好きな人がいます
好きな人がいます
好きな人がいます
そう言えたら、どんなに満たされていたかな。
とてもとても焦がれた。
溢れそうな想い。
心を占める、密やかな想い。
全てがまるで清らかで、罪の意識が消えてく錯覚。
ごめんなさい
一瞬だけ、儚い夢を見た。
好きな人がいます
赦されない。
けして口に出してはいけない。
あんな想いを、なかったことにしなくてはならない。
「他に好きな人、出来たの?」
訊かれて。
実際には、ものの1秒や2秒の世界。
気付かれない程度に、躊躇したあと、
ふるふると、また首を振った。
「俺のこと嫌いじゃない?」
こくんと頷いた。
嘘ってこんなに簡単だったっけ・・・