昨日は史上15回目の「先頭打者ホームラン合戦」という珍事がありましたが、初回に飛び出した近本・大山の一発を5回まで守り切り降雨コールド勝ち。雨脚の強まる中、5回に1点差と迫られた後の2死2塁の大ピンチ。ソトに対し外のスライダーを投げ切った青柳が今季2勝目を挙げタイガースは4連勝です。
今日も雨が降りしきる中のゲームになりますが、阪神園芸の素晴らしい仕事により45分遅れでのプレイボールが実現しました。
【阪神】
1 中 近本
2 二 糸原
3 左 糸井
4 三 大山
5 一 ボーア
6 左 サンズ
7 捕 梅野
8 遊 木浪
9 投 西勇輝
【DeNA】
1 右 梶谷
2 中 乙坂
3 二 ソト
4 左 佐野
5 一 ロペス
6 三 宮崎
7 捕 伊藤光
8 投 今永
9 遊 大和
スタメン固定の阪神に対し、横浜のスターティングメンバ―にオースティンの名前がありません。全力プレーの新助っ人は右手の違和感でベンチ外となったようですが、それでも威圧感のあるオーダーです。
今日は西と今永の両エースの登板ですが、またしびれる投手戦を見せてくれるのでしょうか。昨日の不完全燃焼もあり、その分徹底レビューして参ります。
初回、昨日先頭打者アーチの梶谷をセカンドゴロに切って取ると、オースティンの欠場を受けて今日スタメンの乙坂との勝負です。ピッチャー返しの打球にわずかに西が触れますがこれはセンター前・・・いえ、糸原が追いつき見事なジャンピングスローで5000人のファンを沸かせました。外に上手くヒットを打たれたものの佐野を打ち取り上々の立ち上がりを見せる虎のエースです。
一方の阪神、こちらも昨日先頭打者弾の近本ですが3球目。流し打った大飛球は浜風にも乗りレフトポール際へ飛んでいきますが惜しくもファールで甲子園はため息です。今日の今永は左打者の膝元へのチェンジアップが冴えており近本・糸原は連続三振。やはりピリピリとした投手戦を予感させる両エースの立ち上がりとなりました。
2回表、しかし1死から好調の「天敵」・宮崎にやや高く入った外角球を右中間に運ばれますが、続く伊藤光をサードライナーに仕留めこの回は終了かと思われました。しかしやはりこの投手は一筋縄ではいきません。真っすぐをはじき返した今永の打球はセンターへ抜けていきますが前目に守っていた近本が良いチャージを見せ先制を許しません。続く大和をショートゴロに仕留め、西はこの回も0で終わらせます。
その裏の阪神は直近4戦で3HR。ノリにノッている4番大山は初球からどんどん振っていきました。思い切りよく引っ張った打球は三塁線を破りツーベースでチャンスメークをすると、ボーアvs今永の注目のマッチアップとなります。配球はやはり対角線の攻めを意識したかと思われました。2球目、アウトローいっぱいに決めた後の3球目はインハイの厳しいボール。ここにきて日本の配球に適応してきた助っ人は読んでいたのでしょう。4球目のアウトローを狙った真っすぐはバットの届くところに入ってきました。左中間に放った弾丸ライナーはあっという間にスタンドに届く先制ツーランとなりましたが、この弾道にブラゼルの影を見た阪神ファンも多かったのではないでしょうか。大山にファイアーボールを譲ったボーアでしたが良い雰囲気で野球ができているのでしょう。
援護を受けた西は大事なこの回、完璧なピッチングを披露してくれます。梶谷から始まる好打順でしたが、インコースを上手く使った制球は勝負所で狂うことがなく圧巻の三者連続三振。エースが一気にタイガースに流れを呼び込みます。
その裏の阪神、簡単に2死となりますがここ最近攻守に好調を維持する糸原がセンターへはじき返すと、大山が控える中で今永は糸井に対しストレートのフォアボール。ここで横浜ベンチはたまらず木塚コーチがマウンドに駆け付け間を置くと、このチャンスで今最も当たっているバッター、大山が打席に入ります。そしてその初球。アウトローに投じた緩いカーブに反応できるのが好調の証でしょう。得意の前捌きで拾ったライナーでしたがショート大和がジャンプ一番掴み取りスリーアウト。なんとかしのいだ今永は首をかしげながらマウンドを降りていきます。
両エースが4回を0で抑え、勝ち投手の権利がかかる5回。西は大和に出塁を許すと続く1番梶谷を2球で追い込みますが粘られてしまいます。2-2から投じたバックドアスライダーは完璧なコースに決まりましたが主審の手は上がらず、結果歩かせてしまいこれで1死1、2塁。乙坂はボーアの左脇へ早いゴロを飛ばしますが、これをボーアが上手く捌きセカンド封殺。さて、ここがひとつのターニングポイントでしょう。ソトに対し低めいっぱいからボールゾーンに落ちるフォークを振らせてカウント2-2とすると、投じた5球目。やや高くなりましたがコースは完璧でした。外角に逃げていくスライダーにソトのバットは空を切り、虎のエースは雄たけびをあげバッテリー揃ってガッツポーズです。
続く6回はサンズの危なっかしい守備に西が「おいおい」となる場面もありましたが、怖いクリーンナップを3人で抑えきりここまで球数96球と良いペースで投げられています。
