消費税0%へのAI的な社会実装

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2018年10月31日(水)

最近、来秋に予定されている消費増税10%による景気低迷への配慮からか、コンビニでキャッシュレスで決済した顧客にはポイントやトークンで増税分を還元する案や食料品だけに軽減税率を課すなど、要するに消費者や顧客にとって、あるいは、小売店舗やそれに対応するシステム導入を準備する側にとっては手続きが煩雑になり、一部、それらが混乱することが予想される。
そこで、そうした小手先の弥縫策を取るのをやめて、消費税0%、すなわち、消費税が廃止された社会実装なり社会モデルというのを構想してみるのはどうだろうか。えーまさか、そんなの夢物語だろう、これからの少子高齢化で消費税を0%にして、どうやって社会保障の財源を用意するのだ、という反応がかえってきそうだが、そんなものはいくらでも考えられる。いくつか、列挙してみよう。

まず、相続財産の撤廃。相続税も累進構造になっているとはいえ、やはり富裕層に圧倒的に有利な制度であるし、母子家庭や経済環境に恵まれていない者は、そもそも相続財産が全く与えられられないどころか、下手すると両親や身内の負債を抱え込むリスクさえあるので、そもそも相続というのが不平等の存続の温床や原因にもなるので、相続税を100%に近づけることで、相続という長年の経済行為自体を最終的に廃止するのが望ましいだろう。そして、そこから得られた新たな財源で、成人した国民一人当たりに、ある程度の資金なり無償の社会保障、保険、ベーシックインカム等を再配分するという方途や方向性があるのが望ましい。

政治家と上級公務員の給与とボーナス、手当を15%から20%カットすることも議論し、考えていくのもいいだろう。だいたい事務職が多いお役所仕事は、今後は不眠不休で働けるAIで代替すればいいのであって、非効率な「お役所仕事」に高い給与や過剰な福利厚生を付与し続けるのはアンフェアであるので、ここをカットしたことで新たに生じた財源を消費税0%へするための財源にするといいだろう。

つい先日、イギリスの議会が、2020年4月から世界売上高が年5億英ポンド(約720億円)以上のIT企業に対して、その売上に2%の税率でDigital Services Taxを課すと発表したが、そうした巨大IT企業だけでなく、日本なら、ユニクロやソフトバンク、携帯キャリア、トヨタ、ZOZOTOWNなど、巨額の利益を得ている法人に対して、新たなデジタル課税を課すというのも良いだろう。要するに、企業の超過的と思われる利益に課税して、それを社会に還流する流れを新たに作ればいいのである。少子高齢化で財源が足りないのだから、厚遇された政治家や公務員、日本でビジネス活動するIT巨大企業にも新たな協力要請が加わるのは当然である。最も余裕のある彼らが最初にそうした義務を負うべきなのは、ある意味で、当然ではないだろうか。

だが、そうした上層の国民以外の日本人は総じてお人好しのいい人であって、決して消費税を0%にすべきだ、などという声はあがらないし、そんなことが実現できる訳がないと、はなから諦めきって、お上の理不尽な年貢追加要請に、搾取された古の小作人のように、従順に頭をうなだれたまま賛意を表明してしまう。それでは現代ではだめなのだ。何のためにSNSやtwitter、ブログがあるのか、もう一度、よく考えてみて欲しい。そういう理不尽な社会や政治の要請に対して、反対の声を上げていくことにもそれらは使えるはずだ。その声が巨大になればマスコミもテレビも政治家も無視出来ないものになってくるだろうし、世界的にそれらは報道されるし、それは既定路線の現実や社会を変える現実的な巨大なパワーへと結集することにもなるのだということを、もっと人々は理解すべきであると思う。

だいたい、国会議員だけでなく、地方議員もろくにまともな仕事もしてない状態で、高額の給与や報酬、福利厚生を得ている時点でおかしいし、世襲という形で、政治家という職業は家業のごとき観を呈している。本来、政治家などは無給の名誉職、ノブレス・オブリージュとして騎士道、武士道精神で清貧を覚悟できるような知性、品性、人格ともに卓越した人物が従事するものであって、善良な人のいい庶民や国民にはあらゆる名目で安易な増税を強いて、自分たちの給与はしれーっと上げ続けるという態度そのものは国を代表する選民ではなく、国を代表する賤民であると言えないだろうか。

だから、政治家が忖度、身贔屓、違法な利益供与、選挙資金の不正入手などでしばし事件化したり、報道されるのも、そもそも彼らが私益追求のために政治家になったからではないだろうかと考えたくもなる。公益のために、社会のために、日本に住む国民や市民の幸福のために彼らが活動したいと本気で願っていて、それから出てくる政策が馬鹿でも思いつきそうな安易な増税というのは、あり得ないことだろう。
また、現代社会がAI導入が本格化しテクノロジーが第二の自然となる21世紀ということを鑑みれば、やはり低所得層や庶民にとって逆進的に作用する消費増税は、創意工夫が全く感じられない時代遅れの安易な付け焼き刃の対処療法だとしか思えない。

現代の世界において、経済上で最も優先すべきことは環境問題と格差是正である。そのためグローバル大企業の法人税や所得税の累進率を上げていくこと、もしくは大企業の巨大な内部留保という資金ストックに課税をし、そこから得られた新たな財源を消費税0%へ向けた財源へと徐々に資金シフトするようにすれば、ごく一部の優遇された大企業や政治家、公務員だけが有利で幸福となり、恵まれた経済環境や人生を享受するという不公平社会の是正への良き第一歩として、それはつながっていくだろう。

本来、経済やテクノロジーはそうした平等性、公平性を有した社会を形成するために使用すべきであって、ごく一部の階層の者だけが過剰に優遇されたり、いい思いをするためのものではないと思う。経済は、もともと「経世済民」の略のことなので、苦しむ民を救う、救済するためにある。苦しむ民や労働者からさらに搾取しようとするのは経済とは呼べない。私腹を肥やすのが経済ではない。

以前、デジタル・ディバイドという言葉が聞かれたことがあったが、テクノロジーも、そうした格差を作るためではなく、AIもそうだが、社会に広がる格差、たとえば経済格差、教育格差、公共サービスへアクセス権の格差(離島、過疎地に住む人々などが受ける医療など)を縮める方向へと経済とテクノロジーを新たに社会実装していかなければならない。この基本的なベクトルと目的を忘れてはならないだろう。移民問題が世界で持ち上がるのも、そこに理不尽な巨大な格差があるから発生するのであって、その原因を根治しないことには、いくら高い壁を築こうが、移民問題など永久に解決する訳もないのである。

そうした格差是正をまず科学技術立国で、ノーベル賞受賞者も多く、賢い国民が多いと言われる日本で、最初にそうした先進的な新しい社会モデルを実現し、それを成功させれば、世界の他の先進各国もこれから日本のような超高齢化社会に向かうのだから、その日本の成功モデルに学び、それに追随することになるだろう。消費税を0%、相続税を100%にし、政治家と公務員の給与や報酬をカットし、それらで出来た資金を成人した全国民にベーシックインカムや負の所得税として再配分するという画期的な社会モデルを実現し、それを見事に成功させた日本に学べ!という明るい機運が世界的に広がって、それで世界中から格差や不平等、不公平が撲滅された、経済利益だけでなく、環境保全もきちんと考えられた持続維持できる未来のAI社会が真に実装可能になってくると思われる。

 

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