2020広島vs中日1回戦C4-1D大瀬良132球完投鈴木誠也2ホーマー

Last Updated on 2020年6月27日 by wpmaster

鈴木誠也がゆっくりと振っているように見えるのは、何故か。

それは、フォロースルーを終えるまでの過程において、動作を削っていき、ガイドハンド(押手)の肘を前に出し始め、それから前足を軸に骨盤を回しているからです。
ゆっくり振っているように見えるというのは錯覚です。
敷衍すると下記のようになります。

開幕7試合で5本塁打、鈴木誠也のバッティング

①ストライドが狭い。
ストライドが広がれば着地がその分、遅れます。前足の着地位置を探って前に出されれば、背骨の方に引いて戻さなければいけません。ストライド(軌跡)が長くなります。
押手の肘を先行した前足に追いつかなければならないので、後ろの股関節の外旋を解かなければなりません。押手の肘をスクラッチする間ができません。押手の前腕部を回内する間ができません。押手の前腕部を回内できないと手の平が投手の方を向いて押手の肘が下がります。後ろの脇が閉じてしまいます。脇を締めなければいけないのは押手の親指でグリップを押し込む瞬間だけです。脇が閉まっていたら押手の肘を通過させることができません。しかし、かつて、日本の指導者は、SMのように両肘を紐で縛ってスイングをさせるというギャグのような練習をさせています。昭和の左打者の打撃を見ると、手首がトップポジションに達したときに脇が閉まっています。このような練習は愚の骨頂です。
骨盤を前傾させて地面に向かって押しつぶすことができません。前足首の底屈のとき、前肩が後ろの肩より下がらないので、後ろの脇が空きません。振り始めると押手の肘が伸びるので、手首より前にヘッドが出ます。ヘッドがしなりません。ヘッドの稼働域(振り下ろす直前の手首の位置から押手の親指でグリップを押し込むまでの距離)が狭くなります。加速距離が短くなります。ヘッドが寝ると回転半径が長くなり、ヘッドが稼働しない距離が長くなります。これをヘッドが遠回りすると言います。押手の親指でグリップを押し込む間ができません。手首を背屈できません。押手の手首が伸びてヘッドが手首のラインより下がります。
よって、スイングし終わってから振り返ると急ピッチに振っているように見えるのです。

鈴木誠也や宮﨑敏郎は、後足を前に出す素振りをしています。
後ろ足を前に出す直前には、後ろの股関節で真後ろに地面を蹴って外旋し、後ろ足に体重を残さなくします。前足を真上から真下に振り下せるのでストライドが狭くなります。前の股関節が引っ込むので前肩、前肘が背骨の方に引っ張られません。押手の肘だけが後ろの肩甲骨に格納されます。手首が緩みます。ヘッドが寝ません。これは、振り下ろす直前でトップポジションでヘッドを立てる練習です。この歩きながらのスイングは、私が野球をやっている頃から行われている練習です。

②前膝で地面を蹴っているから

前膝で地面を蹴ると、前足首が背屈します。前足踵に体重がかかり、前足首が足首がL字になります。前の股関節が引っ込み、背骨が後ろに倒れます。
前足に押手の推進が追いつく必要がないので、後ろの股関節を外旋する間ができます。右肘でスクラッチする間ができます。押手の肘が伸びないのでヘッドが立ちます。ヒッチ(押手の手首を地面方向に引っ張る)間ができます。後ろの肩が下がります。後ろの股関節が外旋できます。前足が前に出されません。押手の前腕部を回内する間ができます。前膝で地面を蹴る間ができます。ヘッドがしなります。押手の肘が後ろの肩よりも先行します。すなわち、パーフェクトインサイドアウトスイングをすることができ、V字スイングお軌道を作れます。

