泣いた波
笑ったカワセミ
悦んだ記憶
そして 今青い宇宙に浮かび振り返る
憎しみと死
愛と暖かさ
カップヌードルに湯を注ぎながら
コスモスの広さと湿り具合を感じる
わたしの部屋のいたるところから
世界が突き出している
ブルーに包まれた青い眼
時給七百円のUNITED STATESのカウンター
売る男と売られる少女
五十年祈ったチベットの板
足首に穴
首を落とす
人類の歴史
五千年かわることがない三分後のタンメン
きみは希望をもっているか
かれは悲しみでみたされているか
この星の水は
流れているか
わたしたちと水草
そして乾ききったカルザス地方の空を
いえ あれは地中海のカタロニア
銃を置く
ペンを置く
憎しみを置く
この星の深いブルーの底に
きみの微笑みは風のように
頬にほそい傷をのこす
声はすでに忘れてしまったのに
眠りなさい
青い水に浸って
青い空に染まって
生命は空間を必要としないのだから
きみの中を
青い風がめぐる
シンバルの音がとおっていく
眠りなさい
人がつくることができない平和のなかで
翼を凍らせ
すきとおった像となり
飛びつずける鳥のように
わたしの上を過ぎる時
弦を低く響かせておくれ
罅われていく
翼のように
《cello演奏》