食品添加物の安全性未確認リスト(2022年度版)

食品添加物については、多くの記事があるが簡明に要点を書きたいと思う。

食品添加物の全てが悪いと考えているわけではないが、一部の添加物は安全性が確認されていないという事実を伝えたい。

現代では食品添加物が濫用されているので、不必要な添加物はなるべく使用したくない。添加物は環境にも悪影響を与えるものがあるので、国際的には添加物を減少させようとするトレンドにある。

日本も日本人もこの世界の「脱・食品添加物」のトレンドに乗り遅れないでいて欲しい。

食品添加物について

食品添加物について、気になったところから問題点を挙げてみる。特に、重大な順というわけではない。

一括名表示が化学物質を隠蔽している

一部の食品添加物については、使用目的を表す「一括名」で表示できる例外が認められている。

このために発癌性の疑われている添加物とそうでないものが、食品の原材料表示からは区別できなくなってしまうのだ。

一括名で表示できる食品添加物には次のものがある。「イーストフード、ガムベース、かんすい、酵素、光沢剤、香料、酸味料、調味料、豆腐用凝固剤、苦味料、乳化剤、pH調整剤、膨張剤、軟化剤」

これらの食品添加物は、種類も多く、複数組み合わせて使用されることも多い。消費者には、個々の成分が分からないため、不安が解消されないという問題がある。大変に厄介である。

pH調整剤という隠れ蓑

近年の健康志向の影響を受けて、メーカーも保存料や着色料を減らすようにはなってきた。それ自体は大変に良いことである。しかし、保存料を未使用とパッケージに印刷しておきながら、pH調整剤を保存料のかわりに使用していることもある。

pH調整剤には、リン酸、クエン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸など34種類が認可されている。食品のpHを4〜5程度の酸性にすることで、変色や腐敗を防止するというものだ。しかし、これらの薬品も、一括名で表示されてしまうと、どの化学物質がどれだけ含まれているのか、消費者には何も分からなくなってしまう。

また保水剤と言われるものは、肉や魚介のドリップを抑えたりする薬品で、リン酸塩などが使われている。加熱時のドリップを抑えるだけではなく、食感も大きく変わる。プリプリ感を出したり、加熱しても半透明な気持ち悪いエビとなったりする。これも一括表示が許されているため、保水目的であってもpH調整剤と表示されるだけだ。

カラメル色素は必要なのか?

カラメル色素は、あきれるほど多くのものに入っていて、大変に困ってしまう。カラメル色素自体の原料は、糖類を焦がした着色料もあれば、石油系のものもある。カラメル色素という原材料を表示すれば、さらにその原料を表示しなくても良いことになっているのだ。

そもそも、食品の色をわざわざ同じにしなくたって良いのだが、食品メーカーのエンジニアは、消費者の思いとは逆に走ってしまうことが多い。

消費者は、均一な色になっていることには全く興味はないのだが、エンジニアは見た目をわざわざ悪くさせてさえ、均一な色になっていることの方を好むようである。

それは品質管理ということなのだろうが、誰にとってメリットがあるのかが不明である。あるいはまた、「色が前と違う」などというクレームによって苦しめられた経験が、また添加物の使用を促進させるのかもしれない。

カラメル色素は、亜硫酸化合物とアンモニウム化合物のどちらか、あるいは両方を含むものが多い。この2物質を含むか含まないかで4タイプに分類されている。

表示されていないのは表示したくないとも受け取れるので、カラメル色素には大体、亜硫酸化合物とアンモニウム化合物のどちらか、あるいは両方が入っていると考えてよいと思う。

欧州食品安全機関ではカラメル色素の一日摂取許容量が定められていて、アンモニウム化合物を含むものは、0-200mg/kg/dayとされ、アンモニウム化合物を含まず亜硫酸化合物を含むものは、0-160mg/kg/dayとされている。

問題は、食品には「カラメル色素」あるいは「着色料(カラメル)」と表示されているだけで、使用量は表示されていないことだ。

これではどれだけ気をつければ良いのか分からないのである。大変に厄介で、スッキリしないままである。

食品は工業製品ではない

食品を製造するエンジニアにとっては、食品とは料理や調理という芸術的な視点からは遠く隔たっており、完全に工業製品という感覚になっている。

実は、多くの場合に、添加物を減らした方が材料費も減って原価は下がることが多い。敢えて資金を上乗せして添加物を投入して、それによって品質が安定することで売れ行きが上がると考える経営者がいる。

