原曲ー大恐慌時代の社会背景が元歌のテーマ
「500マイルも離れて」との邦題もあるが、原題「500 Miles」は61年に女性フォークシンガー、ヘディ・ウェスト(Hedy West)の自分の名前をタイトルにしたファーストアルバムに収録された。ここでの邦題は「500マイル」を採用する。
元々はアメリカ東北部トラディショナルソングの「900 Miles」が元になっている。
元歌となった「900 Miles」Billy Merman
大恐慌時代に故郷を離れた放浪者をホーボーと呼んだが、彼らの気持ちを歌にしたものと言われている。
彼らは貨物列車に無賃乗車して各地を移動していた。ヘディ・ウェストの曲を聞くと望郷の想いと今の自分が歌われており、「900 Miles」と共通する歌詞がある。それがブラフォーとPPMのヒット曲では詳細は省かれ望郷の想いだけが残されている。
ヘディ・ウェスト(Hedy West)
プロフィール
ヘディ・ウェスト(Hedy West)(1938~205年)はジョージア州生まれで、彼女の父親は詩人であった。
後年になってヘディは父の詩に作曲もしている。彼女は4歳でピアノを始め、ハイスクール時代にはバンジョーを弾いて歌い、作曲もしていた。
1959年になるとヘディはニューヨークに出て、音楽(Mannes College)やドラマ(Columbia University)を大学で学ぶ一方でシカゴやニューヨークのコーヒー・ハウスで歌を歌い、父の友人でもあったピート・シーガーにその才能を見出される。
そして1961年には「ヘディ・ウェスト(Hedy West)というファースト・アルバムをリリースするが、このアルバムに納められていた一曲が「500マイル」。
「500マイル」はアメリカ各地の民謡を採譜して、その素材を基にヘディが作詞・作曲をした作品で、彼女の弾く素朴なバンジョーと歌声が味わい深い一曲である。
ヘディ・ウェスト(Hedy West)の自分の名前をタイトルにしたファーストアルバム 1961のジャケット
日本でフォークブームが起こったのは大学に入る少し前だったが大学に入学した頃はまだ何人か集まればギターを弾きながら歌うことが多かった。当然この歌も定番ソング。
上記のように暗い時代背景から生まれた望郷の歌であったとは全く知らず、単純に遠距離恋愛のことを歌っていると勝手に思い込んでいた。
大不況時代のホーボーが仕事を求めて貨物列車を無賃乗車しながら各地を転々として、帰る当ても無い望郷の念をこの歌に込めて歌っていたと知っていたら・・・
ヘディ・ウェストの歌うオリジナル
アルバムに収録されたオリジナルバージョン
PPMが62年、ボビー・ベアが63年など数多くのカバーがなされて世界的なエバー・グリーンとなっていった。
この曲が世界中で広く歌われるようになった功績はPPM(Peter, Paul And Mary)とブラフォー
Peter, Paul And Mary-1
Peter, Paul And Mary-2 初期のライブ映像
The Brothers Four-1
The Brothers Four-2初期のライブ
会場のあちこちから自然に歌声が湧き出してくる。当時はこうだったなぁと妙な感慨がわく。ただし映像は非常に不鮮明。
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その他のカバー
Bobby Bare 1963年
ボビー・べア(Bobby Bare)は60~70年代のトラッカー・ソング(トラッカー向けの曲)全盛期にRCAレーベルで活躍したカントリー歌手で、この「500マイル」はまさに彼のトッラカー・ソングの代表作の一つ
The Journeymen
Joan Baez
Hootenanny Singers(スウェーデンのグループ)
Peter & Gordon
The Seekers
Mary Wells
The Hooters
日本のカバー
忌野清志郎(HIS)
石原裕次郎
細野晴臣・忌野清志郎・坂本冬美(HIS)
山本潤子
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<歌詞>
If you miss the train I’m on, you will know that I am gone
You can hear the whistle blow a hundred miles
A hundred miles, a hundred miles, a hundred miles, a hundred miles
You can hear the whistle blow a hundred miles
Lord, I’m one, Lord, I’m two, Lord, I’m three, Lord, I’m four
Lord, I’m five hundred miles from my home
Five hundred miles, five hundred miles, five hundred miles, five hundred miles
Lord, I’m five hundred miles from my home
Not a shirt on my back, not a penny to my name
Lord, I can’t go a-home this a-way
This a-away, this a-way, this a-way, this a-way
Lord, I can’t go a-home this a-way
If you miss the train I’m on, you will know that I am gone
You can hear the whistle blow a hundred miles
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