若返ってくかのようじゃ…

 






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信仰、

トーテム、

チュリンガ!!

 

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「この同化は甚だ自然に行なわれ、たびたび説明なしにすまされている。神話が人間を語っているかと思うと、突然に、話の途中でカンガルーになったり、その逆が行われたりする。(中略)『カルビに二羽の鷲が棲んでいた…。彼らは高い岩の上に巣をつくっていた。またこの巣には二羽の小鷲がいて、これらを年とった鷲どもは、ワラビの肉で育てていた。ある日、年とった二羽の鷲はすまいから遥か遠くへ飛んで行って、そしてエリチャクワタに着いた…そこで灰色のカンガルーを槍で突き殺した。』これらの年とった鷲どもは、それでは人間であったのだろうか、いつ彼らは人間の姿をとったのだろう。神話はそこのところをはっきりとさせる必要を認めていない」

 

引用 : レヴィ=ブリュル著 ツタ原始神話学ツタ

P62~P63ℒ

 

 

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 「海鷲の息子が、父親が鳥になる〈デマ〉であることを発見し、そして母親に知らせた。鷲はそれを知って、妻が彼の秘密を洩らす前に、友人に妻を殺させた。 ――ある娘が泉のそばでカンガルーを見つけて、それを捕えようとした……。翌日、彼女が水を汲みに行くと、美しい飾りをつけた若者が彼女を待っていた。それはカンガルー・〈デマ〉であった。『わたしと一緒に来ませんか』……その翌日、彼は娘を奪った。皆は消えた彼女をくまなくさがした。その時、娘サマニムが森から出てきて母親に、ヤノは本当の人間でなくて、カンガルーに姿を変えることのできる〈デマ〉だと告げた。」

 

引用 : レヴィ=ブリュル著 ツタ原始神話学ツタ

P224~P225ℒ

 

 

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  ジェームズ・クック船長、≪リュシアン・レヴィ・ブリュル≫という学者をご存知でしょうか……。第一次大戦前夜に活躍したフランスの文化人類学者で、彼はオーストラリアをこよなく愛する男でした。ちなみに文中にある<デマ>というのは神話学の世界に於いては≪神的存在≫を意味する言葉なのだそうです。ドビュッシーと同じ時代を駆け抜けた風の足跡……。彼も心のどこかで「喜びの島」を夢見ていたのかもしれません…——

 

 

  曇り空の奥に消え入りそうな星を見つめ、風の旅人は思い出の海に呟いた「疲れた…闇に沈ませてくれ…——」音のない夜の闇。記憶の光の外でMossmanRiverが夕方の旅人を音もなく包み込んでいった静かに

 

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  あっという間にMossmanDaintreeRdに日が暮れて一人ポツン。バカな事をしでかしちまった。命がけの旅なのに最後のスーパーマーケットで肉ひとつしか購入しなかった。困った。今夜はこの「Newell」のどこかで野宿しようとなった。時の止まった場所がある。2日間も徹夜が続いたのは久しぶりの事だった。しかも食事もままならない状況。NewellはMossmanDaintreeRdの途中の小さな田舎のビーチだ。奥田舎といえるだろう。離島と同じぐらい、な~んにもない。あるのは牧場それに少しの民家と一軒の小さな駄菓子屋ぐらいのものだった

 

  Newellの古びたアイス

 

  しかもブヨだかアブだかが大群でチクチク刺してくる。半ズボンなのだからたまらない。だがしかし道も景色もサイコーに素晴らしかった。いつかまた訪れてみたくなる場所の一つだ

 

  時の止まった牧場の風景

 

  Newellはクロコダイル(イリエワニ)が出没するといわれるMossmanRiverの河口にあり、そのワイルドさといったらハンパなく格別のものであった。山、ウマ、原っぱ、毒ヘビ、川、ワニ…Daintreeへと近づくにつれて辺り一帯の景色は寂れた荒野、いや野生の原野を帯びていく

 

  MossmanRiverの河口

 

  ここMossmanRiverの河口は夜が迫るにつれ、雨の影響によるのか道路が一部水没冠水してしまった。モラルハザードに閉ざされたテロリストだらけの時代の波が押し寄せ、来た道が水の中へと消失してしまった上、周囲には街灯もなく、ジブンはジブンの道が、来た道が故郷がわからなくなりパニくってしまった。生まれる心臓の鼓動を、命と続く苦難の道を、頼りない100均ライトで照らしつけながら、そのレガシーを風の礎に(刻み)心の灯が点った静かに

 

  暗黒の闇を照らす100均ライト

 

