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なぜモチベーションは高いのに上達しないのか?

サッカー上達には、練習の継続は欠かせません。

しかし、「分かってはいるけど、継続できない」というのが人間の性です。「成果が出るまで続けよう!」と思って始めても、新しい練習法が出てくると、そちらに流されてしまう、ということはよくあります。

継続するには、気合や根性といった精神力では上手くいきません。今行っている練習が上達につながることを実感できることが大切です。上達につながっていると実感できれば、モチベーションが上がり、自主的に練習を行うようになります。

なぜ目標を決めるとサッカーが上達するのか?

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モチベーションだけでは空回りする

「モチベーション」という言葉が出てきましたが、ただモチベーションを上げるだけでは不十分です。

たとえば、試合で上手くいかず、「もっと練習しないと」とモチベーションが上がった、という経験のある人は多いと思います。モチベーションが上がることは良いことなのですが、重要なのはここからです。

具体的に何をするのか、具体的にどうなりたいのかが明確か?これが、上達する人とそうでない人の違いです。

明確な人はモチベーションが上手く働くので、どんどん上達していきます。不明確な人は、見当違いな練習をして、結局何も変わっていない、という状態になってしまいます。モチベーションが空回りしてしまうのです。

脳科学者の茂木健一郎さんは、「創造性はモチベーションと経験の掛け算である」と言っています。これは、どんなにモチベーションが高くても、それなりの経験が蓄積されていないと、空回りしてしまうということです。ここで言う「経験」とは、自分のプレー経験はもちろん、「良い見本を見る経験」も含まれます。

モチベーションが上がった勢いに任せて、やみくもに練習しても、空回りしてしまいます。一旦落ち着いて、そのモチベーションを本やDVDで勉強したり、トッププレーヤーの研究に使うことも大切です。

良い見本を見て、具体的なイメージを固めてから練習に移る方が、効率よく上達できることが多いのです。

良い見本を、正しく理解することが大切

良い見本を見て、良いイメージを蓄えることは、モチベーションを空回りさせないための大切なポイントです。

「良い見本」として最適なのは、好きな選手、目標とする選手です。

あなたには、好きなプロ選手、目標とするプロ選手はいますか?もしいなければ、探すことをおすすめします。目標となる具体的なイメージがあることで、サッカーの上達が加速するからです。

そして、目標の選手を持ったら、その選手を正しく理解することが大切です。

ここからは、目標の選手を正しく理解するための見方を紹介してきます。

まずは試合を見る

まずは、その選手が出ている試合を見ることから始めるといいと思います。試合の流れの中で、その選手がどんなプレーをしているかを見ます。「試合の流れの中で」というのが重要です。

今は、YouTubeなどでプレー集を見ることができます。こういった動画は、かっこいいプレーだけを集めているので、見ていて楽しいですし、時間も短いので手軽に見ることができます。

しかし、サッカーが上手くなるには、やはりサッカーの試合を見ることは外せません。試合を見ることで、良いプレー、悪いプレーの判断ができるようになるからです。

例えば、フェイントで相手を抜くプレーをする場合、相手ゴール前なら効果的なプレーになりますが、自陣ゴール前ではリスクの高いプレーになってしまいます。

また、試合終了間際で1点差で勝っていて、時間を稼ぎたい状況なら、相手を抜くプレーはするべきではありませんが、1点差で負けている状況なら、積極的に仕掛けていくべきでしょう。

このように、同じ「相手を抜く」というプレーでも、ピッチの場所、時間帯、スコアの状況などによって、良いプレーか悪いプレーかが変わります。こういった判断は、試合を見ることで養われていきます。試合の一場面だけ切り取ったプレー集では身につかないのです。

まずは、試合を見て、目標の選手がどんなタイミングで、どんなプレーをしているかをしっかり見ましょう。プレー集がダメということではありません。その選手が試合の中で、どんなプレーをするかを理解した上で見れば、プレー集も有効活用できるでしょう。

