急性腰痛症に対しハムストリングの治療が有効であった例

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症例検討
composita / Pixabay
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どうも。

KABOSUです。

 

今回は

症例検討について

です。

 

腰痛は、年齢問わず誰にでも生じる問題です。

腰痛の多くは原因がはっきりしておらず治療方法が確立していないのが現状です。

●心理的影響を含めた原因のはっきりしない腰痛=非特異性腰痛

●椎間板ヘルニアなど原因がはっきりした腰痛=特異性腰痛

上記のように腰痛は大別されます。

 

今回の症例も原因のはっきりしない腰痛であり、ある日突然生じた腰痛に悩まされた例になります。

つまり”急性腰痛”ですね。

 

そんな症例に対し、ハムストリングへの介入を行った結果、腰痛の大幅な改善をきたしたため、腰痛に対する一つの介入ポイントとして紹介しようと思います。

図:ハムストリング(大腿二頭筋)

3D解剖学より引用

 

 

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1.症例紹介

●20歳代女性

●痩せ型

●職業:看護師

●運動歴はあり、現在はなし

●出産経験あり(子供は一人)

 

 

2.現病歴

最近体型が気になって、運動をしようとスクワットを実施した際に腰痛出現。

スクワット実施中は特に症状はなく、実施後少ししてから腰痛出現あり。

腰痛出現時は腰を反っても曲げても腰痛あり。

数日経っても腰痛軽減見られず、コルセットを巻いて仕事をする始末。

しゃがみこみや前屈位から軽く捻じった際に生じる痛みが気になるとのこと。

 

 

3.腰痛の評価

痛みの部位

主に右仙腸関節付近にあり

※ワンフィンガーサインあり

体幹の自動運動テスト

●前屈

⇒軽度腰痛あり

●後屈

⇒腰仙部および仙腸関節付近に限局的な腰痛あり

●前屈+左回旋

⇒仙腸関節付近に最も限局した痛みあり

姿勢

無意識下では猫背になる

※姿勢への意識は低い

荷重伝達テスト

【アクティブSLR】

多裂筋、腹横筋に弱化確認される

※多裂筋・腹横筋のどちらかといえば多裂筋を促通したほうがアクティブSLRの変化が大きい

アクティブSLRの詳細についてはこの記事をご覧ください。

 ASLRテスト(アクティブSLR)の評価方法【体幹機能の検査方法】

 

【ストークテスト】

右仙腸関節の不安定性あり(右仙腸関節のアンロックあり)

※上記の結果から、右仙腸関節の不安定性が予想され、そのことが原因で腰痛の増悪をきたしていると考えられる。

 

 

4.腰痛の原因の特定

腰痛の評価の結果から腰痛の原因を特定していきます。

腰痛の出現する動作は3パターンありました。

①前屈運動(前にかがむ)

②後屈運動(後ろに反る)

③前屈運動+左回旋運動の複合運動(前屈姿勢から身体を捻じる)

上記3つの動きのパターンから③の動きで最も腰痛が出現しました。

 

また、上記の動きで出現した腰痛部位は主に”右仙腸関節付近”にワンフィンガーサイン(限局した痛み)が確認されました。

 

このことから、右仙腸関節の不安定性が腰痛の原因ではないかと推察しました。

 

 

上記の判断を確定させるため、荷重伝達テストを実施していきました。

まずはストークテストです。

案の定、右側のアンロックが確認されより右仙腸関節の不安定性が有力になってきました。

 

併せて、アクティブSLRを実施し、右仙腸関節の不安定性を助長している組織の特定を実施しました。

結果、多裂筋や腹横筋に弱化が確認されました

多裂筋と腹横筋では多裂筋を促通したほうがアクティブSLRの変化が大きかったので多裂筋の影響の方が大きいことがわかりました。

 

 

