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220716:恩田陸『蜜蜂と遠雷』読み始める

2022-07-16 | 妙に知(明日)の日記
220716:恩田陸『蜜蜂と遠雷』読み始める
■産経新聞のコピーです。――共産党の志位和夫委員長は15日、安倍晋三元首相の葬儀を国葬として行うと岸田文雄首相が発表したことに関し、「国民の中で評価が大きく分かれている安倍氏の政治的立場や政治姿勢を国家として全面的に公認し、安倍氏の政治を賛美・礼賛することになる」として、国葬実施に「反対する」との談話を発表した。――多くの国民の意思とは無縁の党の主張です。無視しましょう。とにかく岸田首相の大英断を、小政党はごちゃごちゃいわないでもらいたい。■恩田陸(おんだ・りく)は、デビュー作『六番目の小夜子』(新潮文庫)以来の追っかけでした。本書は推薦作として紹介しています。その後しばらくとおざかっていましたが、いま『蜜蜂と遠雷』(上下巻、幻冬舎文庫)を読み始めました。若き日の恩田陸としか親しんでいませんので、楽しみな読書となりそうです。■恩田陸のプロフィールは次のとおりです。――1964年生まれ。1991年『六番目の小夜子』が日本ファンタジーノベル大賞最終候補作となる。2004年、2005年、『夜のピクニック』で、吉川英治文学新人賞、第2回本屋大賞を受賞する。2006年、『ユージニア』で、日本推理作家協会賞を受賞する。2007年、『中庭の出来事』で、山本周五郎賞を受賞する。2017年、『蜜蜂と遠雷』で、直木三十五賞、本屋大賞を受賞する。
山本藤光


鮫島浩『朝日新聞政治部』(講談社)

2022-07-15 | 書評「さ」の国内著者
鮫島浩『朝日新聞政治部』(講談社)

東日本大震災と原発事故で、「新聞報道の限界」をつくづく思い知らされた。
2014年、朝日新聞を次々と大トラブルが襲う。「慰安婦報道取り消し」が炎上し、福島原発事故の吉田調書を入手・公開したスクープが大バッシングを浴びる。そして「池上コラム掲載拒否」騒動が勃発。ネット世論に加え、時の安倍政権も「朝日新聞バッシング」に加担し、とどめを刺された。著者は「吉田調書報道」の担当デスクとして、スクープの栄誉から「捏造の当事者」にまっさかさまに転落する。(アマゾン内容案内)

◎朝日が夕日になった

前記アマゾン案内には、続きがあります。以下、引用です。
――保身に走った上司や経営陣は、次々に手のひらを返し、著者を責め立てた。そしてすべての責任を押し付けた。社長の「隠蔽」会見のあと、待っていたのは「現場の記者の処分」。このときに「朝日新聞は死んだ」と、著者は書く。戦後、日本の政治報道やオピニオンを先導し続けてきた朝日新聞政治部。その最後の栄光と滅びゆく日々が、登場人物すべて実名で生々しく描かれる。(アマゾン内容案内)

鮫島浩『朝日新聞政治部』(講談社)を手にしたのは、50年間購読を続けてきた朝日新聞を解約した1年後のことでした。学術欄、特に文芸欄に未練がありました。だからずっと歪んだ報道に、目をつぶっていました。それが「虎ノ門ニュース」を視聴するようになってから、ふつふつと許せないという感情がわきあがってきました。コメンテーターたちが、こぞって朝日新聞批判をしていたからです。そして購読紙を産経新聞へと切り替えました。

その後朝日新聞が社説で、東京オリンピック反対の論陣を張ったことを知りました。朝日が夕日にまで、落ちぶれたことを実感させられました。そんな背景から、内部告発本に興味を持ちました。本書のサマリーは「現代ビジネス」のネット欄で読んでいました。筆者が朝日新聞時代の、上司や同僚や部下たちが実名で登場します。

