コロナ禍が本格化してきた2月以降、大好評だった(と私は信じている)「Social Work in Canada」の講義は閑古鳥・・・ま~それも仕方がありません。だって大学だって想定外の出来事でてんやわんやなんだし、一発屋(?)の私の講義なんてどうだっていいんだよね・・・「ハァ~」と状況を理解しつつも腐る私の気持ち(笑)。そんな私を可哀想だと思ったのか(誰が?神様?)、なんとZoom講義参加のお誘いを某都内の大学教授から突如頂いたのです。「はいっ、は~い!私、シンペー、もちろん喜んでやらせて頂きますっ!」と二つ返事で私がお答えしたのは言うまでもありません・・・が・・・私、Zoomやった事ありませんよ。


Zoomってなんかスカイプみたいなもんだよね?って言うのが私の理解だったのですが、でもどうやって大人数で授業やるの!?オンラインで10人、20人、大人数の生徒が一斉に参加して喋ったりしたら混線しないの?20人の生徒の顔はどうやってオンライン上で確認するの?グループディスカッションとかグループワークとか出来るの?パワーポイントとかの資料はどうシェアするの?とかとか疑問がいっぱいで、どうオンラインで講義が進むのか全く想像が出来ません。もしかして私もついにアナログ世代に突入してしまったのでしょうか!?Aging(老化)という恐ろしい言葉が頭にどよ~んと浮かびます。そういえば大学の時、断固としてコンピューターを使わない(いや使えない)教授がいて、レポートは絶対手書き!と学生にも不条理な要求をしてた人がいたな~。自分がパソコン使えないからって学生にもアナログを押し付けるなよな~!と当時の私は思ったものです。しかもこの教授、パソコン書きはダメだけど、タイプライターならオッケーという謎の決まりも持っていて、「今どきタイプライターなんて持っている奴いるわけないだろぉ~」とツッこんだものです(が、この教授は持っていたのでした 笑)。そんな事を思い出したら、いかん!このままではいかん!時代に乗り遅れる!私もこのZoomとやらをマスターせねば!と急に焦ってきました。



さ~こんな時はどうするのか?

答え:誰かに頼る!



自慢じゃないですが私には昔から「他力本願で問題解決を図る」という確固としたポリシーがあります。ですから今回も誰か助けてくれそうな人を探してみましょう。え?自分でZoomくらい覚えろよ?いやいや、何をおっしゃってるんですか?ソーシャルワーカーの私がITとか無理でしょ?私はソーシャルワーカーだから数学も物理もダメなんですよ。そんなの常識ですよね?と姿の見えない誰かに絡んでみます(笑)。これよく私の同僚も半分冗談で自嘲気味に使うお決まりのフレーズ。もちろん理系のワーカーもいるんでしょうけど、なんとなくソーシャルワーカー達って自分がスーパー右脳(文系派)だと思い込んでいて、ちょっとでも数字や科学が出てくると即ギブアップっていう傾向が強い気がします(それとも私だけか?)。これはやはり感情労働のしすぎで左脳を疎かにしている引目から来るのでしょうか?

ま~でもそんな事はここではどうでもいいので、それよりもZoomの習得。

誰か私の助けになるような人はいないだろうか~と考えたら、いたいた、私のすぐそばに(ニヤリ)。それは私の親友INカナダ。



私にはカナダに仲のいい日本人の友達G君がいます。G君とは私がかつて勤めていたバンクーバーのNPOで知り合ったのですが、なんと彼も私と同じ長野県出身。実家から車で1時間くらいのところです。ま~なんと世界は広いようで狭いんでしょうね。そしてそのG君、現在バンクーバーのビジネス英会話学校でビジネス英語を様々な国籍の学生たちに教えているのです・・・そう!Zoomで。ムフフフ、これを使わない手はないわい、と他力本願の私はさっそくG君に助けを求めます。

先生をしていて私と違って人助けが大好きなG君なので、「じゃーZoomを一緒にやってみようか」と快く私の要請を引き受けてくれたのです。G君の方がソーシャルワーカーに向いてるんだよな~と私はいつも思います。ま~私を助けてくれる親切な人には「あなたソーシャルワーカーに向いてますよ!」とつい言っちゃうのが私の癖なんですけどね(笑)。



そんな流れでG君とZoomを練習してみました。いや~思ったよりも簡単だねZoomって!と言うのが私の印象。いやむしろスカイプよりもこっちの方が楽しいかも。とくに背景が変えられる機能に大興奮。自分がいままでため込んだ世界各地の観光写真を背景にしては感動「うわ~スペインにいるみたい」「うわ~ハワイにいるみたい」「うわ~青森にいるみたい」っといちいち感動する私。さらに芸能人の写真とかドラマのワンシーンを背景にして「セレブと会ってるみたいだ~」「ドラマの主役になってる!」と遊んで喜んでいる私に「いい加減うるせ~んだよ!さっさとZoomの機能覚えろよ」とG君は思った事でしょう。しかし優しいG君は「そうでしょ?とっても簡単だからすぐ慣れるよ」と言って、私にZoomでパワーポイントをあげる方法や、手を挙げる機能とか、画面を分割するやり方とか色々教えてくれました。簡単だね!と思ったけど、しかしそれはあくまでもゲストとして参加する場合。ファシリテーター(管理者)としてZoomをやる場合は、オンライン上で生徒達をグループ分けしたり、グループタスクを与えたり、出席を取ったり、発言調整をしたり、となんじゃらカンジャラ大変そうです。ま~そんな面倒くさい事はゲストスピーカーの私には必要ないはずだからすっ飛ばして、基本背景の変え方だけ主に学んで(面白かったから)Zoom講義の準備は完了したのでした。