以上の結果をまとめていくと、腰痛の原因は以下のようになりました。

●痛みは、右仙腸関節付近にあり

●右仙腸関節の不安定性が原因で腰痛が発生している

●右仙腸関節の不安定性をきたしている原因は”多裂筋”の弱化が一つの原因になっている

 

このことから、アプローチの対象は「多裂筋」となりました。

 

5.評価から得られた結果に対してアプローチした結果

腰痛の評価により「多裂筋の弱化」が原因と判断されました。

そのため、多裂筋のトレーニングを実施していきました。

 

多裂筋のトレーニングについて詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

腰痛に対する運動には多裂筋トレーニングが有効~体幹伸展時の腰痛に対する考え方~

 

多裂筋そのものは深部の筋でインナーマッスルの一つになりますので、なかなか個別の促通は困難で代償が入りやすいです。

それでも、多裂筋のトレーニング実施後は体幹の自動運動に変化は出て動きの質は改善されていました。

しかし、痛みの軽減が完全ではなく、まだ嫌な痛みが残っている状態でした。

 

 

そのため、次に腹横筋に対してトレーニングを実施していきました。

しかし腹横筋のトレーニングでも痛みの質に変化はなし・・・

 

※腹横筋に対するトレーニング方法についてはこちらの記事をご覧ください。

腰痛を治すにはこのリハビリを実践しよう【腹横筋のトレーニング方法の紹介】

 

痛みの本質は改善見られませんでしたが、動きの質は変わっているので、とりあえず自主トレを指導し様子を見てもらうことにし、その日の介入は終了としました。

 

そして、後日再度アプローチを実施しました。

この時は考え方を大きく変えて、

「弱化している組織に対して直接アプローチしていくのではなく、”弱化を招いている組織”に対して介入をする」

というスタンスで評価を行っていきました。

 

どういうことかというと、

多裂筋の弱化が確認されたので、直接多裂筋のトレーニングを行うのではなく、

多裂筋が弱化している原因に対してアプローチし、多裂筋が働きやすい環境を作っていく

ということになります。

 

上記のことを今回の腰痛に当てはめていくと

多裂筋の弱化を招いているのは、ハムストリングの短縮もしくは過緊張が原因ではないかという結論に至りました。

 

ハムストリングは太ももの裏を走行しており、骨盤と下腿に筋の付着を持ちます。

このハムストリングが短縮もしくは過緊張を起こすと、”骨盤は後傾位”に誘導されます。

骨盤後傾位ということは、骨盤を前傾位に誘導し仙腸関節の安定化を図る多裂筋と真逆の働きをするということになります。

 

つまり、上記の仮説からいくと

ハムストリングの問題が骨盤後傾位に誘導し、多裂筋の正常な働きを阻害している

という事が予想されるわけです。

 

この仮説のもと、ハムストリングのダイレクトストレッチを行っていった所、腰痛の本質の痛みの改善が図れ、翌日も腰痛の増悪なく軽快していきました。

 

このことから、今回の腰痛の原因は、

ハムストリングの異常が原因で、多裂筋の機能低下をきたしている状況で急に腰部に負担のかかる動作(スクワット)を実施したことで腰痛が出現した

と考えられました。

 

6.まとめ

今回は、急性腰痛についてハムストリングへの介入が効果的であった例をご紹介していきました。

急性腰痛はある一定時期を過ぎれば寛解を迎えると言われています。

しかし、その腰痛で生じた”機能的な問題”を解決しないままで過ごしてしまうとまたすぐに腰痛を再発してしまいます。

 

こうして腰痛を繰り返して、いつかは椎間板ヘルニアなど重症化してしまうという結果に至ります。

 

そうならないように軽い腰痛の時期からしっかりケアしていくことが非常に大切になってきます。

今回のような腰痛を引き起こす方は非常に多いです。

特に仙腸関節が問題で生じる腰痛は高頻度で多くの人が経験しているものになります。

 

腰痛により病院通いをする・手術をする

なんてことが少しでも減ってくればと思います。

 

それでは今回はこの辺で!

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

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