③ヒッチ
前膝は、後ろの股関節の外旋を解いてからでないと上がりません。前膝を上げると後ろの股関節を外旋できます。
手首は、後ろの股関節で地面を捕手方向に蹴る(外旋)ことで下がります。押手の肘、手首の順で下がります。手首を下げる方が前膝を上げるよりも加速距離が長くなります。
これは、オーバーハンドの投手が、サイドハンドやアンダーハンドの投手より加速距離が長い、加速距離が長いほど、投球肘の回内→回外(ボールを縦に擦れる)の間が取れる、バックスピンがかかり、失速(トップスピン)が遅れるというのとメカニズム(関係、過程)が同じです。ヒッチの方がレッグアップよりも始動が遅れません。

④前肩が前後左右に動かない。
前膝を上げるのが遅れると後ろの股関節を外旋する間ができません。前肩を背骨の方に入れたり、引手の肘を捕手方向に引っ張らないと後ろの股関節を外旋できなくなります。
上下運動(波動)が作れませんので脱力できません。
引手の肘が突っ張たり、前肩が背骨の方に入ると手首に負荷がかかります。トップ(手首)が緩まないので、インパクトの瞬間に押手の親指でグリップを押し込むことができません。
前肘のロックを解く、前肩を開くという動作を加えないと押手の肘が出て行きません。押手の肘でスクラッチ(引っ掻いて両肩甲骨をぶつける)する間ができないので、押手の肘がヘッドの内側に入ります。
動作の数が増えるので、一つ一つを俊敏にしなければいいけません。瞬発力を産み出す数も増えます。労働量が増えるので脱力できません。

初回、ピレラは、左膝を上げるのが遅れる。トップポジションに到達する過程で、前肩が下がって左肘を曲げて自身の頭で、投手方向に張り出すことができています。始動が遅れても左足の着地位置を探らずに前膝を真上から振り下ろす。両足の間隔を狭くして後ろの股関節の外旋を解かずに、右腹横筋を地面に叩きつけています。ピレラは空振り三振に終わります。
しかし、5回表の打席では、ヘッドをしならせて右前安打。インパクトの瞬間に左肘を垂直に曲げてヘッドのしなりが解除された後もヘッドがしなっています。

鈴木誠也も、オープン戦で前足を真下に落とし、後ろの股関節の外旋を解かずに腹横筋を地面に叩きつけてキャッシュオンデリバリーで振っています。

両者は、前足を軸に、押手を出してから両股関節をぶつけるという練習(パーフェクトインサイドアウトスイングの練習)をしているのです。故に、どんな投手にどんな投球をされても、打撃の根幹が崩されないのです。
更に、両者は、インパクトの瞬間に引手の肘を曲げてスイングを止めてから再度振り下ろし手います。ヘッドのしなりが解除された後もヘッドが残るようにしているのです。

鈴木誠也は、右手の人差し指と親指だけでグリップを緩く握っています。1本目の本塁打を打ったときも2本目の本塁打を打っています。手首がトップポジションに達するまでに、引手の肘を頭より前に張り出しています。引手の上腕部を投手に対してスクエアにしています。引手の上腕部が背骨の方に入りません。振り下ろす直前にトップが緩んでいます。
1本目は、ボールの外側を縦に擦り下ろして打球にバックスピンをかけて、2本目はV字スイングで振っています。2本とも、前述のやり方でヘッドを残して打てています。

大野雄大のピッチングvs広島の各打者のバッティング

2回表、大野雄大は、セットポジションから、両膝を曲げて左足踵に体重をかけてボールを持ちます。骨盤が後傾しています。前肩、前膝、骨盤は、左打席のコーナーと一塁線が交わるところに対してスクエアにしています。右膝を上げたときに左足のスパイクの体重をかけます。2回目に右膝を上げるときは、ヘソの高さまで持っていきます。2回目に左膝を下してから投球肩を前肩よりも下げます。左足踵に体重をかけ、逆「く」の字を作ります。左腕は骨盤の手前を通過します。前肩、前膝、骨盤は、左打席のコーナーと一塁線の交わるとことに対し、スクエアにしたままです。
左肘を逆Lにしたときも左足踵に体重がかかります。左肩関節の前に再び投球肩を前肩よりも下げます。左肩関節の外転のとき左足拇指球に体重が移ります。右足踵から着地し、右足つま先は、前肩と同じく左打席のコーナーと一塁線が交わるところに向けています。インステップは大きくありません。
リリースの瞬間に右膝は突っ張りきりません。両股関節を向けると左膝は打者の方を向きます。
前述のように鈴木誠也に本塁打を打たれます。

