直接、真田源次郎信繁(堺雅人)が見たこと以外は基本的に描かない」ポリシーの許、あまりにも有名なあの有働由美子アナの語りによって、いかなる歴史上の有名人物であろうが情け容赦無く「ナレ死」で葬り去らせた。「ナレ死」は歴史的イベントの描写を心待ちにしていた視聴者に衝撃を与え、ネット上でも様々な物議を醸し出してきた。
 
 
 『真田丸』以降も『おんな城主 直虎』『西郷どん』において、この「ナレ死」を多用し時にはドラマのテンポを心地良いモノとし、時には視聴者に物足りなさや失望感を与え、ネット上を賑わせてきた。
 
 「ナレ死」の担い手としてあまりにも有名になった有働由美子アナは、個人的にお葬式の司会を依頼された、なんて話もある。
 
 朝ドラでも2017年『わろてんか』にて、ヒロイン藤岡てん(葵わかな)の兄である藤岡新一(千葉雄大)がナレ死させられたこと、そして2016年『とと姉ちゃん』ヒロイン小橋常子(高畑充希)父・竹蔵(西島秀俊)のナレ死が特に有名かと思う。
 
 
 
 しかし今回、『スカーレット』が武志をナレ死させるとなると…これまでのナレ死の用い方とは明らかに異なる。
 
 たった1ヶ月足らずの間とはいえ、物語の重要な核でしかも最大の山場を牽引してきた武志のナレ死、である。
 
 こんなことをして無事で済むのであろうか…新たな映像表現の分類程度で収まる話にはならないと思うのだが。
 
 『100日後に死ぬワニ』のワニでさえ、その最期が婉曲的に描かれていた。
 
 
 散々引っ張った挙句の武志のナレ死…白血病による死と最後まで向き合う武志のその姿が、時間軸とともに飛ばされる…これが果たして視聴者に許容され得るのか、別の意味で静かに期待している。 
 
『火火』より。神山清子(田中裕子)、賢一(窪塚俊介)母子、別離の場面。
 

 

(つづく)

 

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