灼熱の高知でアカメ釣り!砕け散ったルアーが呼んだ1匹

こんなご時世なので、自分の部屋でカタカタパソコンを叩きつつ仕事をしていると、盛大に携帯が鳴る。

こんな時間帯にかけてくるのは、およそ3人に限られる。予想して画面を見ると案の定「UK」の文字が浮かんでいる。

UKは大学時代から、北海道を含むさまざまな場所を釣り歩いた友達だ。なにやら時間に余裕があるらしく、要約すると「おもしろい釣りものあらへん?」という内容だった。

公共交通機関を使わずできるだけ人込みを避けつつ楽しめる、エキサイティングな釣り。それは、もう高知の「アカメ」しかない。

自然な流れで高知遠征が決まり、やりかけの仕事を終わらせて車を走らせた。

昼間は灼熱の高知県!

いつもは「浦戸湾」がメインだけれど、人が多いことを考慮して別場所に入る。

到着してドアを開けた途端に感じる猛烈な暑さ。殺人光線とも呼べる太陽光が降り注いでいる。

正直なところ、クーラーの効いた車でのんびりしたかったが、せっかく来たので「デイのアカメ釣り」を始めようとタックルを準備していると、ためらいなく寝に入るUK。夜に向けて体力を温存するらしい。

マイペースに昼寝を楽しむ姿を羨ましく思いつつ、車のドアを閉めて釣り場へ向かった。

過酷なデイ(昼間)のアカメ釣り

青空

逃げ出したくなるほど「暑い」。

3分もしないうちにUターンしなくなる。

上げ潮のタイミングでテトラ帯に小型ミノーを通すも、無反応。2~3往復したところで「無理」という言葉とともにすべてを悟り橋の下で休む。

ふと上を見上げると寝ぐせで爆発した髪のUKが「釣れた?」と話しかけてきた。とても満足そうな顔で。今回は彼の策略が一枚上手だったらしい。

ナイト(夜間)のアカメ釣りに突入!

デイのアカメ釣りは無残な結果に散り、ナイトの部に突入。

大型のアカメと橋脚周りを攻めることを考慮して、

  • ショアジギングロッド
  • PE4号
  • ナイロンリーダー60lb
  • K-TENブルーオーシャン140

といった強靭なタックルに持ち替えて投げ込む。もちろん、体力を温存して元気いっぱいのUKも一緒に。

開始から10投して、なにやら違和感に気付く。飛距離が出ないうえにコントロールも定まらない。「ロッドを振らずタモ網ばかり使っていたブランクか?」とも考えた。

挙句の果てに、橋脚に派手に打ち付けられたルアーが火花とともに散った。

思い通りの釣りができず、先行きがこの上なく不安のまま、ルアーチェンジを始めたところ驚きの事実が発覚する。3番目のガイドを通し忘れているではないか。

これでは飛距離が出ず、コントロールが上手くいかないのも頷ける。そして、もう1つ残念なお知らせ。

まともなルアーがない。実は今回の釣行は、エサ釣りの予定だったけれど、「エサの調達が面倒!」という意見の一致でルアーに変更した経緯がある。

がっつりやる予定ではなかったので、目に入ったルアーをケースに詰めてきたらテールが割れていたり、サイズが小さかったりと、ろくなものがなかった、という落ちだ。

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悩んだ末、サイズとカラーよりも動きを重視して「K-TENブルーオーシャン115」を選択する。

気持ちばかりの板重りを添えて。

砕け散ったルアーが呼んだ1匹

苦渋の決断をして選んだルアーを携えて釣り場に戻ると、「えらい遅かったな。違う場所行ったのかと思った」とUK。

よっぽど悩んでいたらしい。ただでさえ、確率が低い釣りなので慎重になるのも無理はない。

あまりにひどい様だから多くを語らず釣りを再開する。

1投目。案の定、ロッドに対してルアーが軽く扱いにくい。

2投目も飛距離が出ず、橋脚のかなり手前に着水した。

橋脚と岸の中間に差しかかったとき、「ガンッ!」という衝撃が伝わると同時にラインが一気に引き出される。瞬間的にアカメだとわかったけれど、ここは橋脚付近。

ドラグを緩めればそのまま巻かれてしまうのは目に見えている。意を決してドラグを締めると、じりじり出されながらも橋脚の手前でなんとか止まった。

「一度止まればこっちのもの!」と言いたいところだけれど、懸念が1つ。ロッドとラインは心配ないものの、フックが曲がる可能性がある。

走られないように慎重に寄せながら、瞬発的な引きはドラグで対処していると銀色の魚体と赤い目が浮かび上がってくる。「デカイ!」と思うと同時に「やばい」状況が目に入った

フロントフック1本が頼りなく口の外側にかかっている。おまけに強引に寄せたものだから体力も残っていて、いつエラ洗いしてもおかしくない。

ランディングに入ってくれているUKも状況を察したようで、慎重にタイミングをうかがっている。しかし、ここで最後の抵抗と言わんばかりにエラ洗いの挙動を見せ、「終わった」と膝から崩れ落ちる準備をしていたが、奇跡的にフックが口に残っていた。

その瞬間を見逃さず口にボガグリップをはめてくれて、そのまま安全な場所まで運んでやっと全身の力が抜けた。それと同時に口からルアーが「ポロッ」と外れ、天国と地獄の瀬戸際だったことを知る。

銀色の体と赤い目を持つ魚「アカメ」

足元に横たわる巨体とあやしく光る赤い目。無事に釣れて盛大に喜んだのは言うまでもない。

磨き抜かれた金属のような輝きを放つ体。

暗闇でも一際存在感を放つ赤い目。

驚異の瞬発力を生む大きな尾。

大きなエサを瞬時に飲み込む口。

すべてのパーツが満点でかっこいい。

こまめに水に入れつつ、写真撮影を済ませる。

いつまでも眺めていたかったけれど、名残惜しく手を放すと力強く深みへ消えていった。

あとがき

ガイドにラインを通し忘れ、1軍のルアーを大破させた後の苦肉の策で選んだルアーが思わぬドラマフィッシュを呼び寄せてくれた。

もちろん、あの1匹は自分1人では取り込むことはできていない。あと、30秒でも時間をかければフックは外れ、膝から崩れ落ちながら深みに消えていくアカメを見つめていただろう。

的確にランディングしてくれたUKには感謝しかない。

この後も釣り続けたものの、雨による濁りがひどくアカメには厳しい状況になったので、早めに高知を後にすることにした。

猛暑のなか、汗でベッタベタになりながらも投げ続ける「泥臭い釣り」だったけれど、学生時代に戻ったような不思議な充実感に満たされていた。

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