「三度目の桜」 by s
うっすらとピンクに染まる桜は、
青い空とのコントラストのせいでしょうか?
花びらは水の様な透明感を感じさせます。
桜の花びら一つでさえこんなにも美しいのに、
そんなにたわわに花をつけて、
風に揺れる、桜の花びら。
桜を見ると何故か音と時の流れが止まったような感覚を覚えます。
わずかな期間の桜ですが、
「永遠」を見てる様な気がするのです。
桜は短い期間にあまりに美しく咲くので、
とても印象に残る花の一つです。
当時の桜を見た時の情景や自分の心持を、
しっかりと思い出す事が出来ます。
それは、日常的には少ない、
意識的にその花の美しさを味わおうとする行為によって、
記憶に強く留められるのかもしれません。
あの時。
あの場所で。
どんな気持ちで。
誰と見ましたか?
桜を愛でている私達はずいぶん変わりました。
年齢も。
体型も。
心も。
環境も。
世界も。
でも目の前の桜は
あの頃と何一つ変わる事無く美しいままで、
空にとけるように風に揺れています。
変わり続ける存在が、
変わらない存在を見つめている。
いやいや、
桜もずっと変わり続けてる。
桜が散って、緑に萌えて、葉は枯れていく。
変わり続ける存在同士が、
見つめ合っている。
もしかして、
見つめられている桜も、
人間に「永遠」を感じているかもしれません。
今日桜を見つめていた心持ちを、
来年の「私」は思い出すでしょう。
いろいろ起るな。
心配するな、生きてるっぺ!