これでは、消費者感覚を全く理解していないわけである。添加物を入れると、コストも増えるだけではなく、製品の自然さが損なわれることにより売り上げが減り、経営に悪影響が出る。今は、このパターンである。メーカーはこのことを理解せず、昭和の時代感覚で事業を進め失敗することになる。

消費者の感覚をつかみ取ることが何よりも重要となるのだ。

商習慣というのか、メーカーの無知というのもあるように思う。醤油せんべいは濃い茶色でなければならないという思い込みがあるようだ。

自然のものは全てが均一の色にはならないこと、大きさも異なること。卵の黄身はうすい黄色でオレンジ色ではないこと。そういうことをもっと学校で教えないといけないのではないか。

消費者が選択できる社会へ

醤油の値段を浮かそうとして、塩水に醤油風の化学香料を加えてカラメル色素で色をつけた、醤油せんべいを作る。そんな醤油せんべいはそもそも必要なのか?

そんなせんべいでも売れるので作っているわけだが、正直言っておいしいものではない。消費者も注意が必要だ。

一方、きちんとしたものを作っているメーカーは高くても売れている。売れないのを過当競争とか価格競争だと言って、低コスト化というか低品質化に走るのは、メーカーとして大変に不誠実なことだと思う。

無添加とか有機というのは、今や一時的な流行ではなくて、確実に主流派となってきている。この流れに素早く対応することが大切だと思う。

メーカーは、結局目先の1円をケチって、その何倍もの利益を失っていることに早く気付いて欲しい。

キャリーオーバーには注意!

食品の原材料は、使用した原材料を全て重量順に表示するのが原則となっている。しかし、実際には食品の原材料の全てが表示されないことがある。

その一つがキャリーオーバーだ。「原材料:米、しょうゆ」と表示されていて、まるで無添加のように見えるが、そうではないことが、かなりの頻度で存在する。

原材料のしょうゆに保存料が入っていても、「保存料としての効果を発揮できるか」については最終生産物のメーカーが判断すればよく、「製品に含まれる量はごく微量で保存料としての効果はない」とメーカーが判断すれば保存料は表示されなくなってしまう。

キャリーオーバーの例・・・
・ビールのホップの酸化防止剤としての亜硫酸
・せんべいのしょうゆの中の安息香酸
・ドレッシングの消泡剤の中のシリコーン樹脂
・マーガリンの中の乳化剤や酸化防止剤
などがある。

ごく微量であるはずだが、メーカーが悪質であれば悪用できるのはもちろんのこと、少し多いけど問題なしとメーカーが判断してしまえばそれまでだ。

加工助剤と栄養強化剤にも注意!

他にも添加物を表示しなくて良いケースがある。それは、加工助剤と栄養強化剤である。

加工助剤とは、食品を加工する際に使用されるが、食品が出来上がる前に取り除くか、元々含まれる成分に変化するか、最終的に微量しか含まれないもののこと。

プロセスチーズを製造する時の炭酸水素ナトリウム(重曹)は、加工助剤に該当するので表示しなくて良いことになっている。

栄養強化剤とは、栄養成分の強化のために使用される食品添加物で、ビタミン類、ミネラル類、アミノ酸類があり、栄養強化のために添加された場合には表示しなくて良い。

栄養強化のためのビタミンA、βカロテン、L-アスコルビン酸(ビタミンC)などがあり、このL-アスコルビン酸も酸化防止材として使用した場合は表示する必要がある。

どれだけ正確に運用されているのかは、よく分かっていない。把握しきれないというのが実態であろうと思う。

パン屋さん・お惣菜屋さんや外食では

自分でトレーに取ったり、自分で容器に詰める惣菜なども、食品添加物は表示義務がない。お店が包装した場合には表示する必要がある。量り売りというのは、抜け道になっている。

外食もどれだけの食品添加物を使用しているかを客に伝える義務はない。

表示をそのまま信じるのは危険

このように、食品の表示だけに頼ろうとしても抜け漏れが出てしまう。

ハムやソーセージなどの加工肉、たらこ・明太子など生の赤い血液が黒くならない加工食品など、食品添加物が高い頻度でしかも多種多量に使用されるものは、表示がなくても注意が必要だ。