 「お、誰? こんな夜に…——」と民家から男が出てきて「国道ならあっちの方角だよ…——」と教えてくれた。銃規制前夜の海だったら外国人であるジブンなどどうなっていた事だろう。やはり水没道路しか道はないようであった。それほど水深は深くはないが、心の闇の奥からクロコダイルが息を潜めてこっちを見ているような気がしてならない。いつの間にか影は水没道路の両端のブッシュを掻き分け掻き分け慎重に慎重に進んでいた。だがしかしそこには<毒ヘビ>という最大の危険が潜んでいる可能性が特大なのであったが「海辺に蛇なんていないだろう…——」という甘い考えもあった。それにワニに噛み砕かれてバラマンディのエサとなるよりはマシであると踏んだのだ。こんな場合あえて大きな足音をたてて歩く方が(蛇が危険を察知して逃げてくれるので)安全なのだが、空腹で体に力が入らない上、カラッポの頭に≪肉≫しか思い浮かばず、真っ暗闇を100均ライトで照らしつけながら風のような静けさで足を運んだ。天候が不安定で月の光も闇に閉ざされつつあり、雨が降りはじめていた。100均ライトと不屈の精神力のみを頼りにしばらく進む…と民家よりも明るい救いの灯が見えた。「レストエリアだ…——」こうしてなんとか無事に真っ暗闇を抜けて安全な場所に辿り着くことが出来た

 

 

 

 

  フラフラの亡霊状態で肉を食べた。しかし肉の匂いを嗅ぎつけたのか、なんともはや安全であるはずのレストエリアはすでに侵食された遺跡でしかなかった。ワニを一部の地域で絶滅に追いやった事で恐れられている毒ガエルが姿を見せたかと思うと、その後<タイパン>だろうか驚くべき事に毒ヘビが現れた。出来る限りの範囲で近接撮影をこころみた↓

 

 

  まだ子供なのだろうか小さい体だが世界一の毒を持つ。マムシの8000000倍といわれるその神経毒は一噛みで125000頭のマウスを死に至らしめる。全体のうち約7割がコブラ科の毒ヘビであるというオーストラリアでは黒色と茶色の蛇が特に恐れられているのであり、あのような無地の黒っぽい色の個体は「インランドタイパン」である可能性が高いのらしい。しかしインランドタイパンはその名のとおり内陸部にしか生息していないし民家の近くで発見されることは滅多にない。だがしかし本来あるべき場所以外の地域でも時々発見されてニュースとなっているようだ↓

 

 

  だがしかし暗い場所では判別が困難だ。毒ヘビといっても様々で生息する地域によっても色や性質が異なる。オラが出会ったあの毒ヘビはもしかすると「ブラウンスネーク」だったのかもしれないがもし噛まれれば一命をとりとめてもこうなる↓

 

 

  前日に引き続き今夜も雨が降り出した。 「完全に異常気象だ…——」秋の奥田舎Newellは本当に寒かった。冷たい夜風と雨が、暗く静まり返った原野のレストエリアを≪ザワリ・ザワリ・ゾワリ・ゾワリ…≫打ちつける中、寒さでなかなか眠れない。それにしても海辺で蛇を見たのは初めてだ。なぜこんな場所にいるのだろう…。

 

 

 

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夜のNewellで

小さな毒蛇と出会ったよ

 

消灯後のレストエリアに

冷たい風と静かな雨が打ちつけ

浅い寝夢を包み込んでいったよ

 

誰もいない原野は詩ったよ

サイモン&ガーファンクルを

蝶のような蛇のような胸へ~...

 

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Hello darkness, my old friend
I've come to talk with you again
Because a vision softly creeping
Left its seeds while I was sleeping
And the vision that was
planted in my brain
Still remains
With in the sound of silence

 

~~~~~~

 

In restless dreams I walked alone
Narrow streets of cobblestone
'Neath the halo of a street lamp
I turn my collar to the cold and damp
When my eyes were stabbed by
the flash of a neon light
That split the night
And touched the sound of silence

 

~~~~~~

 

影は深いため息をつき,

目を閉じ, ふと思った

 

そっか, 子タイパンも旅してんだ

旅の途中なんだな~...

 

 

 

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「人の心には蝶や蛇が住んでいる。もしジブンが蝶ではなく蛇、それも嫌われ者の王者<タイパン>に生まれていたらどうするだろう。おそらく山に引きこもって出てこないだろう。だが時には≪青春≫を夢見るのかもしれない。そして高い崖の上から時々<ニンゲン>を眺めるのかもしれない。そしてたまにはファーストフード店やゲーム店に入ったり川や海へと旅をしたりするのだろうか…——

 

 


 

 

次回:この道の先

<小休止>


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