2019年のブログを再編集したものです

ザイン専門学校時代のS君の話。
入学して2ヵ月位経つと
クラスで親しくなった仲間達が
パーティーや飲み会と称して
学校の近くで集う事が多くなった。
私達のグループも
まだ酒のあしらいも未熟なまま
あちらこちらへよく飲みに行った。

性4人,女性3人のメンバーの中に
天皇陛下似のS君がいたが
真面目そうな性格と
男子校出身だったゆえに
女性と喋るのは苦手らしく
いつも伏せ目がちで
木訥(ぼくとつ)とした語り口が特徴だった。
どこかshyな雰囲気が逆にウケて
みんなはそんな彼を
好意を持って受け入れていた。

休みを前に私は
海水浴に行こうとみんなに提案した。
そこは大阪からほど近い日本海にあり
福井県でも有名なリゾート地。
幸い父の実家でもある事から
近所の民宿へのコネも手伝って、
早々にも予約が取れる情報を元に
満場一致で決定したのだった。

実際の若狭高浜のビーチ

は穏やかで透き通った海は
毎年関西や四国、関東地方からも
多くの海水浴客が訪れる。
私達一行はディーゼル列車に乗って
ひとときの小旅行を楽しんだ。
現地まで乗り継ぐ事2時間半、
着くや否やみんなは早々に着替えて
海へと繰り出したが
真夏の陽の光を
体に焼き付けた夕方には
メンバー全員遊び疲れて
今までにない程の空腹を催した。

照った体に夕食のビールが滲みたが
 S君はあまり食べず
明らかに早いペースで
ビールばかりを飲み干していた。
真面目で無口な彼が
徐々に壊れていくその姿に
みんなは少し引いた。
しばらくして彼は芸をすると一言。
部屋の電気を消すと薄暗い中で
彼はバーミューダパンツを脱ぎ
グンゼの白いパンツ一丁
スケキヨ!と発しながら、
映画"犬神家の一族"
ワンシーンを真似た(↓)ポーズで


その態勢のまま10秒程
足を自転車を漕ぐように動かすと
100円ライターを点火して
肛門付近にそれを当てた。
中低音の鈍いオナラの音と共に
青と黄色のマーブル色の火花
暗い部屋を彩った。
次の瞬間、
腹を抱える程の大爆笑が巻き起こり
彼は一躍宴会のヒーローになった。
その場では
ほのかに髪の毛を焼いた匂いがしたが
それはS君の肛門の毛が焼けた事を
のちに本人から聞いた。

学期が始まると
S君の話はクラス中に広まり
一発芸のスターとなった。
そのせいか、
彼は人が変わった様に明るくなり、
デザインの仕上がりまでも
凌駕した感さえあった。
後にあの芸を見たいと
他のグループからも声がかかり
おならの師匠となった彼は
それを伝授すべく会の名前を考えていたが
侃々諤々(ケンケンガクガク)私達は頭を絞った。
屁を燃やす会なら当たり前だし
へーもすの会も芸がない。
いっそ解らなくして
ヘモスカイ!
1発決定だった。
そんな彼も
現役のグラフィックデザイナーとして
今も活躍していると風の噂で聞いた。

(注)後から知った話。下手にオナラを燃やすと
腸内引火で死に至る大事故になるらしい。(;゜0゜)
くれぐれもマネをしない様に。