今あらためて【第1種換気システム】を考えてみる

2024.03.29

代表の鈴木です。
最近の住宅業界の話題は高気密・高断熱一色ですね!
何故こんなに盛り上がっているのかといえば、国の政策によるところと昨今の電気代高騰の影響が大きいのだと思います。
世界的に地球温暖化対策が急務となり、国も一次エネルギーの消費量を抑えるべく、住宅業界においても様々な優遇処置を講じて、省エネ住宅の普及を強く推進しています。住宅の省エネルギー化はCO2削減に寄与するだけでなく、光熱費の削減という住む方の経済的なメリットも実現させますし、さらに住む方の健康にも大きな影響を与えるとして、2重3重のメリットがあることを知れば盛り上がらない理由は見当たりません。

換気システムの選定が悩ましい!?

家づくりにおいて【高気密・高断熱】を突き詰めていくと、最後に選定で迷うのが換気システムです。
ここでいう換気システムは24時間換気システムの事で、第1種換気システム第2種換気システム第3種換気システムのいずれかを計画し、1時間で家の中の空気が0.5回入れ替わるようにすることが法律で義務付けられています。
世の中の主流は第3種換気システムで、コストも非常に安く計画できます。
しかし最近の高気密、高断熱住宅では、第1種換気システムが最適と理解されています。

第1種換気システムのメリットとデメリット

第1種換気システムの最大のメリットは、給気と排気の両方を機械制御する事で、換気効率を高めることができることと、熱交換機能を付加することで熱損失を最小化し湿度管理も最適化できるところです。
高気密、高断熱住宅は、冬場は特に過乾燥になる傾向があるので、湿度環境が補える第1種換気システムの採用が最適解と言われている訳です。
さらに第3種換気システムに比べ、外部フードがだいぶ少なくなるため、外観の美観向上にも寄与します。
ただし第1種換気システムは、設計計画上の難しさが多々あること、欠かせないメンテナンス手間や、何よりも価格が高くつくところが、採用にあたってネックになることがあります。
また皆さんの感心が高い【Ua値】においては、換気について考慮されていないため、Ua値には一切影響を与えません。
第1種換気システムにしてもUa値が良くなるということは無いということです。

第1種換気システムと第3種換気システムの価格差について

第1種換気システムについては「ダクト式」と「ダクトレス式」の2つの製品が存在しておりますが、ここでは一般的な「ダクト式」を中心に比較していきたいと思います。

第1種換気システムのシステム構成は、「本体+ダクト+ガラリ」という構成になっており、30〜40坪ほどの広さの家で計画するとシステム全体の定価は70万前後になることが多いと思います。もちろん施主様にはもっとお安く提供できるのですが、そこに施工費が加わりますので、材工でおよそ50〜60万ほどが現実的なラインといえます。
それに比べ第3種換気システムは、材工で5〜6万前後なので第1種換気システムに比べおよそ1/10の費用感です。

第1種換気システムを選ぶ意味

第1種換気システムと第3種換気システムの価格差が約50万前後あることをお伝えしましたが、果たしてこの価格差を受け入れるメリットがあるのかを検証していきたいと思います。

【金銭面の考察】
・頑張って高気密・高断熱を実現しても、国の法律で決められた換気システムが機能すれば、1時間で家の中の空気半分が外気と入れ替わってしまいます。
「せっかく温めた室温の空気を外気に捨てるなんてもったいない!」と思いますよね。
第1種換気システムの多くの商品は、本体に熱交換素子が存在し、80〜90%の熱交換が可能となります。
部屋の中の空気が20℃あって、外気が0℃であれば、熱交換によって外気の空気が16℃に変換されて室内に入ってきますので、とても魅力的かつ経済的な換気システムといえますので、当然ですが年間のエネルギーの削減効果は第3種換気システムよりも第1種換気システムの方が高いと言えます。しかしながら消費電力は第1種換気システムの方が大きいのも事実です。
ではどんなケースでも第1種換気システムのほうがお得なのでしょうか?
ここでは東京エリア(断熱区分区域6地域)で延床面積120㎡、断熱性能はHEAT20 G2(断熱等級6)を条件とし、東京電力の電気代、第1種換気システムの消費電力、メンテナンスコスト、エアコンのAPF、消費電力などを加味して計算してみると、第1種換気システムへの投資額50万が何年で回収できるかがわかります。
答えは実に60年以上!
ちょっと予想外だったのではないでしょうか。
これから60年の間に電気代も上がっていくはずで、上がれば上がるほど回収年は縮まりますが、それでも金銭的なメリットがあるとは言えないというのが現状です。
(東北、北海道などの寒冷地になれば金銭的な優位性も成り立ちます)

【快適性の考察】
・金銭的メリットは享受できないことはお話ししましたが、それでは第1種換気システムの採用は意味ないというわけではありません。
「快適性」という観点から見ていくと答えも変わってきます。
第1種換気システムのメリットとして「熱交換」と「除湿効果」の機能が挙げられます。投資額の回収は60年かかるかもしれませんが、その間の快適性が上がるのであれば決して無駄とは言えません。
高気密・高断熱を実現し、空調計画や換気計画をこだわる目的は、「経済性と快適性の両立」を手に入れることであって、金銭面(経済性)だけのメリットを求めているわけではないはずです。

【空気質の考察】
・快適性にも通じることですが、空気の質についても第1種換気システムにはメリットがあります。外気を取り入れる給気口は、第3種換気システムでは何となく心許ないフィルターが設置されていますが、第1種換気システムではしっかりとしたフィルターが装着されており、PM2.5や花粉が室内に入り込まないよう設計されております。

まとめ

第1種換気システムについてお話をしてきましたが、私は第1種換気システムの採用はマストだと考えております。
考察において弱点となった「金銭面」についても、太陽光発電パネルを搭載し発電した電気の自家消費率を高めれば、違うシュミレーションになってくると思いますし、やはり快適性向上の観点から第3種換気システムに比べ第1種換気システムのメリットは大きいと考えるからです。

それではまた!

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