インテルのコラロフさんとユヴェントゥスのジェコさんへ
主力中の主力、近年のローマの大黒柱であったアレクサンダル・コラロフとエディン・ジェコがインテルとユヴェントゥスへそれぞれ移籍しました。ローマにとって主力の放出はもはや夏の風物詩(今年はコロナウイルスの影響で秋になってしまったけれど。)と化しており、それはさながら、弾丸が1発か2発入ったピストルで弾がなくなるまで続けられるロシアン・ルーレットでした。誰になるかは分からないけれど、必ず主力選手が1人か2人ローマを去ってしまうのです。だからコラロフとジェコがローマを去ったところで、騒ぐことではないのだけれど、今年に限っては話が違います。今年はロシアン・ルーレットは中止となっているのです。何故ならこの過酷な行事をする主たる原因であるファイナンシャル・フェア・プレイ制度の期限がコロナウイルスの影響で1年延長となり、焦って財政を整える必要がなくなったからです。実際、コラロフに関しては自ら代理人を変更し、その数日後に移籍が内定するまで移籍の噂はまったくといっていいほどなく、ジェコにいたっては本人が移籍を望まない限り、彼はアンタッチャブルな存在と言われていました。彼らはキャリアの晩年にタイトルを求めて移籍したと言われています。
そう、タイトルを求めて・・・。
ローマはジェイムス・パッロッタさんからダン・フリードキンさんへとオーナーが代わり、新しい船でタイトルという港を目指すことになりました。私はオーナーが代わり新しくなった船はどんなものになるのだろう?シーズンの終わりには港に辿り着いているかもしれないと心躍らせていました。ただでさえ新シーズンという名の船出は心躍るものなのに、更に新しい船でとあっては期待は膨らむばかりでした。しかし、彼らはこの船では港に辿り着けないと判断したのです。
ジェコとコロラフはチームの大黒柱であり、当然フリードキンさんから新しい船という名のプロジェクトの詳細を教えてもらったはずです。そして彼らはメディアでは”イ・セナトーリ(i senatori)”、元老議員達と表現され、ドレッシング・ルームのリーダー格の選手としても必ず名前が挙げられており、チームのことも熟知しているはずです。しかも彼らは共に現役引退後、ローマの経営陣入りをするといわれていたのでローマに対する愛情も強かったと思われます。
そんな彼らがこの船ではインテルやユヴェントゥスには敵わないと判断したのです。
その事実が私を打ちのめします。もしこれが居酒屋の見知らぬおじ様がお酒でも飲みながら下した判断なら、私は気にしなかったでしょう。しかし彼らはおじ様(それもかなり素敵な)ではあるけれど、見知らぬおじ様ではありません。いわゆる有識者のおじ様なのです。しかもこれは素面で下された判断です。
有識者が素面で下した判断あっては、私は気にせずにはいられないのです。
私は今年に限らず、毎年、今回はローマがタイトルを取ってくれるもかも?いや、取ってくれるに違いない。きっと三冠だろうな、と夢みます。例えそれがシーズンが始まるとすぐに消えてしまう儚いものだったとしてもです。
私は新シーズン開幕直前のこの時期が一番楽しいです。自由に夢が見られるから。
しかし彼らは私から夢を見ることすら奪って行きました。楽しい楽しい夢を見ていた私をたたき起こして去って行きました。
何故ですか?
去っていくとしてもたたき起こす必要はあるでしょうか?
言われている移籍理由が事実だとして本音ではなくとも建前で新しい経験をしたかったとか空気を換えたかったとか良くある理由で良かったのではないでしょうか?
夢を見ることは万人に許された権利ではないでしょうか?
私は貴方達にたたき起こされてしまうような何か悪いことをしたのでしょうか?
何故?
なぜ?
ナゼ?
何故なのだよ!もうっ、私は君達が移籍して悲しいの!例えローマがインテルやユヴェントゥスに劣っていたとしても、君達が
”劣っている分は俺達でカヴァーしてやるか。”
って思ってくれなかったことが悔しいの!
私は君達が好きなの!好きな人との別れはつらいの!それなのに更にたたき起こすなんて悲しい真似までしないでよ!優しい嘘をついてよ!お願いだから!
そもそもさ、ダン・フリードキンさんの御子息のライアンさんはローマは
”眠れる巨人”
だって言ってたよ。新シーズンに眠りから目覚めたらどうするのさ?きっと、インテルなんて踏み潰されちゃうよ?コンテさんだって押し花みたいになっちゃうよ?ユヴェントゥスだって一吹きでフランスまで飛んでいっちゃうよ?ピルロさんも丸呑みしちゃうよ?巨人だからね。
ひょっとして今まで眠っていたのだから、そう簡単にはおきないって思っているの?災害は忘れた頃にやってくるって言葉、知ってる?巨人はたぶん災害と一緒だよ。それに私がたたき起こすかもしれないよ?君達が私にしたみたいにね。ひょっとしたら巨人は眠っているのではなくて死んでいるのかもしれないけれど。
それにさ、インテルのコンテさんはともかくユヴェントゥスのピルロさんは監督未経験だよ。確かに彼は名選手だったけれどさ、結構なギャンブルかもしれないよ。フォンセカさんのほうが安全じゃないのかな?ウクライナでたくさんタイトルも取っているのよ、フォンセカさんは。
というわけだからさ、2人とも考え直さない?
ダメ?
もう遅いかな?
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
そっか
じゃ、せめて優しい嘘だけでも・・・
それもダメ?
分かった。分かりました。わがままばかり言ってごめんよ。
どうか2人ともお元気で。
私はコラロフがインテルで名実共に君のアイドル、シニシャ・ミハイロヴィッチさんになるって確信している。ジェコがユヴェントゥスでクリスティアーノ・ロナウド様にとってのカリム・ベンゼマになるって確信している。2人がインテルとユヴェントゥスで輝かしい経験をするって分かってる。
でも、ごめんね。新シーズン、スクデットとコッカルダを取るのはローマなの。本当にごめんね。眠れる巨人が起きちゃうから。きっと起きちゃうから。
だから2人はローマのいないUCLのタイトルで我慢してください。
それでは今度は対戦相手としてお会いしましょう。
眠れる巨人に3人で驚こうね。
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