更に、大野雄大は、左肩関節を外転をしたときに左足拇指球に体重が移ります。左足が踵体重であるが故に、左の股関節で二塁ベース方向に地面を蹴り切りません。いわゆる左股関節にタメがないということです。
メヒアは、トップポジションに達するまでに引手の上腕部及び肘が背骨の方に入り、前肩が前肘の前に出ます。しかし、振り下ろす直前は、右足のつま先を捕手方向に向け右足のスパイクの外側に体重が乗ります。ヘッドも立っています。前肩が開いて後ろ足を軸に骨盤が回り始めます。左膝を真下に下ろして前足首を背屈、左膝を突っ張らせます。後ろの襞が左膝によるキックより前に内に入っているので両足がクロスしています。振り下ろし始めはヘッドが寝ましたが、左膝で地面を蹴ってからは、手首先行でヘッドを残してインサイドアウトスイングで振れています。
緩い変化球であったが故に後ろの股関節の外旋運動を修正してフルスイングする間ができました。コースも最も簡単な右打者のインロー、ホームランボールです。
打たれた大野にしてみれば失投です。三歩歩けば忘れられます。
5回表、大野は、カウント2-0になったところで投球せずに鈴木誠也を一塁に歩かせます。メンタルをリセットしてメヒアに対します。

メヒアの5回表の打席は、レッグアップと手首を下げるのがシンクロし、前肩と前肘が背骨の方に入ります。手首を頭のところに持ってくるのが遅れます。前肩が開いてから押手の肘が出てくるまでの間が長いドアスイングで空振り三振 頭とボールの軌道が真逆を向いています。

堂林は、前肘が背中の方に入って引手主導のスイング、前肘でボールを掃ってヘッドに手首のラインを越えさせます。結果は二塁打ですが内容は良くありません。
堂林は、ストライドが広がるから、7回表満塁の場面でもスイングができないのです。

大瀬良大地のピッチング

大瀬良は、8回終了の段階でワンバウンドの投球が8球、終わってみれば10球
私で監督であれば、9回頭から、塹江とフランスアの、この試合における肉体の稼働の源となフィイジカル、投球動作の誤差が少ない方を投げさせます。
佐々岡にしてみれば、クローザーがいないから完投せざるを得ないということなのだろう。

大瀬良は、一塁側への右足踵体重から、左膝を下げた後、左膝が背骨の方に入る。
平田は、トップポジションに達するまでに左肘が左肋骨の方に入る。左脇が閉まる。右足スパイクの内側でエッジをかけ、ストライドが広がる。引手主導でヘッドをボールの外側に引っ掛ける。
最終回の平田の三遊間の打球も、地を這う打球で、最後はハーフバウンドをショートバウンドの中間の跳ね方をした。素人からみれば美技ですが、三好にしてみれば、振り返ってみればどうってことのないプレーだろう。三好は、右肩関節の外転のとき、右足つま先をレフト方向に向け、右股関節で地面をレフト方向に蹴る。押手主導で一塁へスローイング。
三好でもなくて小園や安部も、あの打球に対しては、起き上がって押手主導で投げられます。

総括

どんな選手も本塁打を打ったスイングは、完璧か、途中で修正して辻褄を合わせて、又はロスやマイナスを埋め、貯金を作って打てています。
打撃の技術面の土台がてきている選手は、何シーズンも継続して結果を残せます。打撃の基礎ができていないか、できかかっても脆弱な選手は、プロの世界から消えていきます。