東京オリンピック反対の社説については、本書でも少し触れられています。スポーツ部などから、大きな反発があったようです。この社説が象徴するように、朝日新聞には根強い反日・政権批判の姿勢があります。また中国や韓国に対する、弱腰な立ち位置が目立ちます。しかし本書では、これらのことに関する記述はありません。

官僚的な組織の体質。派閥と保身を第一義に考える経営陣。ネット時代を顧みない、傲慢な上から目線の人群れ。腐敗した朝日新聞の内部を、元政治部記者は舌鋒鋭く糾弾してみせます。

印象的な記述がありました。駆け出しだったときの著者が、上司である先輩大物記者から感じとったことです。
――それまで新聞記者は「過去に起きたこと」を取材して報じるものと思っていた。橘さんの話を聞くうちに、政治経済の「未来」を的確に見通す記事はとても重要だと気づいた。(本文より)

若き鮫島浩はこの訓戒を胸に、過去と現在を未来へとつなぐ記事を書こうと意欲的でした。ところがやがて、この訓戒はきれいごとだと悟ります。朝日新聞は立憲民主党の機関誌なのか。こういい放った友人がいました。番記者として頭角をあらわしてきた著者も、朝日新聞本体の歪みを実感することになります。

朝日新聞は吉田清治の嘘の告白を真に受け、日本軍は朝鮮の女性を拉致して従軍慰安婦にした、と大々的なキャンペーンをしました。やがてそれがすべて嘘だと判明し、記事の撤回を余儀なくさせられました。

「現代ビジネス」(2022.06.16)に、グーグル日本の元社長・辻野晃一郎氏が本書の感想をよせています。
――舞台は天下の朝日新聞社。ネットメディアの台頭に押されて凋落を続けるオールドメディアの「凋落の本質」が、鮫島さんという一人の反骨精神豊かなエリート政治記者の栄光と挫折を通じて生々しく描かれている。凋落の本質とは、詰まるところ「自滅」だ。

◎薄っぺらな防露本ではない

『朝日新聞政治部』の核心部分は、鮫島浩が福島第一原発事故の責任者が語った「吉田調書」のスクープから幕が開きます。極秘扱いされていた「吉田調書」を入手した鮫島たちは、膨大な文章を読みこなします。そして次のような記事を発信します。
――震災4日後の3月15日朝、第1原発にいた9割の650人が吉田所長の待機命令に違反し、10キロ南の第2原発に撤退したというものだった。 吉田所長の発言を紹介して過酷な事故の教訓を引き出し、政府に全文公開を求める内容だった。(この引用文献の出典わかりません)

大スクープ記事だったはずのものは、予期せぬ大パッシングに遭遇します。混乱のなかで吉田所長の命令は、確実に全員に届いていたはずはない。これが批判の論拠です。鮫島はこの批判をもっともだと判断します。そして第一報の脆弱だった部分を補完する、第2弾の記事を提案します。ところがこの申し出は、経営陣から拒否されます。このことで問題は、さらに大きくなります。最終的には、社長が謝罪に追い込まれます。

その点について鮫島は、次のように語っています。
――吉田調書の第一報は、百点満点ではなかったと思います。「吉田所長の待機命令に違反し、福島第一原発の所員650人が福島第二原発に撤退していた」と書いたわけですが、そもそもあれほどの災害の渦中ですから、命令が届いていない所員もいたでしょう。「結果的に命令に違反する形で、退避をしていた」と表記すれば、あれほどの問題にはならなかったかもしれない。(鮫島浩と中島岳志との対談。鮫島チャンネル2022.06.13の鮫島浩の発言から)

そして次のように続けます。
――「管理職だった私が結果責任を免れないのは理解できます。ただ、経営陣が自分たちの危機管理の失敗を棚上げして現場の記者に全責任をなすりつけたら、失敗を恐れて無難な仕事しかできなくなってしまう。これが、朝日新聞が死んだ最大の原因ではないでしょうか」(鮫島浩と中島岳志との対談。鮫島チャンネル2022.06.13の鮫島浩の発言から)