そして本番の日・・・

講義開始10分前にとりあえず担当教授とZoomで打ち合わせすることにしたのですが、私の背景に芸能人が写っていたので速攻「背景画像OFF」。あらら・・・見られちゃったかなあの背景・・・なんだかとっても恥ずかしい。でも「私のこと見えますか~?」と教授から声がかかってきたので、見えてなかったらしい。良かった・・・と思ってホッとしたのですが、もしかして私に気を使ってくれた?・・・なんて考えるともっと恥ずかしくなる(笑)。ま~とにかく赤面しながら打ち合わせを終了し、いよいよ生徒20名相手に講義開始!


いや~難しいよZoom講義~。なにが難しいって生徒の反応が全然わからね~。教室で講義する時は、生徒の表情が直で見えるし、それにクラスの空気っていうか雰囲気を把握したり、柔らかい雰囲気を作り出すことが出来ます。でもZoomだと学生によってはカメラOFFにしている生徒もいたり(データ食うから仕方ないよね、通信費もバカにならないし・・・)、無表情で画面を見ている学生の顔しか見えなかったり、となんだか自分1人でただ喋ってる人みたいな気持ちになってきます。そうなると「ちゃんと私の言っている内容伝わっているのかな~」と心配になり、さらに自分の声しか響かないアパートでなぜか孤独感を感じ悲しくなってきます。Zoomで皆んなと繋がっているはずなのに・・・む、虚しい~(笑)。

ケーススタディーをやってみても、誰も積極的に質問に答える生徒はおらず、先生が強制的にオンライン上に出ている生徒のハンドルネームを読み上げて答えさせます。例の如く生徒の答えは素晴らしいのですが、教室だと皆んなの「お~なるほど」とか「うんうん」とか「すごい」とかって空気が伝わるのですが、もちろんオンライン上からは空気が流れてくる事はなく、私だけが「はい、そうですね。いいアイデアですね」と答える個人面談状態。盛り上がらね~!って感じで、私のテンション下がってしまいました。ゴメンね生徒達・・・打たれ弱い先生で(って打たれてもないのに 笑)。



正直Zoom授業って、基本グループワークとかディスカッションとかケーススタディーとかが中心のソーシャルワークの勉強にはあんま向いてないんじゃない?と思ってしまいます。そもそもソーシャルワークという学問を通して学びそしてお互いにシェアするエンパシーっていうか、共感っていうものが、Zoomだと至極伝わりにくいと思うのですが、それは私がただ単にZoomというものについての理解が足りないだけ?ただのアナログ派?



ま~それが単なる私の感想だとしても、事実だとしても、コロナが猛威を奮う今現在においてはZoom以外に選択肢がないのが現実です。そう考えると本当に学生さん達がかわいそうに思えてしまいます。ま~しかし私が実際に学生だったら「通学しなくてもいいし、家でゆっくり出来るからZoomって最高~!」って喜んでいるかもしれないけどね(笑)。それでも大学1年生にとってはこの状況は試練に違いありません。例えば私みたいに地方出身の学生は、実家に籠ることになってしまったり、東京に引っ越したら引っ越したで友達を作るチャンスもなかなかなく、知らない土地で寂しい思いをしているかもしれません。そんな想像をすると本当に胸が痛みます。さらに教授達によると、今年は3年生の実習も出来ないため、オンラインでの実習(という名の教授との面談?)に切り替えたとのこと。ソーシャルワークの実務を学ぶ上で実習は必須。これが出来ないまま卒業し、現場の仕事につく新卒学生のプレッシャーはどれほどのものでしょう?これまた年をとって乳母心が芽生え始めた私には胸が締め付けられる思いです。しかし若さとは素晴らしいもの。きっと私のこんな役に立たない心配をよそに、学生達はきっと逞しくこの想定外な状況を乗り切ってくれることでしょう。いやむしろこのような想定外な状況に遭遇した今の学生達は、かえってラッキーと言うべきかもしれません。だって臨機応変に状況に対処できる能力がつくのかもしれないから!ソーシャルワーカーの仕事をしていると、想定外だったり、不慮の状況に打ち当たることが多々あります。いやむしろ、そのような状況下こそソーシャルワーカーの力が必要となるので、どんな状況下でも冷静に落ち着いて、そしてクリエイティブに問題解決を図る力がソーシャルワーカーには求められるのです。そういう意味では、学生さん達にはぜひ、この想定外な状況を糧にしてソーシャルワーカーとしてバリバリと活躍してほしいな~と願わずにはいられません。そして私はと言えば・・・やっぱりZoom講義は苦手だな~と臨機応変さの片鱗も見せず、すでにギブアップモード。スカイプの代わりに友達とZoomで背景を変えて楽しみながらチャットするぐらいがいいや、とすっかり情けない根性でアナログ路線まっしぐら中です(笑)


おわり