1.AC風テレビCM
―― アニメ「キャプテン」OP曲『君は何かができる』のBGMにのって
谷口:(ユニフォーム姿)野球は一人じゃできない。(どこかへボールを投げる)
丸井:(グラブで捕球して)でも九人そろえば、どんな強敵でもこわくない。何ごともそうだ!(またどこかへ投げる)
倉橋:(ミットでボールを受け)たしかにコロナは怖い。一人の力じゃ戦えない(どこかへ投げる)。
田所:よっと(つなぎ姿でキャッチ)。でも、みんなが力を合わせれば、必ず勝てる。(またどこかへ)
イガラシ:今は苦しいかもしれない。でもいつか、その努力が実を結ぶはずだ(さらにどこかへ投げる)。
谷口:(再び登場してキャッチ)特別なことをする必要はない。マスク、手洗い、換気。自分にできることをすればいいんだ。
(谷口の背後に、墨高ナインが勢揃いする)
ナイン一堂:負けるな、今を支える大人達!
負けるな、未来を担う子供達!
負けるな、ニッポン!!
♪エーシー、公共広告機構!!
<完>
2.各キャラのプロフィール(※妄想乙)
【谷口タカオ】
血液型:A型
得意科目:社会、体育
苦手科目:数学、英語
趣味:野球
好きな女性のタイプ:おしとやかな人
尊敬する人:両親
好きな食べ物:鯛焼き、カレーライス
嫌いな食べ物:特になし
将来の夢:大工
好きな言葉:一所懸命 がんばらなくっちゃ
【丸井】
血液型:AB型
得意科目:体育、道徳
苦手科目:数学、英語、家庭科
趣味:野球、映画
好きな女性のタイプ:キャンディーズのスーちゃん
尊敬する人:谷口さん(×100)、両親、渡哲也
好きな食べ物:薄味のもの
嫌いな食べ物:味付けが濃いもの
将来の夢:社長
好きな言葉:七転び八起き
【イガラシ】
血液型:B型
得意科目:数学、理科、家庭科
苦手科目:道徳
趣味:野球、料理、読書
好きな女性のタイプ:口やかましくない人
尊敬する人:両親、川上哲治
好きな食べ物:ラーメン、餃子
嫌いな食べ物:洋菓子
将来の夢:実家の中華そば屋を継ぐ
好きな言葉:為せば成る
【近藤】
血液型:O型
得意科目:体育(マラソン以外)
苦手科目:国語、数学、英語、理科、家庭科
趣味:野球、漫画
好きな女性のタイプ:優しくて、よく笑う人
尊敬する人:父、長島茂雄(※注・当時の表記です)、イガラシさん
好きな食べ物:ママが作ったものなら何でも
嫌いな食べ物:トマト
将来の夢:プロ野球選手
好きな言葉:おーきに
3.昔話「丸太郎」
―― むかしむかし。ある所に、おじいさんとおばあさんが住んでいました。
(中略)桃から生まれた男の子は、顔が桃よりも真ん丸ということで“丸太郎”と名付けられました。
丸太郎は、おじいさんとおばあさんに可愛がられ、すくすくと元気に育っていきました。
その頃、村ではたびたび悪い鬼が出没し、人々から食べ物や金品を奪ったり、盗んだバイクで走り出す(尾崎に謝れ!)など、暴虐の限りを尽くしていました。
そこで桃、いや丸太郎は、鬼を懲らしめるため、旅に出ることにしました。その旅の道中でのこと……
犬:丸太郎さん、丸太郎さん。
丸太郎(もちろん丸井):む、なんでえ犬か。どしたい?
犬(半田):鬼退治に行くのでしょう? よかったら、ボクもお供させてください。
丸太郎:よかろう。それなら、このキビ団子を……
犬(半田):あ、お気づかいなく。この先に、おいしいアイスクリームの店、知ってますから。
丸太郎:そ、そうか。なんだか設定がおかしいが、いいだろう。
―― 一人と一匹は、歩き出しました。そしてまた、道中にて……
猿(イガラシ):丸太郎さん。鬼退治、俺も一緒に行かせてくれませんかね?