吉田所長については、私は門田隆将『死の淵を見た男』(角川文庫)の書評を発信しています。この本を読む限り、鮫島が発信した第1報は、軽率だったと思います。

鮫島は会社を去ることになります。今はネットメディアを立ち上げ、本来の報道倫理に立ち戻った言論活動を行っています。

2021年6月、朝日新聞社は創業以来最大の約458億円の大赤字を出しました。'90年代は約800万部を誇っていた発行部数も、いまや500万部を割っています。記者が失敗を恐れて萎縮し、無難な記事しか載らない紙面が読者に見捨てられつつあるのでしょう。朝日新聞の凋落は、誰にも止められないかもしれません。(現代ビジネスを参考にまとめました)

鮫島浩『朝日新聞政治部』は、薄っぺらな暴露本ではありませんでした。組織論、ジャーナリズム論として受けとめるべきでしょう。
山本藤光2022.07.15


220715:上田岳弘のこと

2022-07-15 | 妙に知(明日)の日記
220715:上田岳弘のこと
■公明党北側さんのコメントを、共同が見出しにしています。この人のいう「ムード」って何なのでしょうか。どうも「世論」ではないようです。――「ムードだけで改憲できない」 公明幹部、慎重議論要請――いずれにせよ、改憲には乗り気ではないようです。自民党は公明党に、三行半を下すときです。■上田岳弘(うえだ・たけひろ)『太陽・惑星』(新潮文庫)を読んでいます。すでに『私の恋人』(新潮文庫)と『ニムロッド』(講談社文庫)を読んでいます。上田岳弘の世界について、次のような記述があります。――朝日新聞紙上での松浦寿輝と鴻巣友季子との対談「ノーベル賞を語り合う」において、両氏が上田の名前を挙げ、中でも松浦は「卑近な現実から離陸して、観念の高みまで想像力を飛ばそうという意気込みが感じられ」るとし、その作風を評し「新超越派と名付けた。(ウィキペディア)前2作に魅せられたので、今度も楽しみにしています。
山本藤光

220714:畑野智美のこと

2022-07-14 | 妙に知(明日)の日記
220714:畑野智美のこと
■安部元首相の死にたいして、高市早苗さんの決意を取り上げた記事がありました。スポーツ報知からです。――「安倍元総理が他界されたという現実を受け入れるまでには大変な苦痛を伴いましたが、今後は、多くの同志議員と力を合わせて、安倍元総理の御遺志を引き継ぎ、懸命に働くことで恩返しをしてまいります」と記した。■畑野智美(はたの・ともみ)は『国道沿いのファミレス』(集英社文庫)を読んで以来、気になっている作家です。ただしずっとほんわかとした作品ばかりで、紹介したい作品とは出逢っていません。もうすぐ『水槽の中』(角川文庫)を読んでみます。40歳を越えた作家の成長を願いながら。■畑野智美のプロフィールは次のとおりです。――1979年生まれ。2010年、「国道沿いのファミレス」で小説すばる新人賞受賞。2011年、同作で小説家デビュー。2013年、『海の見える街』で吉川英治文学新人賞候補。2014年、『南部芸能事務所』で吉川英治文学新人賞候補。■新人作家にとって、吉川英治文学新人賞受賞がステータスになっています。がんばれ、畑野智美。
山本藤光


220713:ロアルド・ダール『少年』がいい

2022-07-13 | 妙に知(明日)の日記
220713:ロアルド・ダール『少年』がいい
■第104回全国高等学校野球選手権千葉大会1回戦が11日行われ、茂原市・長生の森野球場では、わせがくが千葉学芸に0-82の5回コールドで敗れた。以上はFull-countのニュースの引用です。このニュースには続きがあります。――田村監督は「この学校の生徒は9割が不登校を経験している。そんな選手たちが笑顔で野球をやってくれたのは教員冥利に尽きます」と打ち明けた。歴史的大敗を喫したが、選手たちは前を向いていた。■「わせがく高等学校」は、悩みを抱えた生徒が集る高校として有名なところです。監督のコメントのとおり、立ち直った生徒たちの笑顔が素敵でした。■ロアルド・ダールは『オズワルド叔父さん』(ハヤカワ文庫)を推薦作としています。しかし昨日読み終えた『少年』(ハヤカワ文庫)も、ダールらしい絶品でした。著者自らの少年時代を、ユーモアあふれる筆運びで描いた作品です。
山本藤光