エビなども、むきエビにはおおよそ添加物が使われていて、炒めても蝋人形のような透明感が残る。

「むきエビ」はもう加工食品なので、保水剤とかpH調整剤としてリン酸塩が使われているが、これも加工助剤だ。

ところが、むいていないエビもスーパーで売っているものを見ると、リン酸塩とか亜硫酸ナトリウムなどが入っているものがほとんどだ。

外食では、季節のもの、産地の近いもの、珍しくないものを選ぶのが良い。また安すぎるものにも注意すべきだ。

添加物を減らすためにはよく知ること

今はほとんどのものに入っているのが当たり前だから、気の遣い過ぎは意味がないという言う人もいる。しかし、それでは食品添加物の濫用を抑えることはできない。

食品添加物を使用してないもの、少ないものを選んで買っていけば、市場の原理で自然と添加物は減っていくはずだ。

ただそこに不正表示など悪質なことが横行するのは是正していくべきだと思う。

添加物が多すぎるから減らそうというだけのことだ。不必要な添加物を減らしたところで、食品産業には決してマイナスにはならないはずだ。

無添加の信頼度を上げていくことが、これからの食品業界の成長につながるだろう。

食品添加物表示制度が改正され「無添加」が規制!

食品成分表示で「無添加」「不使用」が規制強化!

消費者庁では、2022年3月に食品の成分表示に誤解を招くとして、「無添加」や「○○不使用」などの表記を規制すると発表した。

「無添加」という表記が、そうではないものに比べてより健康に良いというイメージを消費者に与えてしまうからだという。添加物を使っている食品の売上が落ちていることに反発した、大手食品会社の意向に国が支援した形である。

「無添加」という健康イメージ・好感度は、ここ10年余りの間に大きく伸長した。無添加の食品は、10年前には倍の値段だったものも、今ではちょっと高いくらいにまで値下がりして来た。

添加物を使わなくても、安全管理をきちんと行えば、安全な食品は作れるということとは、多くの消費者が理解するに至った。一方、大手食品メーカーでは、大量に製造し、かつ、一定の製造負荷でコストを安定させて、ただし、季節や日々の市場の振れ幅に対応するために長期保存できるよう添加物を投入する、という事情がある。

「無添加」「不使用」という言葉が規制されると、食品の成分表示については、裏側に小さく記載されているものが多いので、多くの人はパッケージの表面を見て気にすることはなくなるだろう、という思惑だ。

一方で、「無添加」という表現は、今まで食品成分表示では定義されていなかったので、塩を入れてないと言って「塩 無添加」などというおかしな表示があった。塩はもともと添加物ではないので、塩を入れなくても無添加ではない。かなり、いい加減であったことも確かだ。

そこで「不使用」という言葉が出て来た。そこで「不使用」も併せて、規制される。

「無添加」という言葉が完全に禁止されるわけではないが、「無添加だから安全」「無添加だから健康に良い」という表現は禁止となる。「無添加なのですぐにお召し上がりください」という表記もできなくなる。

大手食品メーカーのメリットと消費者のデメリット

「無添加」という表示が規制されれば、「無添加」食品の添加物を使用した食品のイメージが目立たなくなり、無添加とそうではないものとの差が表のパッケージからはなくなる。消費者は、裏面ではなく、表面のパッケージの情報で行動が大きく左右されることは自明の事実である。

「無添加食品」と「添加物食品」の差が、目立たなくなれば、無添加食品の高価格に見合う価値を消費者に訴求できずに、売れ行きは低下することが予想される。

すると、健康への安全という価値を訴求して「無添加」を標榜していた商品は、競争力を失っていくのではないか? そうなると、今まで無添加で努力して来た食品メーカーは、苦境に立たされることになる。

その結果、大量の添加物に頼る大手食品メーカーの権益が、より一層大きくなることになりそうだ。


食品添加物の安全性未確認リスト

2017-2022年度の食品添加物規制リストをアップデイトして公開する。また、これはkomorissの個人的な調査と判断により、実用性を求めたものなので、世間一般な安全性のガイドラインとは多少異なるところもあろうかと思う。

以下のリストの添加物は、発癌性が疑わしいもの、毒性の強いものなので、我が家では購入しないようにしている。かと言って、必ず危険だと言っているわけではない。あくまで、安全が確認されていないというだけである。