丸太郎:うむ、わかった。それなら、このキビ団子を……
猿(イガラシ):いりませんよ。モノで釣ろうなんて、ちょっと品がよくないでしょう。
丸太郎:ムッ。こいつ、家来の分際でエラそうに……
猿(イガラシ):それと、これから鬼と戦うっていうんですから、少し特訓しといた方がいいんじゃありませんか。なにせ敵の人数は、百を優に超えると言いますし。
丸太郎:だいじょうぶだよ。主人公が負けるってこたぁ、ねえだろ。
猿(イガラシ):また、そういうテキトーなメタ発言なんかして。
犬(半田):あ……特訓でしたら、ここに道具が(ダンベル、懸垂、腹筋の器具がずらりと並ぶ)。
丸太郎:なんでこんなモノを揃えてるんだよ!
(パタパタと羽根の音がして)ほほほ、なにをモメておるのじゃ?
丸太郎:き、雉(きじ)師匠!!
猿&犬:誰です、雉師匠って?
丸太郎:おまえら、知らないのか? かつてこの村を鬼の大群が襲ってきた時、一人で撃退したという伝説の、雉師匠だよ!!
雉師匠(きじししょう・もちろん谷口):フフ、自己紹介を代わりにやってくれてありがとう。特訓するというなら、ワシが手伝おう。ほれ、手にこれをつけて並ぶんじゃ(ドサドサと、三個のグラブを落とす)。
丸太郎:な、なぜ野球!? 一ミリも関係ないんじゃ……
雉師匠:(すでにボールとノックバットを手に)なに言っとる。鬼をやっつけるのに、野球の素早い動きは必要だ。それと硬球に慣れることは、恐怖心を克服することにつながるんじゃ。ほれ、つべこべ言わずやるぞ!(カキ、カキ、カキ! ノックを連打)
丸太郎&犬&猿:よっ。ああっ、くそっ!(なんだかんだボールにくらいつく)
雉師匠:どうした! そんなんじゃ、鬼の大群には勝てないぞ!!
丸太郎&犬&猿:お、オウヨ!!
(木の陰から、そっと鬼がのぞいている)
鬼(井口):あ、あのー。そろそろ退治しに来てくれませんかね。いつまでも、パンツ一丁の格好じゃ……寒いんスけど。
どこかのお姫様(佐野):アハハ。だらしないなぁ、鬼のくせに。
鬼(井口):な、なんだとっ。きさま人質のくせに、生意気な口ききやがって。オイてめえ、いま自分がどんな立場か分かってんのか!?
どこかのお姫様(佐野):おまえこそ、わたしをなにもできないお姫様だと思って、油断しているな。最近のお姫様はな、かどかわされても自力で脱出できるように、小さい頃から鍛えられてるんだよっ!(みぞおちにパンチ一発)
鬼(井口):ぐほっ……(その場にうずくまり、気絶する)
どこかのお姫様(佐野):あーあ、物語が終わっちまった。
(ここでテレビ画面がふっと暗くなる)
丸井:どうです、皆さん。毎年恒例の野球部紹介ビデオ。今回は、ひと味違った形にしてみましたが。
谷口:(苦笑いして)ど、どうって言われても……
イガラシ:なんだか色々と、設定にムリがあるような……
倉橋:佐野のやつ、よく出てくれたな。
半田:顔が丸いから“丸太郎”なんて、ちょっと安易すぎるんじゃ。
丸井:み、みなさん! 少しはホメてくださいよっ。
<完>
4.怪盗イガラシ
―― とあるパーティー会場。各界の著名人が集まり、思い思いに談笑している。
丸井会長:(エラそうな袴姿で)やあやあ、諸君。本日は、我が丸井グループの一部上場祝賀パーティーにご参加いただき、ありがとう。
(会場から拍手が沸き起こる)
丸井会長:んっ(軽く手を振る)。さて、今宵は特別に、この丸井家に代々伝わる秘宝・チェリーブロッサムをご覧いただこう。
(会場が暗転し、スポットライトがぐるぐると回る。やがて会場の一か所が、バッと照らされる。そこには――桜の色と形をした宝石が)
ゲスト一同:おおっ(感嘆の吐息)。
丸井会長:どうです? この色艶、輝き。まるで乙女の恥じらいのようではありませんか。このチェリーブロッサムは、丸井グループ創設者の丸井銅鑼衛門(どらえもん)が、若き日にヒマラヤ山脈を登山した際、偶然発見したと言われています。その後……ウンタラカンタラ(講釈が長々と続く)。
(ふいに白いスモークが立ち込め、チェリーブロッサムを覆い隠す)
ゲストの一人:おや、これも何かの演出か?
