象が転んだ

　イタリアがスペインがフランスが､そして大国アメリカが新型コロナ感染者を急激に増やしてる中､何故か”感染列島”だった筈の日本だけが”小康状態”？にある。
　と思いきや､日本の首都•東京でも感染爆発(オーバーシュート)の予兆が現れ始めている。26日に47人感染とここ4日続けて記録更新だ。昨日も41人感染を記録し､東京都知事のが慌てて､ロックダウン(首都封鎖)を匂わせる発言をしたが､若者達は何食わぬ顔して”夜桜”を楽しんでる光景がTVで映し出された。
　”屋内じゃないから大丈夫” ”ニュースで聞く話が自分の近くでは起きていないので”と平和ボンボンの若者は大バカぶりを曝す。
　しかし､それでも日本の感染拡大の規模は韓国や欧米の先進国に比べ､まだまだずっと少ない。
　そこで今日は､日本では爆発的な感染拡大が起きるのか？について述べます。

”日本のコロナの謎”

　日本の新型コロナウイルスの感染者数が先進国中で圧倒的に少ない事を巡り､感染が急増中の欧米メディアは､日本は検査不足で実態が反映されてないのか？それとも感染抑止で健闘してるのか？注視し始めた。
　一方､世界保健機関(WHO)は単純に検査数で是非を判定するのには慎重な姿勢だ。
　独誌ウィルトシャフツウォッヘ(電子版)は21日､｢日本のコロナの謎｣という記事を掲載し､”欧州と違い多くの店舗が開いてるのに､日本の感染者数は少ない”と指摘した。検査数の少なさへの批判と”疑いが強い例に絞り効率的に検査をしてる”との両論を併記した。

　米通信社ブルームバーグも､検査数の少なさを指摘しつつ､検査数が多いイタリアより致死率が低い事も紹介。握手やハグの少なさや手洗い習慣などを肯定的な要素として挙げた。
　英オックスフォード大の統計によると､日本のPCR検査数は約15000件と､韓国の31万件超､イタリアの20万件超と比べて大幅に少ない(20日現在)。ただ､WHO幹部のファンケルクホーフェ氏は日本の検査数の少なさを問われ､”インフルエンザなど既存の疾患発見の仕組みが機能しており､新型ウイルス検査の前に別の疾患が判明する場合もある”と回答。”検査徹底が最重要とする一方､検査数に表れない対策もある”との認識を示した(JIJI.com)。

習慣の違いか？それとも

　マスクと手洗いの習慣が大きいという声が多いですね。それに日本人の意識の高さや民度の高さを指摘する声もある。
　ドイツの致死率0.5%で計算すれば､実質の感染者数は8000～9000人。韓国の1.4%で計算しても3000人ほど。それでも先進国の欧米に比べてずっと少ない。
　日本は欧米より早いタイミングで感染がスタートしたが､日本の方が欧米よりウイルスへの社会的耐性は明らかに高いと。
　勿論､逆の意見もある。ただの肺炎死亡者に感染死者を紛れ込ませる可能性もゼロではない。今は小康状態でも､これから一気に増える”オーバーシュート”の可能性もある。

　しかし､実際の所はどうなのか？政府は数字調整をしてるのか？日本人が偉いのか？政府の政策が上手くハマったのか？
　以下､”日本で新型コロナの死亡が少ないのはなぜ？”から抜粋&編集です。
　公衆衛生への国民の意識が高いからか？クラスターの封じ込めに傾注する対策が当たっているからか？

　新型コロナに関しては､まだまだ分からない事が多い。故に､3月19日に専門家委員会が表明した､”日本は感染拡大の加速には至っておらず持ちこたえてはいるが､オーバーシュート(爆発的感染拡大)の危険はあり､依然として厳しい警戒が必要”という指摘こそ､我々は真剣に受け止める必要がある。
　日本の新型コロナ対策に関して､PCR検査数が抑制されてるとの指摘だが､明らかなのは､日本の人口当たりの新型コロナの死亡率が極端に低い事だ。
　現在まで大規模な感染が発生してる主要国の死亡率(人口10万人当り､25日現在)と比較すると､日本の低さはダントツ。
　イタリア=12.39人､スペイン=8.64人､イラン=2.53人､フランス(1.7)､英国(0.6)､韓国(0.26)､アメリカ(0.24)､ドイツ(0.15)。
　そして日本は何と､0.035人だ。因みに､中国は武漢一極集中だから､0.22人という数字は全くアテにならないが。

　
何故？日本だけが？

　まず考えられるのが､”日本社会の特徴”だ。
　例えば､高齢者が”高齢者のみの世帯”で生活してる率が高く､若い世代との接触を遮断するのが容易だという事。例えば､日本の高齢者入居施設の場合､早い段階から家族を含めた入所者以外の訪問を停止して厳格な管理をし､大規模感染は起きていない。また､大家族が比較的残っている地方は人口密度が低く､反対に人口密集地域では単世代が多い事が理由として上げられる。
　他にも､公衆衛生の概念が浸透してるとか､手洗いの習慣やマスク着用など生活様式の特徴も理由になりそうだ。
　漠然とした理由だが､同じ様な高齢者の命を奪う季節性インフルエンザの場合､アメリカで毎年1万5000人前後の死亡者を出す一方､日本は3000から5000の死亡者数で推移する。そう考えると､上述した社会の特徴だけで説明できるとは思えない。

