カトリック社会学者のぼやき

カトリシズムと社会学という二つの思想背景から時の流れにそって愚痴をつぶやいていく

「信者の心得」と「献金」 ー 第39回横浜教区典礼研修会に出る(3)

2020-02-17 15:24:56 | 教会

 「カトリック信者の心得」の件が典礼研修会で質問などの形で直接でたわけではない。ただ「献金」の件が何度か触れられていた。また、先日開催された私の所属教会の「信徒大会」(1)でも「献金」の件が質疑応答のなかで出た。少し思うところがあったのでメモしておきたい。
 要は、「信者の心得」を文書できちんと印刷し、配布し、いつでも使えるよう周知徹底したらどうだろうか、ということだ。

  教会維持費や献金の話は「カトリック信者の心得」に明記されている。とはいえ普段目にするものでもない。ましてや洗礼を受けたばかりの人は「カトリック信者の心得」として公教要理など教えられるのかもしれないが、普段はあまり自覚していないと思う。熱心な信者さんでも同じだろう。ところが、冠婚葬祭とか献金の話になると俄然「ウチの教会はどうなっているの」ということになる。

 「心得」が文書できちんと印刷され、配布されている教会もあるだろうが、少ないだろう。だから、典礼研修会や信徒大会で、財政が逼迫していますとか言われてもなかなか実感が伴わないのではないか。「え、ウチも払うの? いくら? 個人なの世帯単位なの?」という人もなかにはいるのではないか。

 「心得」という言葉は最近あまり使われないようだ。『広辞苑』では「承知しておくこと」とあり、『新明解』では「何かをする前に知っておくべきこと」とあるだけで、必ずしも「宗教用語」ではなさそうだ。とはいえ、キリスト教でも仏教でもよく使われる言葉のような気がする。
 
 私が思うに、この「心得」を印刷するなり、ホームページを使うなりして、もう少し公開してもよいのではないか。各教会によって心得の表記は異なるだろうが、何らかの方法で信徒に伝達する手段があればと思う。

 わたしの所属教会では「信徒名簿」(2)に「カトリック信者の心得」がなんと14頁にわたって詳しく書かれている。先々代の主任司祭の手になるものと聞いているが、よく出来ている。

 

 

 信者の心得は『祈りの友』(サンパウロ)が参考にされることが多いようだが、ここではミサに出席することや献金の話は「諸注意」に入っている。「心得」には「経済的援助」と一般的に書いてあるだけである(3)。

 教会維持費とは「月定献金」と「ミサ献金」(プラスその他時々の献金)のことだ。大きく言えば、月定献金は「教区」(4)に納め、教会の活動・維持管理と司祭の生活費に充てられる。ミサ献金は「日本や世界」中の教会のために使われる。「献金袋」がまわる教会と、入口に「献金箱」が置かれている教会があるようだ。教会によっては、教会の改修・改築基金を献金に組み込んでいるところもあるようだ。

 月定献金がどのように算出され、集計されるのかはわたしにはわからないが、私どもの「信者の心得」には「収入の1パーセントを目安に」と書かれている(5)。大事なのは何パーセントかではなく、教会維持費が信徒の心得のひとつであることを折を見て教会の中で伝えていくことだと思った。


1 私ども教会では、「信徒総会」と呼ばれていたものが昨年から「信徒大会」という名称に変わった。何が理由かはわからないが、教会委員長の判断だという。議事に変更があるわけではなかった。
2 教会の名簿も取扱が難しいようだ。氏名と霊名だけではなく、住所・(固定)電話番号・所属組名が書かれている。望めば記載をお断り出来るようだが、プライバシー重視の時代にそぐわないという声も聞く。名簿そのものを廃止した教会もあると聞いている。ホームページもあまり活用されていない教会も多いと聞く。
3 念のために転載しておこう。

 【信者の心得】

 朝、目がさめた時、まず十字架のしるしをして、一日を神にささげ(起床の祈りを参照)なるべく早く朝の祈りを唱える。そして、その日一日を神とともに過ごす決心をする。
 日中、神のみ旨に従って過ごすようにつとめる。大事な仕事や食事の際にはいつも祈り、また、生活全体に祈りの気持ちが生かされるようにつとめる。
 夜、その日に受けたお恵みを神に感謝し、できるだけ家族そろって夕の祈リを唱える。良心を糾明し、回心を新たにする。床につくとき、神のご保護を願い、すべてを神に委ねて、やすらかな心で眠る。
 自らの本分にしたがい、良心的に、勤勉に、労働または学業に励む。
愛と親切な心をもって他人に接し、その救いのために協力を惜しまず、よい模範となるよう心がける。
 つつしみを忘れず、罪の機会をさけ、誘惑にあったときには、神の助けを願って、これにうち勝つようにつとめる。
 忍耐と犠牲の心を養い、苦しみや災難に対し、キリストの受難と光栄を思い、それを乗り越える力を神に願う。
 日常、聖書に親しみ、また信仰に関する書物を読み、キリスト信者としての教養を深め、徳を身につける。
 神の民であるキリスト信者同士の交際に、できるだけ参加し、信徒使徒職活動を、少なくとも祈りと理解で後援し、おのおの可能な限り実際の活動に参加、協力する。
 所属する教会の発展、維持のために強い関心をいだき、ことに経済的援助を分に応じて果たすよう心がける。

