創作小説「宇宙人にはわかるまい1」

クラスメイトの鈴木くんはどこかおかしい。宇宙人である鈴木くんと、鈴木くんの正体を知ってしまった佐藤さんのお話。

どこかに登録して小説を更新しようと思っていたのだけれど、面倒なので暫くはブログで更新していこうと思います。
宇宙人の話が書きたくて六年くらい前に書いていたやつ。この間パソコンの中を整理していたら見つけたので続きを書いているところです。
長編にしようと思って書き始めたのだけれど、全然進まないので多分短く終わる予定。
その他にも書きかけの短編が山ほど出てきたので、少しずつ完成させていきたいです。完結したものや未完のものも含めたらショートショートや短編は100個くらい書いているので、最早自分でも覚えていない話ばかりです。
このままお蔵入りさせてしまうのもなんだかもったいないような気がするので、少しずつ載せていきたいです。


 その1.鈴木くんの正体


 クラスメイトの鈴木くんは、宇宙人なんじゃないかと思う。なぜそう思うのかというと、なんとなく、だ。鈴木くんはなんだか胡散臭い。
    まず、鈴木くんは尋常じゃないほどモテる。廊下を歩いているだけで、近くにいる女生徒たちからきゃあきゃあと黄色い声が上がる。クラスの女子を始め、上級生や下級生たちも鈴木くんの姿を見れば途端に顔を赤く染め、甲高い声で喚き始める。ただそこに存在しているだけで周囲が喜んで奇声を上げるだなんて、ひどく異常だ。なんらかの電波でも発しているのかもしれない。
    鈴木くんは顔も良ければ頭もいい。人形みたいな綺麗な顔をして、難解な問題もすらすらと解いてみせる。更には運動神経も良く、体育の時間は大体大活躍している。にも関わらず、彼が息を乱しているところを見たことがない。いつだって涼しい顔で飄々としている。
    ここまで出来すぎていると男子生徒から顰蹙を買いそうなものなのに、誰一人鈴木くんの悪口を言う人間はいない。鈴木くんはいつもにこにこと愛想が良くて、誰にでも親切で誰とでも仲良くできる。普通一人くらい難癖をつけて人気者の座から引きずり落としてやろうと画策する人間がいてもおかしくはないと思うのだけれど、なぜだか誰もが鈴木くんに対して友好的だ。
    容姿から頭脳、運動能力、更には対人関係に至るまで、とにかくなにもかもが完璧なのだ。見ていて気持ちが悪いほどに。こんな少女漫画に出てくるような人間が存在するだなんて、すごく不気味だ。同じ人間だとは到底思えないので、わたしは内心で彼を宇宙人だと決め付けていたのだった。

「鈴木くんって、人間じゃないでしょう」
 ある時放課後鈴木くんと二人きりになった。珍しいことである。普段は取り巻きが鈴木くんの周囲を囲っているので、滅多に一対一で向かい合うことなどないのである。チャンスだ、と思った。だからこっそりそう尋ねてみた。そしたら彼はにっこりと笑って、あ、バレちゃった?と言った。至極あっさりと認められ、思わずわたしは困惑してしまった。

続きます。



ランキング参加中です。ポチッと押して頂けたら嬉しいです。

Web小説ランキング