生のプレーを見る

試合を見るのはテレビでもいいですが、できればスタジアムに足を運び、生のプレーを見ることをおすすめします。実際に目の前で見ると、プレースピードや選手同士の距離感などをリアルに感じることができます。このリアル感が重要です。

自分の目で目標の選手のプレーを見ると、「あの選手は、これくらいのスピードのボールを正確にトラップできる」、「これくらいの距離のパスを正確に通すことができる」など、レベルの高いイメージが頭の中にストックされます。すると、実際に自分のプレーも良くなります。レベルの高いイメージは、自分のプレーを引き上げてくれるのです。

中村俊輔選手は、著書でこんなことを書いています。

高3(96年)のころから、U-19代表で、Jリーグの選手と一緒に練習する機会が増えた。

彼らの高いレベルを知れば知るほど、「代表合宿後、高校へ戻り、同世代や年下の選手と練習しているだけではヤバイ」と感じ始めるようになった。

そこで、考えたのが、Jリーグの練習に参加することだった。当時から、代表へ行くと各クラブのスカウトの人が声をかけてくれたから、「一度練習させてもらえませんか?」とお願いした。

練習参加の目的は、就職活動というよりもトレーニングの一環だった。同時にいろんな情報を収集したいという思いもあった。

(中略)

全体練習が始まる前の準備の仕方や、練習中の何気ないしぐさや言葉のやりとり。全体練習後、誰がどんな自主練習をしているのかなど、プロの選手を間近に見られたことは、とてもプラスになった。

目で見たこと、観察したことで、プロ入りを前にいくつかの「引き出し」が作れた。

察知力 中村俊輔著」より

インターネットを使えば簡単に情報収集できますが、自分の目で見たこと、自分の体で経験したことは、便利さだけでは計れない大きな影響力があるのです。

「見本を見る」ことを継続する

頭の中にあるプレーイメージは、実際のプレーに影響を与えます。良いイメージがあれば、実際のプレーも良くなりますし、悪いイメージがあれば、実際のプレーも悪くなります。

例えば、スタジアムでプロの試合を見た直後は、いつもより1本のパス、1つのトラップに対する意識が高くなります。プロの正確な技術を目の前で見ることで、頭の中に良いイメージがストックされるからです。

しかし、この現象は、ずっと続くわけではありません。普段アマチュア選手の中でプレーしていれば、周りの影響を受け、頭の中のイメージのレベルも下がっていきます。

レベルの高いイメージを維持するには、「良い見本を見る」ことを継続する必要があります。目標の選手のプレーを見ること、プロの試合を見ることは、必ず継続しましょう。

大切なのは、モチベーションを上手く回すこと

サッカー上達には、練習の継続が大切で、継続するためには、モチベーションを高めることが大切です。

ただし、モチベーションだけでは空回りしてしまいます。モチベーションを上手く働かせるには、「こうなりたい」という具体的なイメージや、「こういう練習をしよう」という具体的な方策が必要です。

まずは、「こうなりたい」という具体的なイメージを固めることが大切です。どんな練習をするかを考えるのは、それからです。目的地(目標の選手)を決めてから、そこへ行くまでの手段(練習法)を考えていく、というイメージです。

今回は、目標の選手を正しく理解するための方法を紹介しました。

大切なのは、その選手が自分の能力(技術、身体能力、戦術眼など)を使って、チームにどのように貢献しているかを理解することです。それには、プレー集のような断片的な情報ではなく、試合を見ることが大切です。

目標を正しく理解できれば、具体的な練習法が見えてきます。このような過程を経て考えられた練習は、「この練習をすれば、上達できる」という実感を伴った練習になります。冒頭で申し上げたように、「上達できる」という実感は、モチベーションを上げる何よりの特効薬です。

目標を持つこと、目標を正しく理解することは、遠回りなようで、一番の近道なのかもしれません。

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