知識と技術で教える演技講師タツミです。
・セリフを読んでるだけって言われる…
・セリフの技術を高めるにはどうしたらいいの?
そんなセリフに悩んでいるに声優志望の方は必見の記事です。
セリフへのアプローチとしては、基本となりますので、セリフ表現に悩んでいる人はぜひ参考にしてください。
セリフを言うために、まずセリフを取り込むこと
セリフを言うためには、「台本からセリフを取り込む」必要があります。
セリフを噛み砕いてあなたの身体に取り込むのです。
まずは、セリフを読み上げて、しっかりと理解すること。
そこに色をつける必要はありません。
あなた自身がその言葉の意味を理解して、あなたの言葉として言えるかどうかが大切です。
そのときにわからない言葉があるのであれば、きちんと辞書で調べてください。
もし、セリフをそのまま取り込むことができなければ、その前段階として「セリフを一度自分の普段使う言葉に置き換えて喋る」というステップを付け加えることができます。
セリフがセリフとしての役割を果たすためには、あなたの身体を通じて、セリフが生きたエネルギーを持たねばなりません。
あなたがセリフに生きたエネルギーを言葉に宿すには、あなたが生きた言葉を発するしかないのです。
生きた言葉にするために、まず「セリフを取り込む」ということが大切になります。
それをせずに音色にこだわったり、感情表現にはしったり、すると、セリフを台無しにしていくだけなのです。
言葉を相手に伝えるということ
セリフを自分に取り込むことができたら、次は相手に伝えることが大切になります。
そこには
- 誰に伝えるのか
- 相手にどうしてほしいか
- なぜ伝えるのか
- どのくらい伝わってほしいと思っているか
といったことが含まれてきます。
多くの人があまりにも身勝手にセリフを言いすぎです。
自分勝手なエゴなセリフを「演技」と呼んでいるならば、一度コミュニケーションについて考え直すべきです。
セリフはコミュニケーションです。
それはつまり、あなたが伝えて、相手が受け取って、初めて成立するのです。
言いたい放題言うだけでは、コミュニケーションではありません。
多くの人が、セリフを自分の言いたいようにいい、相手がどうかということをあまりに蔑ろにしすぎています。
あなたは誰かと話しをするときに、相手のことを何も考えずに、一方的に喋りますか?
逆に、もしあなたの話し相手にそんな話し方をされたとしたら、あなたはどう感じるでしょうか?
セリフには、伝えるべき相手がいます。
それは、あなたの言葉を受け取ってほしい相手がいて、受け取ったことで何かしらの影響を与えたいと言うことなのです。
あなたが言葉を発するとき、相手のことをどこまで考え、どれだけ相手に伝えたいと思っているかが、セリフを言うときにも大きく影響しているのです。
考えなしに発せられたセリフは、宙を漂い、誰に届くこともなく、消えるだけです。
それはもはやセリフではないし、コミュニケーションでもないのです。
言葉を取り込み、伝えられるようになって初めて色をつけられる
言葉を取り込んで、相手にコミュニケーションとしてセリフを伝えられるようになって、初めて色をつけることができるようになります。
それは感情表現だったり、音色だったり、緩急やリズム、ボリュームといった、音声表現全般です。
もしあなたが前の2つの段階を無視して、色をつけることばかりに取り組んでいるのだとしたら、あなたのセリフは誰にも届きませんし、セリフが持っている力を使いこなすことはできません。
演技としてセリフを成立させ、それをコミュニケーションとしてきちんと成立させるのであれば、この色をつける、表現するという部分は、最後のパートになります。
それに気づかないまま、表現に偏った「セリフ」を続けていても、あなたの演技はステップアップしていくことはできません。
AIが人の仕事の50%を担う時代が来ると言われています。
表現活動は、人間だからこそできる活動であるべきなのです。
それは、何かを作り出し、影響を作り出すという活動は、AIにはできず、人間が持っている創造性にかかっているからです。
その根幹となす部分を蔑ろにしたままでは、あなたの「演技」も「表現」も、AIにとって変わられてしまうということです。
AIでないにしろ、「他の誰か」に変わられてしまうのであれば、あなたの声優としての存在価値が大きく下がっているということになります。
トレーニングをして、能力を上げるということは、価値を上げるということです。
正しく取り組まなければなりません。