プロレス統計

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週刊プロレス選手名鑑2021から見るプロレス界2020年の変化

週刊プロレスの毎年恒例の企画ではありますが、今年も選手名鑑が発売になるようで先日その表紙が下記の通り発表になってましたね。

で、ぱっと見で気付いたことですが、オカダファンからするとついにオカダさんがいない!という感じもしたんですよね。
何を隠そうオカダさんは2013年~2020年版まで8年連続で表紙だったわけですがそれがついに途切れた形でもあります。
もっとさかのぼればもっと連続で載ってる人もいたとは思いますが、棚橋も2004年~2010年までの7年連続が最長だった*1ようなのでそれを上回ったのは良いのかなぁと納得させているところです。

と思いつつ見ていると、オカダさんに限らず全日本の宮原、ノアの清宮、DDTの竹下という各団体若手トップ選手が軒並みいなくなってたりしたんですよね。
その分別の世代、特により上の世代が奮起しているという証でもあると思いますが、今回はちょっとこの名鑑表紙からいなくなった4選手に注目しつつちょっと調べものです。

 

名鑑表紙各数値

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まず簡単にですが例年も調べている表紙に載った団体別の選手数の推移(毎年表紙に載る人数は変動するので割合で表示)。
結果として昨年過去最多9人となった新日本は2人減の28%になり、対して増えたのはノア(+1、12%)、DDT(+1、8%)のCyberFight勢。
表紙の枠が、多少変動こそすれ有限なことを考えると新日本がその枠を失い、CyberFightがその分勢力を拡大した、とも取れます。

対して、表紙に載っている選手の平均年齢を計算してみると2021年版は37.79歳で、昨年の2020年版の33.33歳からは+4.49ポイントと大幅に増加しています。
毎年1年選手が年を取ることを差し引いても3ポイント以上の増加と考えると、この表紙が「現在の日本プロレス界の顔」を示すものであれば「現在(少なくとも2020年)の日本プロレス界は寄り高い年齢の選手層へ活躍がシフトしている」とも取れます。

”元”トップ4選手の2019/2020年現成績

実際の解析は今年の試合がすべて終わってからでも遅くはないと思いますが、今回は上の仮説を検証する意味で、逆に「活躍する若手」の象徴でもあり、昨年の選手名鑑に載っていた新日本・オカダ、全日本・宮原、ノア・清宮、DDT・竹下の4選手の活躍について昨年と今年で比較してみましょう。

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まず4選手の2019・2020年(2020年は11月28日現在まで)の試合数/シングルマッチ数/シングルタイトルマッチ数の3つをそれぞれまとめたのが上の表。
ご存じの通り今年の春はほとんど試合ができなかったためどの選手も総試合数は半分程度って感じですね。
一方でシングルマッチ数に関してはオカダは例年と同程度、清宮に至っては2019年の倍シングルマッチをしています。
オカダ、というか新日本に関しては多くのシングルマッチがNEW JAPAN CUPとG1で行われるので、そのいずれも開催されたので大差がなかったか。
一方のノア・清宮の場合は中継オンリーのTVマッチでシングルが多数組まれていたり、昨年不出場だったN-1への参戦をしたりで増えた模様。

そこからさらに絞ってシングルのタイトルマッチ数に関してですが、所謂”活躍”というものの印象は「どれだけシングルのタイトルマッチを行ったか(王者であればなお良い)」って感じだと思ったので比較した次第です。
結果から言えばどの選手もかなり少なく、2,3試合に留まっています。
勿論そもそもの試合数・活動期間が短いために単純比較できません、なので以下では全シングルマッチ数に対するタイトルマッチの割合を算出。

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結果的に言えばどの選手にしてもシングルのタイトルマッチ数は減少、さらに言えばシングルマッチに対するシングルタイトルマッチの割合もどの選手も大きく減少していました。
つまりどの選手も大きく注目を集めるシングルタイトル戦線から離れていたということになります。

4選手2020年最終シングルタイトルマッチ

また上記に加えて気になったのは4選手の最後のタイトルマッチのタイミング。

オカダ 1.5 IWGPヘビー/IWGPIC二冠戦 (敗北、王座陥落)
宮原 3.23 三冠ヘビー級戦 (敗北、王座陥落)
清宮 11.22 GHCナショナル王座 (敗北、挑戦失敗)
竹下 3.20 KoD無差別級王座 (敗北、挑戦失敗)

清宮を除いた3選手は長期の興行自粛期間の前にベルトを落とし、興行再開以降ベルトに挑むことすらできていなかったということが分かります。
これに関しては清宮も同様で、2.24に杉浦のGHCナショナルに挑むも敗北し、その後自粛期間中にも活動はあったものの11.22までなかなか挑戦できていなかったという面もあります。

つまりそもそものシングルタイトルへの挑戦回数自体が少ない上に、自粛期間以降にそういった活躍ができていないがためにより一層注目度が下がった、というのは言えるかと思います。
いずれの団体にしても自粛明けには「この情勢に立ち向かう」ことをスローガンとしている節はありましたが、いずれにしろ前年に王者として活躍したような各選手にそれらのお鉢が回ってこなかったようです。

 

所感雑感

だからなんやねん、という話でもないんですが、何となく「何故?」と思ったことに理由を見つけてくっつけたということに尽きるかもしれません。
まぁ奇しくも各団体で似たような立場に据えられた選手がこのタイミングで同じようにエアポケットに入っていたのは不思議ではありますが。
個人的に今回注目した4選手は各団体で好きな選手でもあるので、来年こそエアポケットを抜けて活躍してくれることを祈っています。

きょうはこれまで、それでは

*1:と言いつつ2003年の表紙が三沢・蝶野のみといういつものフォーマットと違ったために途切れた部分もあるんですが、まぁ事実として棚橋は最長7年だった、としても良いでしょう