クリーンナップから始まるタイガースの6回の攻撃ですが、先頭の糸井が外角直球を捉えると打球はセンター乙坂のグラブを超え無死ランナー2塁の大チャンス。チャンステーマが鳴り響く中、ここでも大山は初球からフルスイング。空振りになりますがここから4球続く変化球には手を出さずフルカウントとなります。勝負の6球目、インコースに投じた今永でしたがコースを外れてしまい続く打席は今日ホームランのジャスティンボーアです。2球で追い込むと、ここは3球勝負で低めに投じたフォークが完璧なコースに決まりました。手が出たボーアは空振り三振。サンズは結果が欲しい焦りがあったのでしょうか、低めのボールになる変化球を2球続けられ連続三振に切って取られました。頼みの梅野もサードゴロに打ち取られ阪神はリードを広げることができません。
嫌な流れの7回ですが、失投を伊藤光は見逃しませんでした。レフト線へのツーベースでこちらも無死2塁のチャンスを作ります。ここで今永に代えて倉本が代打に送られますがツーストライクから粘られてしまいます。こちらも粘る西勇輝。ここで負けなかったエースはピッチャーゴロに打ち取りまずワンナウト。110球を超え脚に限界が近づくエースに対し、甲子園から手拍子の後押しが鳴り響く中ここで大和が打席に立ちます。投じた119目が抜けてしまい大和を歩かせたところで岩崎がコールされました。
完全復活の気配漂うリリーフエースですが、梶谷に対しストレートで押せています。ここは140km/hの真っすぐを詰まらせてセンターフライに打ち取りあとひとつ。代打桑原が送り出されますが岩崎の投球は圧巻です。スライダーを2つアウトローいっぱいに決め簡単に追い込むと、5球目の勝負球もアウトロー。完璧なコースに投げ切ったチェンジアップで三振を奪うと、歓喜の西に対し少し照れくさそうな岩崎です。
味方が簡単に打ち取られたあとの8回はもちろんスアレスがマウンドに送られますが、いきなり先頭のソトに4球ボールが続き歩かせるとここからは横浜クリーンナップの狙いは明確でした。初球の速球を狙い打ち佐野、ロペスと連打でなんと無死満塁の大ピンチとなってしまいます。ここで迎えるは打率.380を超える怖い宮崎ですが初球を詰まりショートゴロ。木浪は難しい体勢から2塁を選択しましたが、ソトの足では本塁封殺も狙えたかもしれません。なおもピンチで代打神里との勝負ですが、ここで梅野のリードが冴えます。フルカウントから変化球を投げ切るとボテボテのピッチャーゴロにサードランナー佐野は動かずこれであと一人。代打攻勢の横浜は戸柱を送り込みますが、ようやく剛腕のらしさが戻ります。真っすぐ一本待ちの戸柱に対しボール球の変化球と159km/hの高めで追い込むと、最後は高めのボール球を振らせ空振り三振。何とか西の勝ち投手の権利を9回まで守ることができました。
8回のタイガースの攻撃は糸原、大山が国吉に打ち取られましたが糸井の四球で2死1塁。ここでボーアは追い込まれた中、左への軽打で大きく空いた三遊間のど真ん中を抜きヒットでチャンスを広げます。ここで代打は43歳福留孝介でしたが代わった石田が見事なピッチングでファーストゴロ。ベテランの今季初打点とはならず最少リードで藤川を送り出すことになりました。
9回にこのリンドバーグをあと何回聞けるのでしょうか。ここまで完璧な投球を見せられていないクローザーは、先頭の大和を真っすぐで押し込みライトフライ。続く梶谷へは真っすぐで押し込んでいましたがフルカウントから投じた直球はインコースに少しずれ、今日もランナーを許します。続く桑原へも真っすぐのスピンが効いていますが、1-2からのフォークを見られた時点で勝負あった感がありました。続く真っすぐをセンターに打ち返すと打球はセンターに入った植田海の前に転がります。ここで梶谷がセカンドベースを蹴りますが、焦った植田はボールが手につきませんでした。一気に梶谷がホームを陥れ同点。
「いくな、いくな、超えるな・・・」
続くソトにとどめのツーランを豪快にレフトスタンドへ叩きこまれ勝負ありです。
【阪神】 2 - 4 【DeNA】
勝 石田 (1勝0敗0S)
負 藤川 (0勝2敗2S)
S 山﨑康晃 (0勝1敗5S)
日米通算250Sまであと5つの藤川球児ですが、このリリーフ失敗を受け盟友でもある指揮官はどのような決断を下すのか。後を継いだ馬場は登板間隔が空いた中で150km/hに迫る速球に加え、今日もスプリットを完璧なコースに操っています。島本がまだ下におり岩崎スアレスを動かしづらい中、果たして新星の大抜擢はあるのでしょうか。
結果的にこの試合もタイムリーが出ずにチャンスを活かせない展開が続く攻撃陣。一発は出るものの、チャンスを逸したあとに大ピンチを迎える場面が続きました。相手のミスに救われ無失点でしのいだものの8回は阪神守備陣にもミスがありました。5連勝が懸かった試合でも「勝ちゲーム」を落とした感がないこの1戦。次戦はタイムリー、ぜひ見せて下さい。
今日もここまで読んで頂きありがとうございました。
↓ワンクリック頂けるととても励みになりますのでぜひお願いいたします。