眠りなさい | 友野雅志の『TomoPoetry』

友野雅志の『TomoPoetry』

日々書きためている詩をのせます。noteには下にのせています。https://note.com/mtomono

泣いた波

笑ったカワセミ

悦んだ記憶

そして 今青い宇宙に浮かび振り返る

憎しみと死

愛と暖かさ

カップヌードルに湯を注ぎながら

コスモスの広さと湿り具合を感じる

わたしの部屋のいたるところから

世界が突き出している

ブルーに包まれた青い眼

時給七百円のUNITED STATESのカウンター

売る男と売られる少女

五十年祈ったチベットの板

足首に穴

首を落とす

人類の歴史

五千年かわることがない三分後のタンメン


きみは希望をもっているか

かれは悲しみでみたされているか

この星の水は

流れているか

わたしたちと水草

そして乾ききったカルザス地方の空を

いえ あれは地中海のカタロニア

銃を置く

ペンを置く

憎しみを置く

この星の深いブルーの底に


きみの微笑みは風のように

頬にほそい傷をのこす

声はすでに忘れてしまったのに


眠りなさい

青い水に浸って

青い空に染まって

生命は空間を必要としないのだから


きみの中を

青い風がめぐる

シンバルの音がとおっていく


眠りなさい

人がつくることができない平和のなかで

翼を凍らせ

すきとおった像となり

飛びつずける鳥のように


わたしの上を過ぎる時

弦を低く響かせておくれ

罅われていく

翼のように



《cello演奏》

パブロカザルス 鳥の歌