　2つ目は､日本の”政府の方針”で新型コロナ死者数が少なく抑えられてるという説。
　例えば､社会不安を抑えたい､又は政治責任を回避したい､更には東京五輪が中止•延期されては困るなどの理由が動機になるとの想像は可能だ。
　例えば､他の病気との併発の場合は死因をそちらにカウントし､新型コロナ死亡者数に入れないとか､検査前に肺炎が悪化し死亡した場合は死者数として数えないなど､統計的な偽装操作はムリにやろうと思えばできなくもない。
　しかし､新型コロナで亡くなった患者をカウントしないという事は､実際の現場では感染防止の観点から不可能だし､いずれにしても1桁も2桁も違う数字に持っていくのは無理だろう。

　日本の場合は､集中治療室(ICU)のスペックが高い？とか､院内感染回避のノウハウとリソースがあるとか､場合によっては高価な人工肺(ECMO)も使用できるなど､治療の環境が整ってるという事はある。しかし､中国も含めどの国のどの病院もECMOの投入は可能だから､顕著な医療崩壊が起きてる国を別にすれば､日本だけが何十倍も恵まれてるという事はない。

クラスター(集中感染)対策の効果？

　3つ目は､封じ込め政策を”クラスター対策”に集中してる日本の戦略が､今の所は当たってるという事。
　この戦略は､SARSを制圧したのと同じ手法で感染の連鎖を潰す作戦だ。
　PCR検査の投入方法も､限りある検査キットを感染者とその濃厚接触者に集中させ､クラスターを抑え込む事を優先して決めてる様だし､例えばダイヤモンドプリンセス下船者については､100％クラスターの発生は抑止されたという説明もなされてる。

　しかし例えそうでも､仮に今後”感染経路の見えない”形で､多数の感染者が発生し､クラスターを抑え込む事ができなくなる可能性は残っている。専門家会議の言う”爆発感染(オーバーシュート)”とはそうした事態であり､これを恐れて警戒を強めようとの趣旨は理解できる。
　仮に､この3番目の理由がある程度に当ってるにせよ､専門家が声高にそれを誇るのではなく､警戒を促すというのは正しい姿勢であろう。

　事実､東京都は昨日僅か1日で47人もの感染者(25日は41人)を出した。ここ4日で過去最多を記録し続けた事になる。これこそが”爆発的な感染拡大”の予兆なのか？
　今言える事は､少しでも油断したら､国家ごと吹っ飛ぶという事だ。
　ロシア大統領のプーチンも言ってたが､”オレは大丈夫”的な慢心こそがウイルスの格好の標的になる。因みにロシアは､感染者がここ1日で182人から840人に急増した。
　こんな時期に､のほほ〜んと夜桜を見るバカは､そういう事すら解ってない。

夜桜とパンデミックと集中感染

　あるコメントに､”感染爆発の危機にあるのに､オレだけは大丈夫だって強がってんだろうね､特に若者は。
　状況が状況だけに首都封鎖も最悪､仕方ないとは思う。でもそんなに自宅待機が嫌なのか？不安とは恐れる為にあるのにな。
　アメリカの驚異を驚異と感じなかった戦時中の日本国民と同じよ。その結果どうなったかは､誰もが知ってる事なんだろうけど”とあった。
　全くの模範解答である。戦争を引き起こしたのは､ルーズベルトでもチャーチルでも東條でも､政治家でも政党でもプロパガンダでも過激右翼でもなく､パニックに躍らされた我ら愚かな大衆だった。
　今回の新型コロナ感染もウイルスではなく､悲しいかな我ら愚かな大衆が拡散させてるんだよね。
　人混みの多い所では､集中感染の危険性が高いと判りきって､若者は敢えて夜桜を見に出掛ける。会社が自宅待機と指示してんのに､スケベ爺は夜な夜なクラブや風俗店に通う。

　ハンナアーレントではないが､大衆は少しでもパニックに陥ると”思考を失い凡庸は悪に変わり”､パンデミックになる。英語とは良く出来てるもんだ。
　そういう思考をやめた自分勝手な人種がマスクをトイレットペーパーを消毒液を買い占め､ウイルスに感染し､そして人に伝染す。

　つまり､思考を失った大衆はウイルスよりも脅威だ。アホが集団感染し､やがてそのアホの集団が爆発的感染を引き起こす。これこそが思考を失ったアホな大衆のパンデミック感染なのだろうか。
　武漢の危機は中国の危機であり､韓国やイタリアやスペインの危機となり､ヨーロッパやアメリカの危機となった。そして今､ぐるっと一周して再び日本の危機になりつつある。
　その日本も今は小康状態だが､少しでも油断したら太平洋戦争の二の舞になる。”広島•長崎の悲劇”を繰り返したくなかったら､今こそじっと我慢して行動ではなく思考を張り巡らすべきだ。

　最後に､ボクシングの名トレーナー､アンジェロ•ダンディの言葉で締め括る。
　”必ず終わりは来る。それまではじっとガマンだ”