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ムラヴィンスキー/レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団 1973年 LIVE in Tokyo

2018年09月17日 | クラシック

今日は「クラシック」

ムラヴィンスキーの来日公演をブログ2回目として紹介。

「エフゲニー・ムラヴィンスキー指揮
レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団 1973年 初来日 東京公演」

 

4月のブログではCDを紹介したが、今回は1973年5月26日の東京公演全プログラムをアナログLP化した盤を紹介。

  

 帯付箱仕様

ムラヴィンスキーのレコードで3枚組は他にもあるが、箱に入っているのは今回のものだけと思う。

 

 帯なしの箱ジャケット写真

1973 Tokyo という文字がCDとは異なる。

 

1938年に、ムラヴィンスキーはレニングラード・フィルの常任指揮者に就任。

 

1973年が初来日

飛行機嫌いのため、シベリア鉄道と船を長期間乗り継いでの来日だった。

レニングラード・フィルは1958年に初来日を果たすが、ムラヴィンスキーは病気のために同行できなかったのだ。

1973年、1975年、1977年年、1979年と4回の来日をしている。

 

CDに使われていたカラー写真

 

説明は前回ブログを参照。

一般的なオーケストラの楽器配置と異なる。

コントラバスが左側に配置している。

 

厳しい表情で指揮をするムラヴィンスキー

「本番では通しリハーサルのようにうまくはいかない」と彼は言っている。

 

 5月26日の東京公演プログラム

メインの曲は2曲

ムラヴィンスキーはロシア作曲者の演奏が有名だが、このベートヴェン交響曲第4番がなかなか名演なのだ。

 

1937年11月21日初演

ムラヴィンスキーが31歳の時となる。

 

このショスタコーヴィッチ交響曲第5番「革命」を聴きたくてみなさんコンサートに行かれたと思う。

チケットなんか購入することが出来たのだろうか?

FM、TVでも放送されていたような記憶がある。

 

今回のマスター・テープもNHKのFM用録音されたものである。

マスター・テープの状態が非常に良いのでSN比も良い。

録音マイクが天井から下がっているワンポイント・マイクと思われるのでスタジオ録音のようには聴こえないが当時のライブ感が良く出ている。

ムラヴィンスキーの来日公演のなかでも音質が良いし、音のバランスもよい。

他の公演録音は弦楽器が遠くに聴こえ金管楽器やティンパニーなどが大きく録音されてしまっている。

 

アンコール1曲目

アンコールをやってもらえる方はいい方だ。

カラヤンはアンコールはしないと聞いている?

 

 アンコール2曲目

 

 

 なぜこんな箱仕様にしたのかな?立派な感じはある。

レコードの厚みより箱の厚みの方が大きい。

箱仕様はレコードが反る場合があるのマニアは好まないかもしれない。

 

LP3枚で値段が税込 21,384円と大変高額!

 

 箱の左側面

 左側面 文字には曲目名

 

 左側面の右文字

 

箱下側面

日本製「東洋プレス」と思われる。(書いてはいない)

 

 

箱ケースの横に切り込みが入っているのでレコードなどが取り出しやすく良い。

しかし、先ほど言ったように箱の方が大きいのでスポンジで調整してある。

このスポンジがくせもので、経年変化で劣化しポロポロになってしまうことがあるのでマニアは気お付けている。

私は、海外仕様の製品箱には切り込み仕様は見たことがない。
レコードも取り出しにくい。

 

 

ライナーノーツ

24ページもある。

 

ライナーノーツには「ムラヴィンスキーのディスコグラフィ一覧」が何ページも載っている。

下記写真

ディスコグラフィがいっぱい載っている。

ムラヴィンスキーの録音がすべて分る。

やはりチャイコフスキーが多い。

ショスタコーヴィッチの全集を残しておらず第5・6・7・8・10・11・12・15番のみである。
そのほとんどがライブ録音。

ベートヴェン、ブラームス、モーツァルトのドイツ系音楽も録音されていたり、ブルックナー、シベリウス、バルトークなどもある。

 

ムラヴンスキーはライブ録音が嫌い、いや録音作業そのものが嫌いであまり録音が残っていない。

なかなか録音許可がでない。

録音時にはマイクが自分の目に入る位置には絶対置けない。

良くない演奏はすぐ消去せよ!と言われる。

しかし、演奏が上手くいったときには「今日の録音はうまくいったか?」なんて矛盾したことも言う。

 

 

左が若き日のムラヴィンスキーとショスタコーヴィチの2ショット。

 

エフゲニー・ムラヴィンスキー
1903年6月4日生まれ~1988年1月19日死亡
84歳没

ドミートリイ・ショスタコーヴィッチ
1906年925日生まれ~1975年8月9日死亡
68歳没

ムラヴィンスキーの方がショスタコーヴィッチより3歳年上になる。

 

1936年年に歌劇「ムツェンスク郡のマスベス夫人」とバレエ「明るい小川」が、ソヴィエト共産党機関紙「プラウダ」で批判を受け、自己批判を余儀なくされる。

この時代は戦争、政治が音楽にも影響していたのでショスタコーヴィッチは交響曲第4番の初演を取りやめている。そのため交響曲第5番を作曲した。

 

 なにか考え込むムラヴィンスキー

 

 

 レコードは黒の紙ジャケットにそれぞれ3枚に入っている。

 

中には内袋がある。

さすが日本製。

 

 レコードは180g重量盤

 

交響曲第5番のみがどのようになっているか紹介してみる。

第一楽章のみで1枚目A面

 

 

 第一楽章のみで1枚目A面の溝

 

 

第二楽章と第三楽章のみで1枚目B面

 

 第二楽章と第三楽章のみ1枚目B面の溝

 

 

 

第四楽章のみで2枚目A面(B面はアンコール曲のみ)

普通はこんな贅沢なカッティングはしない。

そのため音は高音質なのだ。

 

 第四楽章のみ2枚目A面の溝

 

 

気づかれたでしょうか?