丸井会長:ん? バカな……スモークを焚けなんて、指示してないぞ。
(その時、スピーカーから声が聴こえる)
何者か:ウフフフ、これがチェリーブロッサムか。噂通りの美しさだ。我がコレクションに加えるに、ふさわしい出来栄えだ。
丸井会長:だ、誰だ! 正体を現せ!!(青筋を立てる)
何者か:落ち着きたまえ。丸井会長、私はあなたのすぐ目の前にいる。
丸井会長:なにいっ!
(やがてスモークが晴れ、小柄な青年が姿を現す。全身白のスーツ、白のシルクハット、白のマント。某漫画の快投〇ッドのバッタもんの出で立ち)
丸井会長:……き、きさまはっ。いま日本中を騒がせている、怪盗イガラシ!!
怪盗イガラシ:フフフ、自己紹介の手間が省けた。せっかくのパーティーを邪魔して、申し訳ない。もう用は済んだので、とっとと引き上げるつもりだ。このチェリーブロッサム、そしてあなたのセカンドのレギュラーは、いただいたからね。では、さらばっ!
(またもスモークが焚かれ、怪盗イガラシは消え去る)
丸井会長:ま、待てこのヤロウ!!
―― ここは墨谷二中の体育館。イガラシ達の全国大会へ向けた合宿中。うなされる丸井を心配して、部員が集まってきている。
イガラシ:丸井さん、丸井さん! どうしたんスか?
丸井:待てっ怪盗イガラシ! 宝石はともかく、セカンドのレギュラーだけは奪われてたまるか!!
イガラシ:か、怪盗イガラシ? 俺、丸井さんの中で、どういうイメージなんだ……(苦笑い)
小室:それより丸井さん、未だにレギュラーを取られたのを夢にまで見るとは。こりゃよほど、根に持ってるようだな。
イガラシ:俺に言われても……(頬をぽりぽりと掻く)
久保:そういや丸井さん、夏休み中はよくテレビで、火曜サスペンス劇場を見てるって言ってたような。とくに怪人二十面相シリーズがお気に入りなんだと。
イガラシ:それで宝石を取られる夢を見てるのか。
丸井:こらまて怪盗イガラシ、逃がさんぞ。まて、まてったらー!!
<完>
5.イガラシ君のクッキング
(早朝5時のイガラシ宅、厨房にて)
イガラシ:ええと……ボールに卵を割って、砂糖を混ぜて。これをツノが立つまで、よくかき混ぜて……と。
(約20分間、泡立て器でシャカシャカさせる)
イガラシ:おおっ、ツノが立ってきたぞ。あとはこれに、小麦粉と刻んだスライスチーズを混ぜて。ケーキ型に入れて、オーブンで焼けば……
(約40分後……)
イガラシ:よし、焼けたぞ。(オーブンから出して、一かけら切って味見する)あれ、オカシイな……
(その時、弟の慎二がまぶたをこすりつつ、厨房に入ってくる)
慎二:ふあぁぁ……(あくびして)に、兄ちゃん。こんな朝早くからなにしてんの。
イガラシ:明日、オフクロの誕生日だろう。オフクロの好きなチーズケーキをプレゼントしようと思って、ためしに焼いてみたんだが……味がおかしいんだ。
慎二:材料は、なにを使ったの?
イガラシ:なにって……小麦粉と卵と砂糖、スポンジケーキと同じだよ。あとは冷蔵庫に余ってた、スライスチーズを細切れにして入れたんだが。もっと細かく切らないとダメみてえだな……(腕組みして考え込む)
慎二:に、兄ちゃん。クリームチーズって知らないのかい?
<完>
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