保存料

  • ソルビン酸、ソルビン酸カリウム
  • 安息香酸, 安息香酸ナトリウム
  • パラオキシ安息香酸、パラオキシ安息香酸イソブチル、パラオキシ安息香酸イソプロピル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸プロピル
  • プロピオン酸、プロピオン酸ナトリウム、プロピオン酸カリウム

漂白剤

  • 亜塩素酸ナトリウム
  • 過酸化水素
  • ピロ亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸カリウム
  • 次亜硫酸ナトリウム
  • 二硫化硫黄

発色剤

  • 亜硝酸ナトリウム
  • 硝酸カリウム、硝酸ナトリウム

着色料

  • 赤色2号、赤色2号アルミニウムレーキ
  • 赤色3号、赤色3号アルミニウムレーキ
  • 赤色40号、赤色40号アルミニウムレーキ
  • 赤色102号
  • 赤色104号
  • 赤色105号
  • 赤色106号
  • 黄色4号,黄色4号アルミニウムレーキ
  • 青色1号,青色1号アルミニウムレーキ
  • 青色2号,青色2号アルミニウムレーキ
  • 緑色3号,緑色3号アルミニウムレーキ
  • 二酸化チタン
  • カラメル色素、着色料(カラメル)
  • カロチノイド、カロテノイド色素
  • アナトー色素、アナトー色素カロチノイド

酸化防止剤

  • ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)
  • ブチルヒドロキシアニソール(BHA)

甘味料

  • アスパルテーム
  • アセスルファムカリウム
  • サッカリン
  • サッカリンナトリウム
  • スクラロース
  • ステビア
  • ネオテーム

その他

  • イーストフード
  • 乳化剤
  • pH調整剤(2019年度追加)どの薬剤が実際に使われているか不明という問題

食品添加物ではないが制限すべきもの

  • パーム油
  • マーガリン

 


・今回は大きく更新したので、公開日を新しくした。
(初回は2017年4月30日、前回更新は2018年5月)
また、食品添加物については、不必要に不安を煽るのは良くないと思う。食中毒の被害を防ぐために保存料が発達したのである。最初の目的は「人の健康のため」であった。それがもし行き過ぎて「企業の利益のため」になっているとすれば、それは是正されなければならないだろう。

・2019年度(2019年5月15日 更新)
・2020年度(2020年7月3日、9日 更新)
・2022年度(2022年4月3日 更新)


関連記事:
マグロの世帯当たり消費量(都道府県別)とメチル水銀

“食品添加物の安全性未確認リスト(2022年度版)” への2件の返信

  1. この記事 おもしろいです。
    ありがとうございます。

    少し気になったところがあったので、私の考察を シェアします。

    【 添加物の価値 】
    記事は言ってる。「消費者は、均一な色になっていることには全く興味はないのだが」
    これはどうかな~と。

    ◆ 例で説明します。
    1. おいしい・栄養豊富な / 抹茶色の りんご
    2. 普通のりんご

    みんな中身のことを知っていれば、1を買う人がいるかも。でも、ぱっと見で1.を買う人はいません。

    ◆ 現実問題
    では 何が問題か。
    • 売り手は 売れないものを 用意できない。
    たとえ 分かりやすく説明しようとも、見た目も 大切。
    でも、やり過ぎは良くない。

    • 買い手が 真の商品価値を もう少し知ってもいい。

    ◆ 問題点の説明
    • コンビニおにぎり
    必要「買い手が 栄養・価格 の 価値を知る。選ぶ。」

    ダメ: お金がない・時間がない人が、オーガニックを選んで カロリーが足りなくなるなんて目もあてられない。

    要改善: 逆に、余裕があるのに おにぎりばかりなのは、より良くできる。

    ・ボールペン
    3年・5年 使うもの。
    選ぶときは30分 試し書きする価値がある。

  2. コメントありがとうございます。

    確かに「消費者は、均一な色になっていることには全く興味はないのだが」これはおっしゃる通りで、言い過ぎでした。

    きれいなものから消費者は選ぶわけで、ある程度色や形が揃っている方が、きちんと栽培されているとか、丁寧に作られていると感じるわけです。

    ところが着色料ゼロとうたってあれば、今度は色が不均一でも納得してしまうところもありますよね。その辺の加減がうまくできると良いのでしょう。

    食中毒を防ぐために、そもそも食品添加物の保存料ができたわけで、その意味では目的は悪くない。ただ、古い材料を安く仕入れて薬漬けにして売るような悪質なことは厳しくチェックしたい、とそんな気持ちです。

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