レコード・ラベルにMONOの印刷ミスになっているではありませんか!

3枚全てだ。

 

帯には高音質のSTEREO録音の表示

 

 

外箱にもSTEREOの文字

 

 

箱を開けて見た瞬間はMONOの文字にはショックだった。

なぜかというと本当にMONOのレコードだったら騙されたとも思ったからだ。

レコードに針を下して音が鳴るまで心配した。

結果、STEREOだった!

実は今回の商品以外にも同じような不具合があった。
MONOだけどSTEREO表示。

 

もしかしてレコード会社から不具合のお知らせがあるかもしれないとネットで調査。

しかし、無いようだったのでキング・インターナショナルにメール問い合わせをしてみた。

 

返事が来た。

(以下支障のないようになるべくありのままを載せた)

 

「お買い上げのLPのラベル印刷の件、ご指摘ありがとうございました。

ALTLP-091/3 (今回の3枚組レコード)

ALTLP-122/3
(1977年10月大阪公演、こちらはボーナス・トラックのシベリウス交響曲第3番がMONOをSTEREOとラベルに印刷ミス)

 

2点の該当箇所確認しました。

おっしゃる通り印刷ミスでございます。

大変失礼いたしました。

限定生産のため作り直しが出来ないのですが、

STEREO/MONO 修正用のシールを作ってお送りしますので

お持ちの盤に貼って頂ければと思います。

 

これまでに同様のお問合せが無かったもので、

これからシールを作るため少々お時間を頂きますがご容赦ください。」

 

以上

 

こんな仕事していたらチコちゃんに叱られるよ!

 

 「ボーっと生きてんじゃね~よ!」

 しっかりチェックしてよ!

 

上 写真のシールが送られてきた。

しかし、厳密に言わせてもらうと「レコード・ラベルの色は薄い水色と文字は白色」なのだ。

なんで金色に黒文字のシールなんかレコードに貼れますか?と問いたい。

別にシールを作ってくれたので感謝していますが細かいセンスがほしかったのだがね。

ラベルをデザインされている方はもっと細かいことを考えて仕事されていると思う。

だれも世界的にこの印刷ミスを指摘する方がいなかったということだったので自分が細かい人間と思われるような感じを受けてしまうのが気がかりである。

 

一つ考えてみた。

キング・インターナショナルで発売しているクラシックは、大半が古いMONOレコードが多い。

だから、今回もSTEREOなのだがMONOと思い込みチェックが甘くなってしまったということなのかな?

しかし、STEREOを一部のみMONOはどうかな?

それと工場がアナログ・ブームで忙しすぎるのか?

でもラベル印刷の版下をチェックして印刷工場に依頼するのだけどなあ。

 

このムラヴィンスキーのレコードはかなり売れていると思われるので購入された方で何かコメントあれば発信してください。(メッセージなら返信もできます)

 

まあ、印刷ミスはビートルズでは重宝されるがこの程度のレコードでは価値は無し。

 

 

 

話を本題に戻そう。

 

ムラヴィンスキーはリハーサルにおいてものすごく細かい指示を出す。

この顔で指示されたら、オーケストラのメンバーはピリピリしているだろう。

 

 

今回のレコーディングやレコード・カッティングなどに係わった方が載っている。

レコード・カッティング・エンジニア手塚和巳さんになっている。

 

 こちらの方が東洋化成のカッティング・エンジニアは手塚和巳さんです。

手塚さんでも今なぜアナログ・ブームなのか「わかりません?」ということだ。

 

 これがレコード・カッティング・マシン

 

日本コロンビア

日本クラウン

ユニバーサル・ミュージック・ジャパン

で製造されたアナログ・レコードが飾られている。

棚の中央上付近に「ビートルズUKコンプリート・ガイド」の本がある。
私も持っている。
レコード・ラベルなどの写真ばかりでマニアでもかなり難しい本である。

 

東洋化成のレコード・プレス機

 

今現在、東洋化成には従業員が30名。

従業員は2つのグループに別れているそうで60歳以上と20~30歳の若手になっている。

キング・インターナショナルの方も言っていました。

「製造エンジニアがまだ育っていないので、いろいろ不具合も出る」というようなことを。

 

東洋化成では今はプレス機を増設して1台1日800枚製造出来、全体で6000~7000枚製造可能だそうだ。

 

 

 キング・インターナショナルのレコードは音が大変良いことは認める。

当時のFMを聴いているというよりは一番良い席で聴いているような左右のバランス。

弦楽器の音質が生演奏に近いようなやわらかい高音が出ている。

欠点はワンポイント・マイクのためスタジオ録音のような重低音が録音されていない点かな。

 

今回の1973年録音「ショスタコーヴィッチ交響曲第5番」は、よく残った名演奏、名録音なのだ!

テンポ、解釈が音楽に引きこまれていく。

 

現代はムラヴィンスキーなど1970年ころの巨匠がいないね。

 

では、また。

 

 

 

 



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