今日は「歌謡曲」
Stereo Soundの「テレサ・テン ベスト盤 Analog Record」
を2枚紹介し比較してみた。
1枚目はステレオ・サウンドから2015年に発売されたベスト盤の1枚目のもの。
この盤を仮に「青盤」とする。
2枚目はステレオ・サウンドから2017年に発売されたベスト盤の2枚目のもの。
この盤を仮に「赤盤」とする。
青盤の裏ジャケット
青盤のラーナーノーツ
青盤ライナーノーツの裏面
歌詞カード
このシリーズは「Stero Sound」 とエアーフォースのレコード・プレーヤーなどで有名な「Stella」との共同企画で発売になった。
赤盤の裏ジャケット
テレサの写真が青盤と同じだが大きくなっている。
テレサの写真はいっぱい存在するのでアルバムごとになぜ変えてくれなかったのだろう?
赤盤のライナーノーツ
赤盤ライナーノーツの裏面
歌詞カード
青盤の曲目
青盤は録音時代順になっている。
ポリドール時代(1~3曲)らトーラス時代(4曲目から残りすべて)
このようなベスト盤のレコードは今までなかったようだ。
赤盤の曲目
「時の流れに身をまかせ」が中国語バージョンになっている。
B面がカバー曲と香港のLive録音
青盤と赤盤の重複曲
「空港」
「つぐない」
「愛人」
「別れの予感」
「時の流れに身をまかせ」は日本語バージョンと中国語バージョンの違い
B面2曲目の「グッバイ・マイ・ラブ」が思ったよりなかなか良い感じ。
カッティング・エンジニアは「武沢 茂」さん
日本コロンビアの方。
美空ひばりや島倉千代子などのレコード制作を担当。
再生テープレコーダー
今回は左側の「スチューダーA820」を使用している。
1970年代に広く使われた。
右側は「スチューダーA80」
1980年代に広く使われた。
データー作製の流れ
A820で再生された音源は
デジタル・オーディオ・デンマークのA/Dコンバーター、DAD AX32によって96kHz/24bitデジタル・データにされてから
カッティング・スタジオにてDCSのD/AコンバーターDCS952によってアナログ変換される。
ミキシング・コンソールにて音質を微調整してから
ノイマンのカッティングアンプSAL74Bに至りカーターヘッドSX74を搭載したカッティング・マシンVMS70でラッカー盤が制作される。
左のマスター・テープが「時の流れに身をまかせ」のシングル盤用。
右のマスター・テープが「つぐない」のシングル盤用。
ポリドール版「空港」のシングル・ジャケット写真
シングル用テレサ・テンの「空港」と「はぐれた小鳩」のマスターテープ。
他の歌手のシングル用歌が同じテープに入れてしまっている。
「空港」は良い曲なのだがヒットはしなかった。まだ、テレサ・テンという歌手がこんなに偉大な歌手になるなんて国民は思いもしなかっただろう。
レコーダーでマスターテープを再生し、その信号をデジタル化するのだが、当時の流行りを反映してか、同じマスターテープの再生でも、スチューダーA820とA80ではサウンドの傾向がわずかに異なるそうだ。
ラッカー盤にカッティングをしているところ。
カッターマシンはVMS70
カッターヘッドはSX74
カッティング針は最大限切れ味のいい針を選別している。
①青盤はADAMANT製サフャイア針を使用。
ヴォーカルものは少しでも摩擦係数が高いとちょっとしたざらつきが音にでてしまうそうだ。
②赤盤にはアメリカのTRANSCO製ルビー針を使用。
ヴォーカルのキレ味を求めながらフラットでよりしっとりした質感を得るということらしい。
音の違いは後に少し書いてみた。
こちらの方が「武沢 茂」さんである。
ラッカー盤を作製するところ。
テスト用ラッカー盤は何枚も作られ音を決めていく。
アナログ・ミキシング・コンソール
カッティングは片面いっきに行うそうなので気が抜けない作業なのだ。
青盤のレコード
青盤のラベルA面
赤盤のレコード
赤盤のラベルA面
青盤1曲目の「空港」(ポリドール版)のカッティング面
ADAMANT製サフャイア針のためか、赤盤より出だしのトランペットなどの音に少し歪を感じる。
しかし、青盤は通常のレコードやCD、SACDと比べると段違いに違う高音質盤ではある。
赤盤1曲目の「空港」(ポリドール版)のカッティング面
写真では青盤の溝と赤盤の溝は解り難いが実際目で見ると違うように見える。
アメリカのTRANSCO製ルビー針のためか、出だしのトランペットの鳴りなどにまったくビビリ音がなく、青盤よりすっきり聴こえ音質が向上している。
青盤と赤盤を比較しないと気が付かない話ではある。
赤盤を購入して一発1曲目を聴いて音が違う!高音が全然違う!と感じた。
カッティング針で書いていたように、サフャイア針では針の摩擦が多くザラツキが出ていたので今回ルビー針に変更したのだろう。
この赤盤はなぜか青盤とA面4曲ダブって発売になったので高額な赤盤を買わなかった方は多いと思う。私はたまたま購入することになり今回音質違いに気が付いたしだいだ。
Stereo Soundのカッティングはリミッターやコンプレサーを極力かけていないので録音レベルは少し下がっている。
そのため欠点としてヴォーカルの声の子音が強めに聴こえてしまう点がある。
テレサ・テンのオリジナル・アルバムはたくさんあるので、Stereo Soundでベスト盤や中国語盤ではなくオリジナル・アルバムで復刻を願うのは私だけでしょうか?
では、また。