220712:大石直紀『美しい書店のある街で』がいい

2022-07-12 | 妙に知(明日)の日記
220712:大石直紀『美しい書店のある街で』がいい
■虎ノ門ニュースで竹田恒泰さんも、同じことをいっていました。以下、アベマタイムスの引用です。安部元首相の襲撃殺害を受けての、識者たちのコメントです。まったく同感です。――『これは民主主義に対する挑戦だ』っていう異口同音にみんながいったっていうこと自体が、こんな危機のときに自分の頭を使わずにパターン認識で決まった言葉を人から借りてきて喋るっていう。それが日本の一番のインテリ層、有識者層である。これはもう日本の最大の弱み。平和ボケそのもの」■大石直紀(おおいし・なおき)は、『パレスチナから来た少女』(光文社文庫)を推薦しています。最近文庫化された『美しい書店のある街で』『物語の生まれた街角で』(ともに光文社文庫)は、「京都本大賞」を受賞した作者ならではの、味わい深いミステリーです。人情ミステリーとくくってもよい、新しさを感じさせてくれました。■大石直紀のプロフィールは次のとおりです。――1958年生まれ。1999年、「パレスチナから来た少女」で日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞しデビューした。2003年には「テロリストが夢見た桜」で小学館文庫小説賞を受賞、2006年には「オブリビオン〜忘却」で横溝正史ミステリ大賞テレビ東京賞を受賞した。
山本藤光

220711:インドリダソンにハズレなし

2022-07-11 | 妙に知(明日)の日記
220711:インドリダソンにハズレなし
■前評判どおりの結果になり、安堵しています。以下、ヤフーニュースより。――改選55議席の自民は63議席に達し、単独でも改選過半数を確保する大勝を収めた。与党に日本維新の会、国民民主党、憲法改正に前向きな無所属を加えた「改憲勢力」が、改憲の発議に必要な3分の2(166議席)の維持に必要な82議席以上を獲得した。■アーナルデュル・インドリダソンには、ハズレがありません。ちょうどR・D・ウィングフィールド(推薦作『クリスマスのフロスト』創元推理文庫)にはまったときみたいに、出る作品をまちかねて読みつないでいます。現状では推薦作を『湿地』(創元推理文庫、柳沢由実子訳)としています。ところが次作『緑衣の女』『声』『湖の男』(いずれも創元推理文庫、柳沢由実子訳)もすばらしい作品でした。現在第5作『厳寒の町』を待機本コーナーにおいています。■インドリダソンのプロフィールは次のとおりです。――1961年生まれのアイスランドの推理作家。1997年、処女作 『Sons of Dust』(日本では未翻訳)を発表。日本では2012年に『湿地』が初翻訳。以降、『緑衣の女』で、北ヨーロッパで最も優れたミステリに贈られるガラスの鍵賞を2年連続で受賞する。『緑衣の女』で英国推理作家協会が贈るCWA賞のゴールド・ダガー賞(最優秀長編賞)を、『声』でマルティン・ベック賞を受賞する。
山本藤光