【諸注意】

 洗札を受けてカトリック教会の信者となったものは、教会の教えに従って信仰生活を送ります。教会には、わたしたちの信仰生活をより豊かに、みのりあるものにするために、さまざまな取り決めがあります。

 次の具体的なことを自覚する。
1.洗礼は、キリストの教えを理解し、受け入れ、受洗の希望を表わしたものに授けられる。
2.信者の両親は、自分の子供が、洗札の恵みをできるだけ早く受けられるよう配慮する。
3.洗礼を受けた人は、その信仰をさらに強め、キリスト者としての生活に必要な恵みを受けるため、堅信の秘跡を受ける。
4.幼児受洗者の親は、子供が七、八歳になったら、初聖体を受けられるよう、司祭に指導を願う。
5.聖体を受ける者は、固形物、流動物のいずれも一時間前より摂らないこと。水や医薬は直前までゆるされている。
6.しばしば、ゆるしの秘跡を受けるように心がける。
 少なくとも毎年一回、復活の祭日のころに、ゆるしの秘跡を受ける。病人は司祭を自宅に招いて、ゆるしの秘跡を受けることができる。そして、不幸にも大罪を犯した者は、できるだけ早く、秘跡によるゆるしを受けるべきである。
7.病気のため、主日、祭日のミサに長期にわたって参加できないとき、司祭に申し出て、目宅、病院などで聖体を受けるようにする。病気が重くなったり老齢のために重態と判断されるときには、司祭に連絡して病者の塗油の秘跡を受ける。周囲の人もこれに気を配るようにする。
8.信者の結婚は、本人にとってはもちろん、教会にとっても大事なことである。ゆえに、信者と結婚しようとするときにも、洗礼を受けていない人と結婚しようとするときにも、少なくとも挙式予定の一か月前には主任司祭に報告して、その指示を受けるようにする。そして必要な手続きを終えた上で、祝福された結婚式をあげるようにする。また準備に必要な要理指導、結婚講座を受けるようにする。
9.日曜日(主日)と守るべき祭日には、労働を休み、ミサ聖祭にあずかる。日本での守るべき祭日は、主の降誕(クリスマス)と主の昇天となっている。主の昇天は次の日曜日に祝われるように定められている。聖母の被昇天と諸聖人の視日は当日に祝われるが、司牧上適当と認められる場合は次の日曜日に祝うことができる。当日に守るべき祝日ではない。
10.日曜日と守るべき祭日には、大きな不都合の生ずる事情のないかぎり、労働を休み、休息をとる。(日常の家事は、この労働には含まれない)。
11.大きな支障のないかぎり、日曜日と守るべき祭日は、ミサ聖祭にあずかり、聖なる日として過ごす。ミサにあずかれないときにも熱心に祈り、聖書を読むようにつとめる。
12.教会の定めに従って、灰の水曜日と聖金曜目には大斎、小斎を守る。
 大斎の日には、一回だけ十分に食事を摂リ、他は少量の食事にする。(満二十一歳より満五十九歳までの信者)。
 小斎の日には鳥、獣の肉は食べない。(十四歳以上)。
13.毎金曜日は、償いの日として定められているので、主キリストの受難を記念し、自発的に愛徳、犠牲のわざに励む。
14.自分の所属教会に、教会の維持、布教の活動の援助のため、教会維持費を納める。
15.ミサ聖祭のとき、自らの奉献といけにえへの参加の印として献金する。
16.だれでも、家族のため、亡くなった方のため、あるいはその他の特別な意向のため、司祭にミサを依頼して祈ることができる。ミサを依頼するときは、あらかじめ、自分の意向と希望する日時を司祭に申し出、応分の謝礼をすることになっている。
 生活の困難や特別な恵みを願いたいとき、また人へのプレゼントとしてもミサをささげていただくことをすすめられる。
 特に親戚(受洗なしで召された方も含めて)の命日にミサをささげていただくことは意味深く、大切な愛徳の行為である。
17.ミサを依頼したときと同様に、洗礼、堅信、結婚、葬式などの司式を依頼したときは、挙式教会およぴ司式者その他開係者に、その謝意を表わすために、教会の維持、およぴ経済的援助の意味を含めて、適当な謝礼をするならわしになっている。
18.カトリック信者はかならず教会(小教区)に所属していなければならない。(どこかの教会に籍をもっていなければならないヽしたがって信徒が移動するときは、今までの所属教会に申し出て、信者転出証明書をもらう。そして移動先の所属教会に提出し、信者名簿に記入してもらう。
        (以上)
 わかりやすいが、それほど具体的ではない印象がある。

3 カトリック教会では、宗教法人上の法人格は「教区」であって、「小教区」ではないようだ。「カトリック中央協議会」や「横浜司教区」が包括宗教法人らしい。税法上は公益法人で、所轄官庁や税務署に提出する書類は大変らしい。
4 東京大司教区では「1~3%」と書かれている(「信仰生活の助け」)。日本のお寺さんでは檀家としての維持費やお布施の額は寺や檀家の格で異なるようだ。神社では祈願料が主体でお賽銭や氏子の寄付は比重が低いらしい。政党の党員の会費はかなり幅があるようだ。教会や寺院や政党の比較は面白そうなテーマだ。

 

 

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