少し時間がかかりすぎたのかもしれない。
でも、ようやく最近になって、自分の納得のできるやり方で納得のできる金額を稼げるようになってきた。
この仕事を始めると告げた時、親からは猛反対された。
反対する気持ちが分からないわけではなかった。
私のことを心配しているからこそ、反対しているのだと分かっていた。
分かっていたから反対を押し切ってこの仕事を始めた。
当時彼氏だった私の夫は、私の仕事に全くの無関心だった。
それこそ私のことを下に見ていることもあった。
「あんたは私のことをその辺のおっさん程度にしか見とらんのか!」
なんて怒って大げんかしたこともあった。
でも親も夫も、なんだかんだ言って私の仕事を支えてくれた。
夫とは一緒に北海道移住の夢を思い描けるようになったし、両親もその私たちが夢を語るのを、実現可能なものとして聞いてくれるようになった。
そんな夫や両親に、自分の仕事が今とても伸びていることを話すと、一緒に喜んでくれる。
「時間がかかりすぎたかもしれないけど……」
私が言いにくそうにそう言うと、
「詩織はよく頑張ったよ。すごいね。時間がかかったって、そんなの気にしなくてもいい」
と言ってくれる。
私の夢について、揉めたことも喧嘩したこともたくさんあったけど、今そうやって胸を張れるのがとても嬉しい。
自分のやりたかったことで収入が安定してきたことを記念して、来月はとりあえずスケジュールの都合がつきそうなお母さんにランチをおごるのと、夫と行ってみたかったホテルのカフェでティータイムをおごる予定。
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