220710:河野多恵子のこと

2022-07-10 | 妙に知(明日)の日記
220710:河野多恵子のこと
■ロシアのウクライナ侵攻後、初めてとなる主要20カ国・地域(G20)の外相会合が7日、インドネシアのバリ島でおこなわれました。ここにはロシアも参加しています。しかし日本を含むG7各国は夕食会には参加しませんでした。社交の場で、ロシアとの同席は避けるべきとの判断です。主要テーマは食糧危機ですが、おそらく収穫はないでしょう。■昨日ここまで書いて、朝のニュースをみました。露中VS日米欧の構図が鮮明となり、共同声明すら出せませんでした。国連同様もういらない集まりです。■河野多恵子は『後日の話』 (文春文庫)を推薦作としています。河野多恵子の簡単なプロフィールと、河野多恵子について書かれた著作を紹介します。――1926~2015年。1961年「幼児狩り」で注目され、1963年「蟹」で芥川賞を受賞する。
――秋山駿:作家と作品(小沢書店)
――黒井千次:小説家の時計(構想社)
――河野多恵子(文藝春秋編「青春の一冊」文春文庫プラス)
――「現代文学」月報集(講談社文芸文庫)
――国文学:現代作家110人の文体(1978年11月増刊号)
――知っ得:現代の作家ガイド100(学燈社)
――知っ得:現代作家便覧(学燈社)
――鈴木健次インタビュー集:作家の透視図(メデアパル)
――ダ・ヴィンチ2015.04追悼記事
――百目鬼恭三郎:現代の作家一〇一人(新潮社)
――福田和也:作家の値うち(飛鳥新社)
――文藝春秋編:私たちが生きた20世紀(上)(文春文庫)
――毎日新聞社学芸部:私の小説作法(雪華社)
山本藤光

220709:今村夏子『むらさきのスカートの女』読むぞ

2022-07-09 | 妙に知(明日)の日記
220709:今村夏子『むらさきのスカートの女』読むぞ
■安部元首相が、暴漢の凶弾で命を落としました。日本だけではなく、世界を牽引した偉大な政治家でした。。対中国、対韓国の暴挙に、きっぱりとノーを突きつけられる政治家でした。石原慎太郎さんにつづき、日本国の未来を、ずっと考えつづけてきた偉人が、また一人消えてしまいました。心からご冥福をお祈り申し上げます。■今村夏子(いまむら・なつこ)は『こちらあみ子』(ちくま文庫)を読んだだけです。今度文庫化された芥川賞受賞作『むらさきのスカートの女』(朝日文庫)を読むことにしました。今村夏子が一時休筆していました。しかし再起後の筆運びは順調のようです。■今村夏子のプロフィールは次のとおりです。――1980念生まれ。「あたらしい娘」が2010年、太宰治賞を受賞した[5]。同作を改題した「こちらあみ子」と新作中篇「ピクニック」を収めた『こちらあみ子』(筑摩書房)で、2011年に三島由紀夫賞受賞。2014年刊の『こちらあみ子』ちくま文庫版に新作「チズさん」が併録されたが、それ以外に作品の発表はなく、半引退状態となっていた。2016年、「あひる」を発表し、芥川龍之介賞候補に挙がった。同作を収録した短篇集『あひる』で、河合隼雄物語賞受賞。2017年、『星の子』で芥川賞候補[3]、野間文芸新人賞受賞。2019年、『むらさきのスカートの女』で芥川賞を受賞。
山本藤光

220708:李琴峰『ポラリスが降り注ぐ夜』文庫に

2022-07-08 | 妙に知(明日)の日記
220708:李琴峰『ポラリスが降り注ぐ夜』文庫に
■李琴峰(り・ことみ)は、芥川賞受賞作『彼岸花が咲く島』(文藝春秋)を読んでいます。今度、短編集『ポラリスが降り注ぐ夜』(ちくま文庫)が文庫になりました。期待の作家なので、読んでみたいと思います。■李琴峰のプロフィールは次のとおりです。――1989年生まれ。台湾出身。2017年、初めて日本語で書いた小説『独舞』(のち『独り舞』に改題)で群像新人文学賞優秀作を受賞し、作家デビュー。同作は、通勤電車の中で浮かび上がった「死ぬ」という一語が創作のきっかけだったという。『独り舞』台湾版は自訳で刊行(2019年、聯合文學出版社)。2018年10月1日、日本の永住権を取得した。2019年、『五つ数えれば三日月が』で第161回芥川龍之介賞候補。同作は後に単行本化し、野間文芸新人賞候補となる。2021年、『ポラリスが降り注ぐ夜』で芸術選奨新人賞を受賞。同年、『彼岸花が咲く島』で三島由紀夫賞候補、芥川龍之介賞受賞。
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